かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

コンサート雑感:瀬川玄 ピアノリサイタルを聴いて

コンサート雑感、今回は平成30年10月12日に聴きに行きました、瀬川玄ピアノリサイタルを取り上げます。

瀬川氏とは、もうmixiからのお付き合いになりますが、最近は道場へ行くのがご無沙汰になっているため、リサイタルは是非ともと思っていたのですが、ちょうど10月にあると知って、予定は入れたのですがシフトがなかなか定まらず、その前の週になってようやく時間が取れることが決まり、急いでチケットを道場仲間に頼んだのでした。

そんなこんなでようやく行けたリサイタルだったのですが、最近PCの調子が悪く、しかも仕事明けに重なり、かつ仕事も残業と・・・・・1プロのフランス組曲は聴けずじまいでした。2曲目のイギリス組曲からでした。

当日のプログラムは、以下の通りです。

�@バッハ フランス組曲
�Aバッハ イギリス組曲
�Bドビュッシー 練習曲集

なんでバッハとドビュッシー?と思うかもしれません。ドビュッシーは今年没後100年なのです。そしてバッハは生誕333年なのです!なんと3のぞろ目。で、ホールはこれもまた収容人数333人と3のぞろ目である、銀座ヤマハホール

私にとって、多分ヤマハホールはずいぶん久しぶりだと思います。確か昔はホールへ行くエレベータは別にあったように思うのですが、リニューアル後は店内に。多目的ホールみたいな感じだったのが、何と美しく素晴らしい残響なのでしょう!

室内楽をやるには最高レベルの素晴らしいホール。そんなホールで、これまた瀬川氏らしい趣向のリサイタルとなりました。というのは、バッハとドビュッシーとで、使うピアノが異なるのです・・・・・

https://www.yamahaginza.com/hall/rentalhall/facilities/

お気づきでしょうか、ピアノがヤマハベーゼンドルファーと、二つあるのを。ヤマハCFXと、ベーゼンドルファー290。この二つを、バッハはベーゼンドルファーで、ドビュッシーヤマハで、演奏したのでした。

良く聴けば、そのチョイスはまさにピアニスト瀬川氏ならではだと思います。バッハでは気品と深みのあるベーゼンドルファーを。そして音色豊かなドビュッシーでは日本の風土に最も適したヤマハを。

その選択は絶妙だったと思うんですが、少なくともバッハのイギリス組曲は固かったなって思います。十分歌っているのは伝わってくるんですが、どこかスウィングできないんです。うーん、ちょっと玄さん調子悪いのかなあって思っていました。

バッハの組曲は、当日瀬川氏がプリントを入れた文章にあった通り、舞曲集なんです。ならば、スウィングしないとって思うんです。もっと端的に言えば、踊っていない、と言えるかと思います。多分、バッハという作曲家にのまれてしまったなあ、と。

バッハの作品はこういうはたやすいですが、合唱で歌った人たちも口をそろえるのですが、簡単に見えて難しいんです。技術もしっかりしていないと弾きこなせない上に、技術だけではうまく表現は出来ないって代物です。そこで重要なのは、どれだけピアノを使って踊れるか、なんです。レッツ・ダンス!

今、原稿を書くためにアンジェラ・ヒューイットの演奏を聴いていますが、とても細かい部分で実は踊っているんです。小節最後のリタルダンドなど、本当に細かいんですが、そこで踊っているんですよね。踊ることでカンタービレしている。うまいなあって思います。だからこそ、聴いていてノレるんです。

瀬川氏の演奏も、最初は踊れたんですが、次第に固くなっていくのが見えたのです。あれま〜、飲まれちゃってるなあ、と。バッハってそこが怖い作曲家、なんですよねえ。私もバッハのコラールを練習で使ったことがある経験から分かるんです、その怖さ。本当に気が抜けないんです。だからこそ瀬川氏も顔が引きつっているし。あらら、珍しいわあって。

練習重視の瀬川氏ですが、今回は本番では怖くて自分のパフォーマンスが存分に出せなかったかなと、前半はちょっとだけ残念でした。でも、カンタービレしてその巨大な山にアタックした敢闘精神はほめるべきだと思います。本当にバッハって難しいんですから!

で、後半のドビュッシー。これが打って変わって生き生きとしているんです。ふうって息をして緊張しているのかと思いきや、前半のバッハと比べればその生命力と瑞々しさと言ったら!さらに演奏からは、色を感じるんです。ドビュッシーは当時の画壇からも強く影響を受けていますが、私はむしろ近代的なポップなポスターのような色彩感を感じたんです。けれどもエチュードですから特段それで違和感ないんです。

どう考えても、玄さん、ドビュッシーのほうが好きでしょ!と思いました。バッハよりは明らかに弾きやすいって印象です。いや、構造的には恐らくドビュッシーのほうが複雑です。けれども明らかに、ドビュッシーのほうが弾きやすいって思っているなと感じました。顔も生き生きとして満面の笑みですし、何よりもドビュッシーのほうが踊っているんです!それ、バッハでやらなきゃ〜

とピアノも弾けない私が言っても、ですが。けれどもまさにドビュッシーではダンスしていたんです。それは自然とカンタービレにつながっていましたし、ゆえに生命力と喜びに溢れる、素晴らしい演奏につながっていました。まあ、それだけバッハって作曲家の作品は、奥が深いってことなんです・・・・・それを知ることができただけでも、やはりリサイタルって素晴らしいなって思います。

アンコールでは、調律を担当されているお父様(実は長年ヤマハのピアノの調律師で、かのリヒテルも担当された名調律師)も登場して、再びベーゼンドルファーに座り、バッハの「ゴルトベルク」からアリア。あの有名な主題ですね。それを、舞台端で演奏するんです。そのほうがよほど素晴らしい演奏でした。ということは、プロでもそうとう緊張することがあるんだなあ、ということ。これは中大生も知っておいて損はないと思います。演奏前緊張しているのは自分たちアマチュアだけではないんです。プロだって緊張することがあるんです。それこそ、ベートーヴェンピアノソナタ全曲演奏を成し遂げた玄さんだって、です。皆さんが緊張しないわけないんです。けれども、自分たちがしてきた練習量を信じて、思い切って舞台上で「踊って」ください。年末のオケと合唱団、楽しみにしています。

さて、そんな中大生にもできれば聴きに行ってほしいのが、瀬川氏は年末、加耒氏と演奏会形式でドビュッシーのオペラ「ペリアスとメリザンド」を演奏します。それも私は楽しみで、是非ともオペラがピアノ伴奏になったらどうなるのかを楽しみに聴くと言うのもいいと思います。来年にはまた新たなプロジェクトもあるそうで、私も是非とも楽しみにしたいと思います。




聴いて来たコンサート
瀬川玄 ピアノリサイタル J.S.バッハ生誕333年 C.ドビュッシー没後100年
ヨハン・セバスティアン・バッハ作曲
フランス組曲第4番変ホ長調BWV815
イギリス組曲第5番ホ短調BWV810
クロード・ドビュッシー作曲
練習曲集
アンコール
ヨハン・セバスティアン・バッハ作曲
ゴルトベルク変奏曲BWV988より、第1曲 アリア
瀬川玄(ピアノ)

平成30(2018)年10月12日、東京中央、銀座ヤマハホール

地震および津波、水害により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福と復興をお祈りいたします。同時に救助及び原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




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