かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

東京の図書館から~小金井市立図書館~:レスピーギ 作品集1

東京の図書館から、今回も小金井市立図書館のライブラリをご紹介します。レスピーギの作品を収録した2枚組アルバムのまずは1枚目です。

この一枚目には、「ローマの噴水」「組曲 鳥」「ボッティチェリの3枚の絵」「ローマの祭り」の4曲が収録され、それぞれ指揮者とオーケストラが違うという豪華というか、寄せ集めてきたというか、というアルバムになっています。

「ローマの噴水」はよく知られた作品。ローマにある噴水を描きつつ、それを一つの作品というか「絵」にまとめ上げたかのような作品で、違う噴水を描いているのに楽章はつながっているという作品です。アンセルメ指揮スイス・ロマンド管弦楽団の演奏。瑞々しい演奏が単なる絵画をまるで動画にしているかのようです。

2曲目が組曲「鳥」。これは初めて聴く作品ですが前奏曲のあとそれぞれ描かれている鳥がとてもかわいい。この演奏もDSEE HXを動作させてMusic Center for PCにて聴いていますが(今回はしっかり並んでおります)、まるでホールにいるかのような錯覚に陥ります。前奏曲以外はもともと17世紀の作品をもとにしていますが、レスピーギ管弦楽法が冴える作品でもあるため、DSEE HXを動作させると本当にホールにいるかのよう。イシュトヴァン・ケルテス指揮ロンドン交響楽団

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3曲目が「ボッティチェリの3枚の絵」。ボッティチェリの絵画から、それぞれ有名な「春」「東方の三博士たちの礼拝」「ヴィーナスの誕生」の3枚を音楽にしたもの。音楽にしたというよりは、多分ですがその絵画から受けたインスピレーションを音楽にしてみた、というものだと思います。2枚は知らなくても最後の「ヴィーナスの誕生」はあのヴィーナスが貝の上に乗っている絵なので知っている人も多いかと思いますが、この音楽からあの絵を想像するかなあという気はします。とはいえ、レスピーギオーケストレーションはさえわたっている作品です。それを室内オケでやるというのも、ある意味ヨーロッパらしく、むしろ音の一つ一つが明確で、なるほどそう受け取っているのねレスピーギはと説得力のある演奏になっているのが魅力です。ラーズロ・ハルタイ指揮アルゴ室内管弦楽団

そして最後4曲目が「ローマの祭り」。これもローマを代表する祭りを4つの楽章で描きながらも続けて演奏することで一つの作品にまとめ上げたもので、「ローマの噴水」のように時系列でまとめ上げられている作品です。これ、意外と調べないとわからない情報ではないかと思います。

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古代ローマからキリスト教が完全に布教された時代までを俯瞰する作品でもあるわけですが、とにかく壮麗でもあります。これを演奏するのはシャルル・デュトワ指揮モントリオール交響楽団デュトワが得意とするような作品でもあるせいか、そのタクトは冴えていますし、またオケの反応も素晴らしいため、各祭りの「熱狂」という部分もクローズアップされます。意外とこの作品には考えさせられる点があるんだと教えてくれる演奏でもあるでしょう。

そう考えると、それぞれ別な指揮者、オーケストラを持ってきたのには意味がある、と言っていいでしょう。勿論一人の指揮者、ひとつのオケで演奏したっていいはずですが、あえて「寄せ集め」にしてみることで各曲を聴いて浮かび上がるものを聴衆が考えるきっかけを与えているとすれば、これはいいアルバムだと言えるでしょう。

 


聴いている音源
オットリーノ・レスピーギ作曲
交響詩「ローマの噴水」
組曲「鳥」
ボッティチェリの3枚の絵
交響詩「ローマの祭り」
エルンスト・アンセルメ指揮
スイス・ロマンド管弦楽団(ローマの噴水)
イシュトヴァン・ケルテス指揮
ロンドン交響楽団組曲「鳥」)
ラーズロ・ハルタイ指揮
アルゴ室内管弦楽団ボッティチェリの三枚の絵)
シャルル・デュトワ指揮
モントリオール交響楽団(ローマの祭り)

地震および津波、水害により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福と復興をお祈りいたします。同時に救助及び原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方、そして新型コロナウイルス蔓延の最前線にいらっしゃる医療関係者全ての方に、感謝申し上げます。