神奈川県立図書館所蔵CDのコーナー、チェンバロで聴く「平均律」の第4回目です。第2集の後半が収録されています。
本来、グールドでも4つに分かれていることが理想だったと思いますが、当時のメディアの問題もあったと思います。
グールドが録音した当時は、メディアはレコードでした。だからこそ、なるべく短い時間に収める必要がありました。このヴァルハのように4つになってしまうと、聴きづらいというデメリットがあったわけです。
それでも、ヴァルハが4つに分けた理由。それは、そもそもこの平均律クラヴィーア曲集という作品が、2つに分かれているためだと言えるでしょう。となると、3つにしてしまうと学習する人が演奏を聴いて参照するときにしづらいというデメリットがある訳です。だからこそ、1巻ずつを2つに分け、4つにしたと言えるでしょう。
最近では、ピアノでも4つに分かれる演奏もありますから、時代は変わりました。それはメディアの進化も理由です。CDの登場です。それがなければ、おそらくグールドの演奏がスタンダードになっていたかもしれません。
残念ながら、グールドの演奏が必ずしもスタンダードだとは言えません。むしろ、このヴァルハのような演奏を参考にしてピアノで演奏するというほうがスタンダードでしょう。それはこの作品が、必ずしも楽しむためだけに書かれたわけではないということを、十分に踏まえたからだと言えるでしょう。
このチェンバロの演奏を聴きますと、テンポもさることながら、この第2集の後半でも、チェンバロゆえの面白い「音」が楽しめます。当時の聴衆は、それを楽しんだことでしょう。その上で、作品の内面性をいつくしんだと言えるでしょう。それをピアノで表現するとなると、それはかなり難しいと言わざるを得ません。
だからこそ、グールドの演奏は「新解釈」だと言われるのです。なぜ新解釈なのかを知るためには、チェンバロの「音」をきかねばならない・・・・・・グールドはそれを理解したうえで、現代のピアノで表現するのは、どのような切り込み方が適切なのだろうと、試行錯誤したうえで世に問うたのが、先日ご紹介したアルバムなのです。
ヴァルハの演奏は、だからこそ非常に重要なのです。グールドに近い時期に録音されたものだからこそ、おそらくグールドも聴いた可能性があるこの演奏は光を放つのです。図書館の棚にはヴァルハ以外でもいくつか録音があります。それはほとんどが同様に4つに分かれています。なのになぜ私はヴァルハを借りてきたかと言えば、その録音年代だったのです。
それでも、昔の私であれば借りてこなかったでしょう、グールドもヴァルハも。それを可能にしたのは、某SNSにおけるイヴェントが非常に大きかったと言えます。様々に紹介される、所謂戦後の変態演奏。それは時として、モノラルであることもしばしばです。そのモノラルに抵抗がなくなったからこそ、古い演奏でもよしとして借りてくることができるようになりました。そのおかげで、平均律クラヴィーア曲集に関しては、グールドの演奏に触れることができ、その上このヴァルハのようにグールドと同じ年代の録音を借りて聴き比べることができるのですから。
本当に某コミュの方々には、何度お礼を言っても足りないでしょう。平均律クラヴィーア曲集の真の魅力に触れるきっかけを、必ずしも室内楽やピアノ曲を取り上げることがないイヴェントで、作ってくれたのですから。その上で、瀬川氏を初めとするサロンの人たちの力も忘れることは出来ません。私をピアノ曲へと誘ってくれたのは、間違いなく瀬川氏のサロンの人たちなのですから。
最近は仕事の都合で休みが取れなくなり、御無沙汰してしまっていますが、機会があればまた、参加したいなと思っております。この平均律クラヴィーア曲集の話題で、話しに花が咲くことができるといいなあと思っております。
聴いている音源
ヨハン・セバスティアン・バッハ作曲
平均律クラヴィーア曲集第2巻
前奏曲とフーガ第13番嬰ヘ長調BWV882 前奏曲
前奏曲とフーガ第13番嬰ヘ長調BWV882 フーガ
前奏曲とフーガ第14番嬰ヘ短調BWV883 前奏曲
前奏曲とフーガ第14番嬰ヘ短調BWV883 フーガ
前奏曲とフーガ第15番ト長調BWV884 前奏曲
前奏曲とフーガ第15番ト長調BWV884 フーガ
前奏曲とフーガ第16番ト短調BWV885 前奏曲
前奏曲とフーガ第16番ト短調BWV885 フーガ
前奏曲とフーガ第17番変イ長調BWV886 前奏曲
前奏曲とフーガ第17番変イ長調BWV886 フーガ
前奏曲とフーガ第18番嬰ト短調BWV887 前奏曲
前奏曲とフーガ第18番嬰ト短調BWV887 フーガ
前奏曲とフーガ第19番イ長調BWV888 前奏曲
前奏曲とフーガ第19番イ長調BWV888 フーガ
前奏曲とフーガ第20番イ短調BWV889 前奏曲
前奏曲とフーガ第20番イ短調BWV889 フーガ
前奏曲とフーガ第21番変ロ長調BWV890 前奏曲
前奏曲とフーガ第21番変ロ長調BWV890 フーガ
前奏曲とフーガ第22番変ロ短調BWV891 前奏曲
前奏曲とフーガ第22番変ロ短調BWV891 フーガ
前奏曲とフーガ第23番ロ長調BWV892 前奏曲
前奏曲とフーガ第23番ロ長調BWV892 フーガ
前奏曲とフーガ第24番ロ短調BWV893 前奏曲・フーガ
ヘルムート・ヴァルハ(チェンバロ)
地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。
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