かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

東京の図書館から〜小金井市立図書館〜:ストラヴィンスキー ミューズを率いるアポロ

東京の図書館から、小金井市立図書館のライブラリを御紹介しています。今回はストラヴィンスキーのバレエ「ミューズを率いるアポロ」と協奏曲を2曲収録したアルバムを御紹介します。

元々は国内盤だったと思うんですが、とは言えストラヴィンスキーのこのようなアルバムを保有する小金井って、本当に不思議な自治体だって思います。まあ、本当に愚直に図書館の使命にまい進していると言うか・・・・・

と言うのは、このストラヴィンスキーのバレエは、本当に古典的な作品だからです。

ミューズを率いるアポロ
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9F%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%82%BA%E3%82%92%E7%8E%87%E3%81%84%E3%82%8B%E3%82%A2%E3%83%9D%E3%83%AD

ストラヴィンスキーのイメージは、もう「火の鳥」で野性的で激しく、不協和音だたようわけわかんないものってイメージが、恐らく我が国の聴衆には広くシェアされているという点があるかと思いますが、どっこいそんなことはないと言うアルバムを結構図書館は持っていたりしますけれど、これもその一つです。和声は確かに20世紀的ですが、様式的には実に古典的な作品です。しかしこれを熱狂で持って迎えた当時のパリ市民って、月並みな言葉ですが本当にすげえって思います。

感動しなければ音楽じゃない・・・・・本当ですか?勿論感動することは素晴らしいことです。けれども感動するってことは日常で度々あることではありません。喜びだとか、普通に喜怒哀楽を感じることもまた、重要な事であるはずです。驚き、気付き、それによる喜び。それもまた、音楽を聴くときに大切にされるべき要素であれば、恐らくパリ市民にとってはこのバレエは驚きと気づきで喜びに満ちたものであったに違いありません。

ギリシャ神話の世界を、限られた要素の中に詰め込み、しっかりと一つの世界が構築されている・・・・・それは唸りますよね、ヨーロッパの知識層であれば。知識層に絶妙にフィットする作品を描いたストラヴィンスキーの、才能の豊かさを物語る作品だと思います。

このアルバムに至るには、私にとって確かに「火の鳥」という作品は重要なきっかけになっています。それはなぜかと言えば、「火の鳥」をきっかけにしてストラヴィンスキーのバレエを俯瞰してみようという想いに至らしめたからです。こだわりを一旦棚上げにして、片っ端からストラヴィンスキーバレエ音楽を聴いてみれば、「火の鳥」とは全く違った沃野が拡がっているではありませんか!そしてこの「ミューズを率いるアポロ」もまた、その沃野に咲く美しい花の一つであったわけです。

こういった沃野を知っているからこそ、例えばクルレンツィスあたりが「火の鳥」などを振れば、単なるバーバリアンとは異なる解釈になるのは自明の理と言えるわけです。それに感動するか、或は単に納得するかは、人それぞれです。

このアルバムでは、カップリングがまた、「ミューズを率いるアポロ」を意識した編集になっており、二つの室内協奏曲が収録されています。一つが「ダンバートンオークス」協奏曲と言われる、「室内オーケストラのための協奏曲 変ホ長調」です。

協奏曲「ダンバートンオークス
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8D%94%E5%A5%8F%E6%9B%B2%E3%80%8C%E3%83%80%E3%83%B3%E3%83%90%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%82%AA%E3%83%BC%E3%82%AF%E3%82%B9%E3%80%8D

これもまた、「火の鳥」とは全く趣を異にする作品ですが、ストラヴィンスキー新古典主義へ傾倒した時代の作品としては至極当然の作品だと言っていいでしょう。様式的にはバロックですが、その和声は明らかに20世紀音楽そのものです。

同じ系統の作品が最後に収録されている「弦楽のための協奏曲ニ長調」。委嘱及び初演のオケにちなんで「バーゼル協奏曲」とも言われる作品です。

弦楽のための協奏曲 (ストラヴィンスキー)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BC%A6%E6%A5%BD%E3%81%AE%E3%81%9F%E3%82%81%E3%81%AE%E5%8D%94%E5%A5%8F%E6%9B%B2_(%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%A9%E3%83%B4%E3%82%A3%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%BC)

後にエロティックでスキャンダラスなバレエ音楽へと変化しますが、それだけのポテンシャルを持つ作品だともいえるでしょう。

演奏するはサロネン指揮スコットランド室内管弦楽団。オケは以前モーツァルトのピアノ協奏曲でも登場したオケですが、各々小編成の作品にぴったりだと言えます。小編成の作品が持つ凝縮された魅力を存分に引き出していますし、またサロネンの実に端正な解釈も又、作品の魅力を引き出すのに貢献しています。その上でしっかりとカンタービレされているその演奏は、スコアリーディングにより指揮者と演奏者、そして作品の3者がしっかりと対話されていることを意味します。ですので優美かつ生命力あふれる演奏になっているのは、さすがだと思います。

こういった室内オケによる演奏や、室内オケ向きの作品を日本はもっと評価したほうがいいと思います。日本人作曲家も作曲をしていますし(特に伊福部)、いい室内オケもプロアマ問わず幾つも存在しています。大きなオケだけがオケではないですし、もっと私たちは「存在する沃野」に眼を向けて行った方がいいと思います。




聴いている音源
イゴール・ストラヴィンスキー作曲
バレエ「ミューズを率いるアポロ」(1947年改訂版)
室内オーケストラのための協奏曲 変ホ長調ダンバートンオークス
弦楽のための協奏曲ニ長調バーゼル協奏曲)
ユカ・ペッカ・サラステ指揮
スコットランド室内管弦楽団

地震および津波、水害により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福と復興をお祈りいたします。同時に救助及び原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




このブログは「にほんブログ村」に参加しています。

にほんブログ村 クラシックブログへ
にほんブログ村
にほんブログ村 クラシックブログ クラシック音楽鑑賞へ
にほんブログ村
にほんブログ村 クラシックブログ クラシックCD鑑賞へ
にほんブログ村
にほんブログ村 クラシックブログ 合唱・コーラスへ
にほんブログ村