かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

今月のお買いもの:リスト 巡礼の年1

今月のお買いもの、平成28年10月に購入したものを御紹介します。今回はディスクユニオン新宿クラシック館にて購入しました、リストの「巡礼の年」の第1集をご紹介します。

ドイツ・グラモフォンの輸入盤の中古というこのCDは、巡礼の年が全部入ったボックスです。収納も狭く、それでも巡礼の年は全部入っているという、お得なものでした。

神奈川県立図書館でリストのピアノ作品全集を借りようと思い立ち、借りたのは良いのですが、リストの作品はとてもたくさんあり、借りたナクソスの全集もまだ途中で、図書館自体もまだ購入が済んでいないという状況で、図書館だけでそろえるのは断念したのでした。そこで、ディスクユニオンで購入したのがこのCDです。

特に有名な「巡礼の年」は第2集だけしか収録されていなかったため、やはり巡礼の年だけでも全部欲しかったのです。巡礼の年だけでも、リストの作品を俯瞰できる、優れた作品集だからです。

巡礼の年
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B7%A1%E7%A4%BC%E3%81%AE%E5%B9%B4

リストオリジナルの作品の変遷を辿りたければ、作品全部をそろえなくてもこの「巡礼の年」だけをそろえるだけでも違うとされています。確かに、少なくとも1年目を聴くだけでも、私はそう思います。

第1集は1年目のスイスが収録されており、スイスにちなむ作品が集められています。

リスト : 巡礼の年 第1年「スイス」
Liszt, Franz : Annees de pelerinage Premiere annee Suisse S.160/R.10 A159
http://www.piano.or.jp/enc/pieces/1447/

ウィキとピティナどちらが解説して優れているかとなるとなかなか難しいですが、聴衆ならウィキ、演奏者ならピティナという感じでしょうか。ただ、聴衆の立場であっても、ピティナの「演奏のヒント」は聴く助けになると思います。あくまでも一つの説明ですが、参考にはなります。その意味では、ピティナのほうがいいかもしれません。

確かに、リストには威厳があります。私はリストはロマン派におけるベートーヴェンだと思っています。ですから威厳があるように感じるのは当然ではあるんですが、かといって荘厳だけなのかと言えば、それは違います。

この第1年では様々なリストの様式が出てきます。前半は「伝説」のように静かですが威厳をもった作品が並びますが、後半は前半生の演奏者としての全盛期の時のように超絶技巧が並びます。リストの人生の様式で大きく分かれるその二つが同居するのがこの第1年です。

ですから、演奏としては当然ですが変幻自在に弾き分けなければいけませんし、リストの様式の変化を理解していないと自分勝手な演奏になります。このCDに置いてはそのようなことがなく、リストの「世界」がそこにしっかりと存在し、その上で演奏者ののびのびとした部分が存分に反映されています。

そのピアニストはラザール・ベルマン。録音はちょうど西側に紹介された時期になりますが、ウィキの記述のようにアコーギクが少ないのが特徴で、この第1年であってもそれは変わりません。

ラザール・ベルマン
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A9%E3%82%B6%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%83%99%E3%83%AB%E3%83%9E%E3%83%B3

旧ソ連で制約を受けていたせいなのか、苦しみや悲しみが演奏にじんわりと反映されており、特にアコーギクを付けなくても自然なテンポの揺れだけでしっかりと歌っているのです。聴いているこちらもいつのまにかじんわりと感動し、いつしか同じ世界にいたりします。その「自然な引き込まれ方」が見事です。もう、恐れ入りましたって感じです。

図書館で第2年を借りて以来、巡礼の年は欲しいと思ってきましたが、少なくとも第1年に限っては、買ってよかったと思う演奏です。心にいつしか残る・・・・・ベルマンの苦労が滲み出ています。




聴いているCD
フランツ・リスト作曲
巡礼の年第1年 スイス
ラザール・ベルマン(ピアノ)
(Deutsche Grammophon 471 448-2)

地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




このブログは「にほんブログ村」に参加しています。

にほんブログ村 クラシックブログへ
にほんブログ村
にほんブログ村 クラシックブログ クラシック音楽鑑賞へ
にほんブログ村
にほんブログ村 クラシックブログ クラシックCD鑑賞へ
にほんブログ村
にほんブログ村 クラシックブログ 合唱・コーラスへ
にほんブログ村