今回の「マイ・コレクション」は、ベートーヴェンの「田園」を取上げます。指揮はオトマール・スウィトナー、オケはシュターツカペレ・ベルリンです。
このCDを買った理由は、このコンビが第九と一緒だったからです。当時私がこだわっていたのは「デジタル音源の名演」でした。そうはいうものの、時代はまだデジタルへと移り変わったばかり。まだアナログ音源をCDにしただけというものが多かったのです。
勿論、今ならばデジタル・マスタリングかデジタル・リマスターかなんてさほど気にはしません。しかし、当時我家にはLPもまだありましたし、さらにはオープンリールもありました。アナログの音源はたくさんあったのです。特に、エアチェックが・・・・・
デジタル・リマスターを買うということは、アナログよりちょっとだけいい音のものを買うだけ、という意識がありました。ですので、当時金銭的に困っていない限りはデジタル録音を買っていました。ですので、他の録音も考えたのですが、このコンビの第九が未だに好きであるくらいとても気に入っていたので、半ば信頼して買ったのです。
結果は・・・・・・まあ、可もなく不可もなく、という感じです。
今回、聴いて書こうと思ったのですが、何と、パソコンで認識してくれないのです。物理的にだめみたいで、再起動を繰り返すばかり。ですので、今回だけは聴きながら書くのはあきらめました。ですので、半ばオマージュのような感じになってしまうことをお許しください。
テンポとしては私好みでした。アンサンブルもいいですし。ただ、ダイナミクスに欠ける部分があったのは事実で、以後このCD以外にいくつか買い求めています。ベートーヴェンの交響曲で3枚以上買い求めたのは、友人から譲りうけたものも含めて第九と運命と田園だけです。それだけ、この曲に対する思いは強いのです。
私はこの曲にはどうしてもベートーヴェンの自然に対する思いというものを感じずにはいられないのです。この曲を書いたときのベートーヴェンは既に聴力を失っていました。彼が「心の耳」で聴き取った音を自らの感情と共に描いたのが「田園」なのです。私は小学生のころ親に連れられて八ヶ岳へと登るのが毎夏の恒例行事でした。そんな中央アルプスの大自然が心に残っている関係もあり、その風景と「田園」はかさなる部分が多いのです。
スウィトナーの指揮はその感情部分は若干押さえ気味ですが、それでも第1楽章の田舎に着いた時に湧き上がってくる楽しい感情は充分表現されています。プロオケですからそんな部分を粗末に演奏するわけはありませんが、それでも当時私はどうしても東側の演奏というものに対して偏見を持っていたことも事実であり、その部分でやっぱり信用していない点があったのです。
今ならば、もっとニュートラルに聴けますが、このコンビの演奏の魅力に気がつくまで、私は随分と遠回りしました。以前「皇帝」の時にも述べましたが、それに気がつくのは合唱団に入ってアンサンブルをあわせてからでした。
東側とは申せ、やはり国立歌劇場のオケなのです。国家の威信を背負っているだけあって、逆に粗末な演奏はしないものなのです。それにも気づくまでに20年ほどかかりました。
今では優先順位が下がった演奏ではありますが、それでもすばらしい演奏であることには変わりなく、パソコンで聴けないというのが本当に残念で仕方ありません。
新しいパソコンを買うまでの辛抱、かもしれません。
聴いているCD
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン作曲
交響曲第6番ヘ長調作品68「田園」
オトマール・スウィトナー指揮
シュターツカペレ・ベルリン
(DENON 38C37-7040)