かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:ストラヴィンスキー 火の鳥

神奈川県立図書館所蔵CDのコーナー、今回はストラヴィンスキー火の鳥を取り上げます。

火の鳥がどんな作品であるか、知っているひとは多いかと思いますが、確認しておきたいと思います。火の鳥は、ストラヴィンスキーが1910年に完成させたバレエ音楽とバレエです。それ以降、組曲が3版作られました。

火の鳥 (ストラヴィンスキー)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%81%AB%E3%81%AE%E9%B3%A5_(%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%A9%E3%83%B4%E3%82%A3%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%BC)

そう、バレエ音楽なのです。でも、演奏会やメディアで取り上げられることが多いのは、組曲なのです。そっちで知っている人の方が多分圧倒的だと思います。もともとはバレエ音楽だと知識では知っていても、では実際のバレエ音楽としての人の鳥は聞いたことありますか?となると実は少ないのです。

バレエ音楽、かなり広範囲に言えば舞曲ですが、バロック時代から続くクラシック音楽のジャンルですが、バレエ音楽としての作品が数多く作曲されるようになるのは、後期ロマン派以降です。

バレエ音楽としての火の鳥は、あくまでも音楽とバレエが一体となった、総合芸術です。ウィキにある通り、ストラヴィンスキーは音型の複雑さよりも、使う楽器の数を多くすることでアンサンブルの複雑さを追求しています。ですから作曲年代にしては不協和音が少ないなと思う方もいるかもしれない作品です。

でも、それがストラヴィンスキーが作品で表現しようとしたことなのです。火の鳥の生命力や、幻想的雰囲気を最大限表現したくてこのようにしたのは間違いないわけです。ではなぜ最大限表現しようとしたのか。妥協する気がなかったのか。

それは、この作品がバレエ音楽だからです。つまり、踊りがあって、その踊りとのコラボレーションが前提だからです。踊りは象徴的でもあり、時として直接的でもあります。視覚で聴衆に訴えるからです。ということは、音楽もそれだけ濃いものが要求されます。ストラヴィンスキー火の鳥という壮大な物語を踊りと音楽で表現したかった結果が、この作品であると結論付けることができるでしょう。

殆ど編成が変らない1911年版の組曲はあまり演奏されず、もう少し簡略化された編成の1919年版を聞いたことがある人からすれば、ある意味驚異をもって受け取るのではないでしょうか。

ストラヴィンスキーはそもそも、それほど音楽史において何か新しいことをした作曲家ではないことは、以前ご紹介したことがあるかと思いますが、そのために、旋律線はそれほど不協和音に支配されているわけではありません。その制約の中でストラヴィンスキーはオーケストラの編成でもって最大限の表現をする道を選んだわけです。その意味では、この原典版を借りて良かったと思います。

確か、この音源を借りた時は、すでに組曲を聴いていて、さらに某SNSでの鑑賞会でこの1910年原典版の抜粋を聴いたように記憶しています。そこで、この音源を見つけ借りたのではなかったかなあと思います。

この演奏では時間にして50分ほど。決して短いわけではないですが、後期ロマン派の交響曲ほどの長さですから、聴くには長くないと思います。是非とも、どの演奏でもいいので原典版を聴くことをお奨めします。

さて、その演奏なのですが、指揮はフランスものやロシアものを振らせたら職人芸のデュトワ。オケはモントリオール響。名コンビが織りなす音の万華鏡は、そこに火の鳥が舞っているのが見えるかのようです。元々バレエ音楽ですから当然ですが、生き生きと野性味がある演奏は、見えないダンサーを顕在化させるかの如くです。音源はCDですからどうやってもダンサーを見せるわけにはいかないわけですが、デュトワはオケにそこにダンサーがいるかのように、でもオケにのびのびと演奏させているのが本当に素晴らしい!

カップリングの幻想的スケルツォはより不協和音が多用されているこれも幻想的な作品ですし、花火も同様の作品ですが、この3つがあることで、ストラヴィンスキーという作曲家がどのような作品を書く人物だったのかが明確になっているのがこの音源の特徴で、楽しめるものです。ストラヴィンスキーがどんな曲を書くのかと知りたければ、お勧めの一枚です。是非とも県民の皆さまは図書館へ!




聴いている音源
イーゴリ・ストラヴィンスキー作曲
火の鳥(1910年原典版
幻想的スケルツォ 作品3
花火 作品4
シャルル・デュトワ指揮
モントリオール交響楽団

地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




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