かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

東京の図書館から~府中市立図書館~:ショルティとシカゴ交響楽団によるマーラー「復活」

東京の図書館から、今回は府中市立図書館のライブラリである、サー・ゲオルグショルティ指揮シカゴ交響楽団と合唱団他によるマーラー交響曲第2番「復活」を収録したアルバムをご紹介します。

マーラーの復活は私も様々音源を聴いていますが、ショルティはまだだったので聴いてみました。そもそも30年くらい前だと、マーラー交響曲全集に取り組んでいたのがエリアフ・インバルとサー・ゲオルグショルティの二人が代表的でしたし、私も第1番「巨人」はショルティで初めて聴きましたし、また神奈川県立図書館でも第7番などを借りてきて、マーラー交響曲を全曲そろえたりもしましたが、その中でショルティが指揮した第2番「復活」は抜けていたため、借りてきた次第です。元々は2枚組ですが一つとして扱います。

マーラーの「復活」は、1888~1894年にかけて作曲された交響曲です。「復活」は正式な表題ではなく後からつけられていますが、それは第5楽章の詩である「復活」から採られています。

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マーラー自身はこの標題を採用していませんが、最後の第5楽章で使われていることを考慮すると、適切な標題だとは個人的には思います。なぜなら後期ロマン派の交響曲はその重点が最終楽章に置かれるからで、特にマーラー交響曲はその傾向が強いからです。

そして、その最終楽章は、実はマーラーを表現する「神なき時代の宗教」という言葉は実は違和感があることをはっきりと示しています。確かにマーラーが生きた時代は教会の力は低下し世俗的な権力の時代ではありますが、かといってそこに宗教がないわけではないからで、そのいわば「庶民化した宗教」が前面に押し出された歌詞です。であればそこに「神は居る」わけで、決して神がいないわけではないんです。ただ、神という言葉は出てきません。その表面だけをさらって「神なき時代の宗教」など言われるのだと思います。正確には「教会権力無き時代の宗教」と言うべきでしょう。

そもそも、「復活」というのは明らかにイエスが磔刑の後復活したことに由来し、人間の運命や人生をイエスの受難になぞられているわけなんです。これがわかると決して「神なき時代の宗教」などではないとわかるのですよね。そういう言をいう人は必ずと言っていいほどバッハのカンタータを聴いていません。

つまり、後期ロマン派の交響曲の特色からして、第5楽章に最もマーラーが込めた想いが詰まっているわけで、そのため「復活」という標題はある程度適切だと私は判断していますし、また「神なき時代の宗教」という表現も適切ではないと判断するのです。

当然ですが、指揮するショルティ、あるいは演奏するシカゴ交響楽団の団員、合唱団、そしてソリストであるイソベル・ブキャナン、ミラ・ザカイの両名も、この作品が持つ真の意味を知識を総動員して楽譜から読み取って演奏しているわけです。それがクラシック音楽の演奏ですし、それが最低限のプロの仕事です。なぜ最低限かと言うと、それは今やアマチュアもやっているから、です。プロはそのうえで如何にレベルの高い演奏を聴かせるか、です。

その点で言えば、まさにプロらしい素晴らしい演奏を繰り広げていると言えます。固いティンパニはいいアクセントになっており時として大砲かと見まごうくらい。ティンパニは信号の意味もあるので私は固くぶっ叩いてくれる演奏が好きです。そのうえで繊細さもありますし。

それは弦楽器など他の楽器でも同様で、そのあたりの塩梅がしっかりと表現につながっているのを聴くのが、プロオケの味わい方です。また随所にみられるポルタメントもうまい!そのあんばいもいいです。過度にやれば甘美になりすぎて食傷しますがそのあたりのさじ加減が絶妙。そのうえで生命力も感じられます。そこには後期ロマン派の交響曲らしい人間性があるのと当時に、最終楽章における神を望む憧憬のような精神性も同居します。

これをしっかり表現するのはアマチュアでも素晴らしい演奏はありますがとても大変な作業なんです。ですがプロはそれをいとも簡単にやりのけてしまう・・・それがプロたる所以なのです。多少なりとも演奏経験があると演奏の見方聴き方はがらりと変わります。そのため私はアマチュアの演奏会に足を運び、そのレビューをして応援していますし、それが結果的に我が国の文化水準を上げることにつながると信じています。まさに母校日大三高の校歌にある如く「文化の守り」です。ショルティのタクトは感動的な最終楽章によりさらに私に勇気を与えてくれる素晴らしい演奏です。

 


聴いている音源
グスタフ・マーラー作曲
交響曲第2番ハ短調「復活」
イソベル・ブキャナン(ソプラノ)
ミラ・ザカイ(コントラルト)
サー・ゲオルグショルティ指揮
シカゴ交響楽団&合唱団(合唱指揮:マーガレット・ヒリス)

地震および津波、水害により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福と復興をお祈りいたします。同時に救助及び原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方、そして新型コロナウイルス蔓延の最前線にいらっしゃる医療関係者全ての方に、感謝申し上げます。