かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

東京の図書館から〜小金井市立図書館〜:ストラヴィンスキー プルチネルラ他

東京の図書館から、小金井市立図書館のライブラリを御紹介しています。今回はストラヴィンスキーのプルチネルラ他を収録したアルバムを御紹介します。

何だ、有名曲じゃないかって?ええ、確かに。けれども、このプルチネルラがあるってことは、司書さんのセンスが結構いいってことを意味しているんです。

このアルバムは、プルチネルラの他には、11楽器のためのラグタイム、狐、そして八重奏曲の4曲が収録されていますが、これ等の作品はストラヴィンスキーの守備範囲の広さと、その音楽の沃野を見せてくれるものです。

しかも・・・・・

それを語るには、もう一気にプルチネルラと狐の説明に入ったほうがいいと思います。ともにストラヴィンスキーの名声を広めた作品なんですが、ともに声楽が入っているんです。

プルチネルラ
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%97%E3%83%AB%E3%83%81%E3%83%8D%E3%83%AB%E3%83%A9

狐 (バレエ)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%8B%90_(%E3%83%90%E3%83%AC%E3%82%A8)

音楽劇をバレエで、と言ったほうがいいような作品だと思います。プルチネルラはバロック音楽が基礎になっているのでより古典的な雰囲気がありますが、それよりも作品が徹底的に音楽劇をバレエでやっているという作品であること、なのです。

当時のバレエ・リュスであれば声楽がなくてもいいはずです。それだけの実力は持っていたはずです。しかしあえて、声楽が入っているんです。しかも、リンケージしていないと言う・・・・・

これって、ものすごく実験的なわけです。一方で語り(歌い)、一方で踊る。しかも、夫々が独立していたり、リンクしていたり。プルチネルラは大成功しましたが、狐は初演は今一つだったようですが、それは元々の言語がロシア語だったということがあるんだと思います。今聴きますとものすごく粋でかつ面白く、落語が好きな人であれば抱腹絶倒もんだと思います。

一方のプルチネルラは、演奏と踊りが必ずしもリンクしていないにもかかわらず、その諧謔的内容と、音楽が非常に古典的な冒険していないものであったため、大絶賛だったのだと思います。それにしても、この二つのバレエを見るだけでも現在の私たちからすれば真逆なのに、仕事を引き受けたんですね、ストラヴィンスキーは。

そこが面白いんです。と言うことは、ストラヴィンスキーというひとは、面白いこと好きだったんじゃないかって思います。昔のフジテレビの「俺たちひょうきん族」のような世界を目指していたのが、ストラヴィンスキーなのではないでしょうか。

そう考えると、例えば「火の鳥」などの不協和音全開の壮大な作品も、ストラヴィンスキーが「これ、新しくて面白いんじゃないか」って思ったゆえの、一つの到達点だと言えるのではないでしょうか。それがまだドビュッシーが生きていた時代に生まれるんですから・・・・・晩年、ドビュッシーも苦労するわけです。

他の2つ、11楽器のラグタイムや、八重奏曲もとても独創的で、こうなると確かにストラヴィンスキー新古典主義音楽にも数えられるんですが、ストラヴィンスキーの様式遍歴はうなづけるのではないでしょうか。兎に角、新しく面白いことを・・・・・節操ないようで実はしっかりと芯があった、と言う事でしょう。

演奏はサロネン指揮のロンドン・シンフォニエッタソリスト、オケ共に表現力抜群で、音楽だけでも笑かしてくれます。まるで狂言のよう!狂言に落語を足して2で割ったような。いや、狂言に落語すら内包しているかのようです。特にそれを感じるのが「狐」なんですが、ソリストが笑うし、歌うし、語る!それで面白さをしっかりと表現してしまうんですから、むしろダンサーのほうが難しいのではないかって思うくらいです。

舞曲でなかなか踊りまで見たいと思わせるものって少ないと思うんですが、この演奏は出来れば踊り付きで見たい!と思わせるものです。この素晴らしく面白い演奏にあった「バレエ」とは、一体どのようなものなんだろう?って思います。





イーゴリ・フョードロヴィチ・ストラヴィンスキー作曲
バレエ音楽「プルチネルラ」(1965年改訂版、全曲)
11の楽器のための「ラグタイム」(1918年)
歌と踊りによる道化芝居「狐」(1916年)
管楽器のための「八重奏曲」(1952年改訂版)
イヴォンヌ・ケリー(ソプラノ)
ジョン・アレー(テノール
ジョン・アレー(テノール1)
ナイジェル・ロブソン(テノール2)
デイヴィッド・ウィルソン=ジョンソンバリトン
ジョン・トムリンソン(バス)
エサ=ペッカ・サロネン指揮
ロンドン・シンフォニエッタ

地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




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