神奈川県立図書館所蔵CDのコーナー、マリー=クレール・アランが弾くバッハのオルガン作品全集をシリーズで取り上げてきましたが、今回はその第14集を取り上げます。
この第14集で終わるこの全集、正確には全曲ではなくて前ジャンルって感じでしょうか。それでもほとんどを網羅しているこの全集は人類の至宝だと思います。
さて、最終第14集は「時代を超えた天才、バッハ」と銘打たれています。例えば第1曲目のもう有名すぎる「パッサカリア」は、そもそもが前時代の作曲家のものをバッハの時代にアレンジしたもので、そしてそれはブラームスの交響曲第4番へとつながっていきます。
超有名曲であるフーガ BWV578も同じようにそもそもが原曲があるわけですが、後世への影響は計り知れません。とくに以下のウィキで紹介されているものの中には、私が好きな→Pia-no-jaC←もいます。
そして、極めつけはコラール「われらが神は堅き砦」BWV720。メンデルスゾーンが交響曲第5番「宗教改革」最終楽章で使っています。
過去とバッハが生きた時代。そして現代とが、バッハの作品でつながるんですね。そして、多くの作品がなお、コンサートピースとして現役である。これをもってして「時代を超えた天才」と言わずしてなんでしょうか!
しなやかなアランのオルガンは、たとえば第1曲の聖堂を包むかのようなパッサカリアにしても、シューブラー・コラール集の可憐な作品たちにしても、生命力を感じ、飽きることがありません。アランがバッハの作品を自家薬籠中のものとしているのがよくわかりますし、雄弁に語るその演奏に、思わず没頭してしまいますw
少なくとも、私が持っているオルガン演奏の中で、最も素晴らしいものをあげよと言われれば、迷うことなくこのアランを挙げます。兄を戦場で失った彼女だからこその譜読みからの深い精神世界の構築は、私にとっては「力と希望と共感の分かち合い」です。この全集に出会って、本当によかったなとおもいます。
聴いている音源
ヨハン・セバスティアン・バッハ作曲
パッサカリア ハ短調BWV582
シューブラ―コラール集
コラール「目覚めよ、とわれらに呼ばわる物見らの声」BWV645
コラール「われはいずこにか逃れゆくべき」BWV646
コラール「尊き御神の統べしらすままにうつろい」BWV647
コラール「わがこころは主をあがめ」BWV648
コラール「ああ、われらとともに留まりたまえ、主イエス・キリストよ」BWV649
コラール「イエスよ、汝いまぞ天より下りたまい」BWV650
フーガ ト短調BWV578
プレリュードとフーガ ト長調BWV541
コラール「われらが神は堅き砦」BWV720
プレリュード ト長調BWV568
オブリガード・チェンバロとヴィオラ・ダ・ガンバのためのソナタBWV1027より 第4楽章:アレグロ・モデラート
トリオ BWV1027a
音楽の捧げもの BWV1079より 6声のリチェルカーレ
プレリュード イ短調BWV569
マリー=クレール・アラン(オルガン)
地震および津波、水害により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福と復興をお祈りいたします。同時に救助及び原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。