かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

マイ・コレクション:東急文化村オーチャード・ホールこけら落としの「復活」

今回のマイ・コレは、マーラーの「復活」です。指揮は尾高忠明、演奏は東京フィルハーモニー交響楽団他です。

え、なんでそんなものを買ったの?マーラーの復活ならほかの演奏者で名盤あるでしょ?というア・ナ・タ。確かに、名盤がほしいのであればおっしゃる通りです。が、このCDはいろんな感情があって買った一枚なのです。

この演奏が東京・渋谷の東急文化村オーチャード・ホールでの演奏を収録した初めてのCDである、ということと、私にとって3枚目のマーラーだった、ということの二つの理由で購入したものです。

東急文化村は、1989年に開館した複合文化施設で、東急百貨店本店に併設しています。もともと百貨店の搬入口があったところで、ある程度の敷地がありました。そこを再開発したものです。

私はその年にベートーヴェン・チクルスを聴きに行っていますが、実はこのホールのこけら落としは第九ではなく、マーラーの復活だったのです。その演奏会を収録したのが、このCDなのです。

オーチャード・ホールには音楽スタジオが併設されており、そのレコーディングスタジオにおいてライヴで編集されたのがこの一枚で、オーチャード・ホールの能力を最大限発揮している一枚なのです。

当時、日本には所謂欧米並みのいいホールは二つあり、一つが大阪のザ・シンフォニーホールで、もう一つが東京・赤坂のサントリーホールでした。そして、三つ目となるのが、この東急文化村オーチャード・ホールなのです。

私としては自宅から直ぐ行ける場所にホールができるとあり、とてもうれしかったのを覚えています。時に大学一年生。まだまだクラシックを聴きなれているとは言い難い年齢でしたが、この素晴らしいホールの響きを体感できたことは、その後の私の人生に大きく影響を及ぼしています。

とはいえ、それだけのホールでありながら、実際出ているCDはそれほど多くはないのが実情です。私も持っているのはこれと第九の二つだけ。このホールでの演奏はもっと出ていいのにな〜と思っています。

気軽に体感するには、毎年大みそかに放送される「東急ジルベスタ―コンサート」がありますが、しかし毎年大みそかを待たねばなりません。それなしに体感するには、CDで聴くのが一番手っ取り早いと思います。その意味でも、この一枚はとても貴重な音源であると私は思っています。

マーラーの「復活」、つまり交響曲第2番はオケだけの前半とソリストと合唱が入る後半とに分かれていまして、その上で第1楽章と第5楽章とが関連を持つ、5楽章ある声楽つきの交響曲です。フリードリヒ・クロプシュトックの歌詞による賛歌「復活」からインスピレーションを受けて作曲されたものですが、マーラー自身は「復活」の呼称は使わなかったそうです。ですが、そのテクストを追っかけてみると、なるほど復活という表題は適していると思います。激しい動機で始まる第1楽章、優しい音楽となる第2楽章、第3楽章はちょっとおどけた感じ、第4楽章でソリストが入って哲学的となり、第5楽章では再び激しい動機から自分の内面を直視し、そしてその動機が合唱が入ることで長調へ転調して、生きる希望を見出す・・・・・

そう、とても内省的な曲なのです。だからこそ、単に激しいのでも駄目ですし、穏やかなだけでも駄目です。そのさじ加減がとても難しい曲です。実際、私もいくつか演奏を聴いていますが、この演奏に勝るものは実は私の経験からしますと本当に名盤と言われるようなもの以外はない、と言い切っていいと思います。つまりそれだけこの演奏はレヴェルが高いのです。

オーチャードホールは、この演奏会から東京フィルのフランチャイズとなったホールなのです。それに対する感謝と気合が、この演奏からは満ち溢れています。かといって力みもなく、全くのびやかに演奏されています。多少アインザッツがそろわない部分がありますが、かといってそれが気になるレヴェルではなく、それこそこの演奏会が特別なものであるということを物語っています。

ホールの響きもとてもやわらかく、当時は「やっぱり日本のオケは・・・・・」なんて思っていましたが、今聴きなおしてみますと、いかに東京フィルがこのホールの響きを知り尽くして演奏しているかがよくわかります。それに気づいたのは同じホールで演奏された第九を聴いてからなのですが・・・・・

それは、またその第九を取り上げるときに触れることといたしましょう。

いずれにしても、日本のオケだっていいよ!と私はこの一枚を持って宣言したいと思います。国内盤ならば、こういったCDをどんどん出してほしいものです。



聴いているCD
グスタフ・マーラー作曲
交響曲第2番ハ短調「復活」
佐藤しのぶ(ソプラノ)
原直子(アルト)
二期会合唱団
尾高忠明指揮
東京フィルハーモニー交響楽団
(ファンハウス FHCE-1002/3)



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