かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:ジュアン・アラン オルガン作品集1

神奈川県立図書館所蔵CDのコーナー、今回と次回の2回で、ジュアン・アランのオルガン作品集を取り上げます。

ジュアン・アラン。クラシックファンでも、この名をどれだけの人が知っているでしょうか。若くして夭折、いや、戦死したフランスの作曲家です。

ja.wikipedia.org

フランス語だと、ジュアンがジャンと聴こえる感じの発音でしょうか。そんな彼は決してオルガンだけの作曲家ではなく多彩ですが、その中でも得意としたのが、オルガン作品でした。そもそも、彼はオルガン奏者でもありましたし。

妹の遭難をきっかけに作風を改めて発表して名をはせることとなった「連涛」をはじめ、この第1集に収録されている作品はバッハのような圧倒的な音がそこにあるのではなく、当時の音楽潮流を見事にオルガンという楽器で演奏するにふさわしく統合し、一つの個性として存在させています。メシアンの不思議さんのような雰囲気があるかと思えば、どこか和声的な部分もあったりして、聴いていて飽きないのがその作品たちの素晴らしさだと思います。

で、その作品たちを演奏するのが、実はアランの末の妹である、ここまで何度も取り上げてきました、マリー=クレール・アランなのです。驚きなのは、その演奏様式は全くバッハを演奏するものとブレていないことなのです。なーるほど、彼女がバッハを演奏するってことは、そこに単にバッハという作曲家だけではなく、兄ジャンという作曲家も見ているんだなと納得するんです。かわいい妹・・・・・っていうか、私にはその演奏からは彼女の深い悲しみが見て取れるのです。

決して悲しみをストレートに出すわけではありません。けれども確実に悲しみがこちらに伝わってくる・・・・・優れた才能だと思います。若くして若い兄を失うその悲しみ・・・・・癒してくれたのは音楽だったのでは?と思わざるを得ないその繊細な演奏。こういう演奏こそ、私が待っていたもののように思います。

クルレンツィス/ムジカ・エテルナについては、「今月のお買いもの」コーナーで取り上げるつもりなので詳しくは書きません。けれども、彼らのどこか変に見えを切るような演奏は素晴らしいのですが魂に響かないんです。けれどもこのマリーのものは強く私の魂に響きます。決して音が強くなくても、そこに力強いメッセージがあり、魂が共感するのです。愛する人を失った悲しみを共に共有する同志として・・・・・

魂の神々しさともいうべきか。そんな力強い魂の言霊を、演奏からは感じざるを得ないのです。

 


聴いている音源
ジュアン・アラン作曲
①連禱JA119
②クレマン・ジャヌカンのテーマによる変奏曲JA118
③幻想曲第1番JA72
④幻想曲第2番JA117
オルガンのための組曲
⑤1.序奏と変奏JA69
⑥2.スケルツォJA70
⑦3.コラールJA82
⑧アニ・ヤヴィシュタに捧げる2つの舞曲JA77、JA78
⑨小曲JA33
⑩ドリア旋法のコラールJA67
フリギア旋法のコラールJA68
⑫〈ルチス・クレアトール〉による変奏曲JA27
前奏曲とフーガJA75、JA57
前奏曲第1番「また、新たに」JA64
前奏曲第2番「そして今」JA65
3つの小品
⑯1.銀の環JA30
⑰2.ロマンス JA31
⑱3.グラーヴェ JA32
マリー=クレール・アラン(オルガン)

地震および津波、水害により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福と復興をお祈りいたします。同時に救助及び原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。