かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

東京の図書館から〜小金井市立図書館〜:ロマン派のオルガン曲集

東京の図書館から、小金井市立図書館のライブラリを御紹介しています。今回はロマン派のオルガン作品集のアルバムです。

え、オルガン曲ってバッハだけじゃないの?と思われる方もいらっしゃるかと思います。ロマン派でもオルガン曲は作曲されているんです。

このアルバムには出てきませんがその代表的作曲家と言えばブルックナーです。このアルバムでは恐らくあえてブルックナーを外しています。ブルックナー鍵盤楽器が好きな人なら知っているから、です。それ以外の優れた作品をというのが、このアルバムからは溢れています。

まずは、メンデルスゾーン。彼も優れたオルガン作品を残しており、それがオルガン・ソナタです。その中から第4番が選択されています。この第4番、バッハのような圧迫感がなく、演奏するは松居直美女史ですが、どこか可憐さすらある、温かい演奏からは、メンデルスゾーンの人柄すら見え隠れします。

次に、ブラームスブラームスはピアニストだったことからも、オルガン曲を残しており、これもまた優れた作品が多いです。特にこのアルバムで収録されているコラール前奏曲作品122はブラームス最後の作品なのです。

ハルくんの音楽日記
ブラームス オルガンのための「11のコラール前奏曲」op.122 〜この世よ、われ去らねばならず〜
http://harucla.cocolog-nifty.com/blog/2012/12/op122-7d5d.html

そのせいか、バッハのような圧迫的なものではなくむしろ静かな作品で、内省的です。バッハはどうもなあって方にはぜひお勧めしたい作品です。ただ、涙が止まらなくなっても責任は持ちませんが・・・・・

次が、マックス・レーガ―。時代的に不協和音も散見される作品を多くのこしており、収録されている「幻想曲とフーガ ニ短調作品135b」でも同様です。けれども、バッハを強く意識しつつも、華麗な作品に仕上げるあたり、才能豊かだと思います。レーガ―は交響曲を残していないせいか低い評価になることが多ですが、特に手腕を発揮したオルガン曲では優れたものが多いのです。

最後に、リスト。え、リストがですか?と驚く人も多いかもしれません。しかし、リストは宗教作品を多くのこすようになってからオルガン作品も多くのこしています。そのうち、バッハの作品からのトランスクリプションした「アダージョ変ニ長調」と、マイアベーアのオペラ「預言者」から引用しトランスクリプションした「コラール「アド ノス、アド サルタレム ウンダム」による幻想曲とフーガ」が収録されています。

「アド ノス、アド サルタレム ウンダム」とは、『私達へ、魂の救いを求める人々へ』という意味で、オペラ「預言者」の中で歌われるコラールです。

預言者 (オペラ)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%A0%90%E8%A8%80%E8%80%85_(%E3%82%AA%E3%83%9A%E3%83%A9)

コラールを題材にオルガン作品を作曲する・・・・・これって、何かに似ていると思いませんか?そう、バッハなのです。多分、感のいい方はお気づきだと思いますが、ここに収録されている作曲家達は全て、そのルーツをたどりますとバッハなのです。そして、鍵盤楽器で素晴らしい作品を残している作曲家達ばかりなのです。といことは、隠れたテーマは「バッハに連なる鍵盤楽器作曲家達の作品集」ということになります。

このリストのものは、初演は残念ながらリスト本人ではなく友人のオルガニストでしたが、それはピアノという楽器の発展に伴って、ピアニストが専門職になったためです。そしてそれはヴィルトォーソが出現する歴史そのものでした。

しかし、この作品が作曲された時期(1850年)のリストは、演奏からは遠ざかる時期で、交響詩の確立と発展に資力する、作曲家としてのキャリアを歩み始める時期に重なっています。それは後年、透徹とした作品へと変化していく、一つの分水嶺の時期に当たります。ですから、超絶技巧というよりは、交響詩のようなドラマティックな作品となっており、圧迫感もさほど感じない作品です。

これらの作品を、松居女史は巧みに弾き分けています。特にブラームスでは、その悲しみと諦観を巧みに表現し、決してオルガンを力任せに弾いていません。一方リストでは思いっきり弾いてドラマティックさを存分に表現しています。この柔軟な表現力はさすがです。そしてロマン派の鍵盤楽器を得意とした作曲家達は、バッハの伝統に連なりながらも、決して圧迫感を前面に出さず、自分の表現を前面に押し出していることを、自然体の演奏で表現しているのもまた好印象です。

バッハだけを聴いてしまいますと、どうしてもオルガン曲は圧迫するものというイメージが付きがちなのですが、ロマン派の作品を聴きますと、オルガン曲にも沃野が拡がっていることを、松居女史は教えてくれます。




聴いている音源
フェリックス・メンデルスゾーン・バルトルディ作曲
オルガン・ソナタ第4番変ロ長調作品65
ヨハネス・ブラームス作曲
コラール前奏曲作品122
1.一輪のばらは咲きて
2.わが心の切なる願い
マックス・レーガ―作曲
幻想曲とフーガ ニ短調作品135b
フランツ・リスト作曲
アダージョ変ニ長調
コラール「アド ノス、アド サルタレム ウンダム」による幻想曲とフーガ
松居直美(オルガン)

地震および津波、水害により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福と復興をお祈りいたします。同時に救助及び原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




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