今月のお買いもの、今月は5つ取り上げます。まず一枚目は、横浜関内のプレミア・ムジークで買い求めました、トランペット協奏曲の名曲集です。トランペット奏者は、モーリス・アンドレ。
まず、モーリス・アンドレの説明から参りましょう。
モーリス・アンドレ
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A2%E3%83%BC%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%AC
兎に角、トランペットの天才と言っていいでしょう。実際、このCDではとても艶のある、そして伸びやかな音色を聴かせてくれます。そしてそれをサポートするオーケストラが素晴らしい!
このCD、輸入盤で980円です。解説書がついていないのが難点ですが、一応作曲者についてはネットで拾うことが出来ますので、その説明もしながら述べていくことにいたしましょう。
まず、1曲目はハイドンのトランペット協奏曲です。
トランペット協奏曲 (ハイドン)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%88%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%9A%E3%83%83%E3%83%88%E5%8D%94%E5%A5%8F%E6%9B%B2_(%E3%83%8F%E3%82%A4%E3%83%89%E3%83%B3)
ウィキでの説明では作曲年までは説明がありません。注目すべき点は、この協奏曲は、有鍵トランペットのための協奏曲だということです。当時、トランペットにはバルヴがありませんでした。金管はほとんど当時バルブがなく、特にホルンなどはその典型ですが(ベートーヴェンの「英雄」第1楽章には、そのためホルン交換のための休符があることは有名です)、トランペットもそうであった時代に、鍵盤をつけて自由に音階をつけて演奏させようとしたのが、有鍵トランペットだったのです。
ただ、それは不人気だったようですね。結局、バルヴが付いたものが主流に成ったようです。この演奏は現在のバルヴ式のトランペットで演奏されています。
アンドレはコルネットも演奏したそうで、トランペットは自由に操れるようで、この演奏でもそんなレアな音楽を軽々と「こんなの朝飯前です」とばかりに演奏しています。さすが・・・・・
ハイドンの音楽も古典派的で、演奏時間もとてもコンパクトです。ただし、どちらかと言えば私としては交響曲でいえば一番最初の時期に当たる時期の作品なのではと思います。
2曲目は、父モーツァルトである、レオポルト・モーツァルトのトランペット協奏曲です。
レオポルト・モーツァルト
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AC%E3%82%AA%E3%83%9D%E3%83%AB%E3%83%88%E3%83%BB%E3%83%A2%E3%83%BC%E3%83%84%E3%82%A1%E3%83%AB%E3%83%88
以前も彼は取り上げていますが、実はこのCDを買う決断を下した理由が、このレオポルトの作品が入っていたことも大きいのです。そして、それは間違っていなかったと思います。
このCDに集録されているほかの作曲者と比べても、実は遜色ない作品がここにはあります。自在な展開、そして2楽章制という珍しさ。その上で第1楽章と第2楽章をさりげなくつなげる手法など、実はよく聴きますと素晴らしい点ばかりです。レオポルトのこういった曲はもっと評価されてもいいように思います。
やはり、レオポルトは息子ヴォルフガングよりも前の時代の作曲家だったのだなと思います。そういった点を、アンドレはさりげなく演奏で示しています。
3曲目は、リヒターのトランペット協奏曲です。リヒターと言っても、あのカール・リヒターではありません。マンハイム楽派成立時期の作曲家です。
フランツ・クサヴァー・リヒター
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%84%E3%83%BB%E3%82%AF%E3%82%B5%E3%83%B4%E3%82%A1%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%83%AA%E3%83%92%E3%82%BF%E3%83%BC
以前からこの時代の作曲家の曲は手に入れたいと思ってきましたので、これも収穫でした。構成としては協奏曲の基本に忠実で、さらに音楽としてはバロック的でバロックではない、ギャラント様式を楽しむことが出来ます。その音楽をアンドレはまたかるーく演奏してしまうのです。こういった点は本当に素晴らしいです。余計な力が一切なく、あくまでも光悦とした光の世界のような音楽を作り出しています。
4曲目は、シュテルツェルのトランペット協奏曲です。
ゴットフリートハインリッヒシュテルツェル
http://en.wikipedia.org/wiki/Gottfried_Heinrich_St%C3%B6lzel
※英語のページになります。ご注意ください。
バロック時代のドイツの作曲家で、バッハにも影響を与えた作曲家です。確かに、音楽的にはバロックですが、協奏曲の基本に忠実です。協奏曲を感じる1曲です。これもアンドレのトランペットは神々しく、光り輝く世界を表現しているかのようです。後年のバッハのカンタータで使われているトランペットを彷彿とさせます。
5曲目は、ヘンデルのトランペット協奏曲です。
ヘンデルの楽曲一覧
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%98%E3%83%B3%E3%83%87%E3%83%AB%E3%81%AE%E6%A5%BD%E6%9B%B2%E4%B8%80%E8%A6%A7#.E5.8D.94.E5.A5.8F.E6.9B.B2
これを見ますと、元はオーボエ協奏曲だったようです。この演奏がだれの編曲かはわかりかねますが、この時代にありがちなことだとすれば、ヘンデル本人であると言っていいでしょう。しかし全く違和感を感じません。こういった点がバロック音楽の一つの楽しみでもあります。構成としては4楽章のようになっていますが、実際にはグラーヴェが序奏であって、3楽章制と考えてよさそうです。
6曲目はヴィヴァルディの2本のトランペットのための協奏曲です。
アントニオ・ヴィヴァルディ
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%8B%E3%82%AA%E3%83%BB%E3%83%B4%E3%82%A3%E3%83%B4%E3%82%A1%E3%83%AB%E3%83%87%E3%82%A3#.E3.81.9D.E3.81.AE.E4.BB.96.E3.81.AE.E5.8D.94.E5.A5.8F.E6.9B.B2
構成としては確かに協奏曲の基本である、急〜緩〜急なのですが、緩徐楽章である第2楽章は事実上第3楽章の序奏としての役割をもち、レオポルト・モーツァルトのトランペット協奏曲と同様、楽章がつながっているような形になっています。当然ですがトランペットが二つ演奏されているわけなのですが、CDにはそのもう一人が記載されていません。恐らく、オケ(イギリス室内管弦楽団)の団員がソリストになっているものと思われます。その相手も素晴らしい演奏です。
最後はトレッリのトランペット協奏曲です。
ジュゼッペ・トレッリ
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%83%A5%E3%82%BC%E3%83%83%E3%83%9A%E3%83%BB%E3%83%88%E3%83%AC%E3%83%83%E3%83%AA
イタリアバロックの作曲家です。つまり最後の二人はバロックと言えばイタリアということで、イタリアの作曲家を持ってきています。それにしてもトレッリの音楽も抜けるような青空のようで、聴いていてすがすがしくもありますが、それはアンドレの演奏もあるのかもしれません。構成としてはこれも4楽章制となっていますが、これも第3楽章のプレストが第4楽章の序奏と考えれば、事実上の3楽章制と考えていいでしょう。
アンドレの素晴らしいトランペットに乗せて、バロックから古典派へと至る協奏曲の変遷を見ることが出来るように構成されているのは、毎度のことこの手の輸入盤のいい点だと思います。ドイツ・グラモフォンのマークもついていますので、元はグラモフォンからのCDだったのでしょう。しかし日本ではグラモフォンと言いますとドイツの大指揮者たちの演奏しか出さないというイメージがあります。しかしこういった輸入盤を聴きますと、そればかりではないということがよくわかります。
もっとこういったCDを、できれば国内盤で出してほしいものです。輸入盤で980円であれば、国内盤ではせいぜいその倍程度で発売できるのでは?という気がします。
聴いているCD
モーリス・アンドレ トランペット協奏曲名曲集
モーリス・アンドレ(トランペット)
ハンス・シュタットマイヤー指揮
ミュンヘン室内管弦楽団
アルバート・ビーチャム指揮
ローエン室内管弦楽団
サー・チャールズ・マッケラス指揮
イギリス室内管弦楽団
カール・リヒター指揮
ミュンヘン・バッハ管弦楽団
(Universal eloquence 480 0532)
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