5月5日のこどもの日、友人に誘われてモーツァルトの「魔笛」を聴いてきました。
本来、このコンサートは3月21日に行われる予定でした。震災でその日に延期になったというわけです。
しかし、延期になっただけでよかったと思います。アマチュアオーケストラの中には、中止を余儀なくされた団体も多いのですから・・・・・
プログラムにも、それに対する感謝が述べられていました。
さて、このコンサートは演奏会形式と謳いながら、衣装は本格的なもので、特にパパゲーノは素晴らしいものでした。出てきたときにはもうおかしくってくすっと笑ってしまいました。
不謹慎と思われるかもしれませんが、パパゲーノでしたらそれくらいでいいと思います。
モーツァルトの魔笛は、モーツァルトが最後に書いたオペラで、正確にはジングシュピールという形式になります。
魔笛
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%AD%94%E7%AC%9B
作品の説明としてはいろんな解説がありますが、私としては、人というのは善悪どちらも兼ね備えるものであって、そのどちらになるとしてもおかしくない。だから、そのバランスを重視した上で、佳き方向へ進むべきなのだということをテーマにしていると解釈しています。フリーメーソンの思想が色濃く反映されていると言われていますが、確かにそれは一理あると思います。
ただ、私はそれだけでなく、何となく「中庸」という、アジア的な考え方もそこには反映されていないかなとも思います。もしかするとそれは日本人の解釈なのかもしれませんが・・・・・
今回の演奏会では、私はテクストとしてそんな印象を受けました。ナレーターがついているのですが、そのナレーションはそういう印象を受けました。
演奏としては、ソリストはそれぞれ素晴らしかったと思います。ただ、夜の女王は高音部がやはり問題ありですね。ただ、今回歌ったソリストがコロラトゥーラだったのかは知りません。もしそうではないのだとすれば、よく歌いきったのではないかとは思います。第1部のアリアはどうなるかと思いましたが、第2部のいわゆる有名な「夜の女王のアリア」は高音部を不安定ながらなんとか歌い切っていたので、本人も不安定な点を認めたうえで対策をしている点がはっきりと伝わってきました。
完全ではないにせよ、こういった点が伝わってくるのは聴き手としてはとても嬉しいです。
さて、この演奏会、実は毎年私が聴きに行っているコア・アプラウスの指導者が主役級なので聴きに行ったわけなのですが、そのパミーナ役は本当に素晴らしかった!あのう、今年の年末もそんな感じでお願いしたいのですが・・・・・
2秒間の静寂
http://yaplog.jp/yk6974/archive/11
想い:アマチュアでもこれだけやれる
http://yaplog.jp/yk6974/archive/237
音楽雑記帳:コア・アプラウスの2010年コンサートを聴いての雑感
http://yaplog.jp/yk6974/archive/483
今回は本当にのびのびと歌っていました。力が抜けているからこその力強さがひしひしと伝わってきて、このソリストはこんなにも素晴らしかったのだなと改めて思いました(ご本人が読んでいらしたら生意気言いまして申し訳ありませ〜ん!)。でも、それが分かってしまったからには、今年の年末は期待したいところです!
なーんて書いたら、ご本人にはプレッシャーになりますでしょうか・・・・・
合唱も素晴らしかったです。特に力強く端整なその演奏は、まさしく古典派の音楽を知り尽くしているなと思いました。アマチュアだと思いますが、その点が本当に素晴らしかったです。
指揮者の砂川先生はご自分の記念の演奏会でありながら大変冷静な指揮をされていました。最初のタクトを振りおろすときには気合いの入った呼吸が聴こえてきましたが、それは熱を帯びているというより、最大集中していると感じました。それが表れていたのがテンポで、あまり揺らぎません。この点がとても素晴らしかったです。いっぽうでオケは18世紀の編成を取ったからでしょうか、はじめはアンサンブル上おや?と思う場面が何度もありましたが、しかしそれも音楽が進むにつれ、コンサートマスターが修正していくのが手に取るようにわかり、最後は素晴らしいアンサンブルでした。ただちょっと疲れ気味でしたね。まあ、それだけオケは大変な曲でもありますが・・・・・
全体的には、素晴らしい演奏だったと思います。あまり大きなところのバックアップなしでのそれだけの演奏は、高く評価してよいと思います。
聴いてきたコンサート
砂川稔 楽壇生活六十周年記念公演
モーツァルト 歌劇「魔笛」(演奏会形式 抜粋)
砂川稔指揮
ポート・ストリングス・オーケストラ 他
2011年5月5日、東京、永田町、紀尾井ホール
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