かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

東京の図書館から~小金井市立図書館~マゼールとウィーン・フィルのマーラー交響曲全集1

東京の図書館から、今回から9回シリーズで、小金井市立図書館のライブラリである、ロリン・マゼール指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の演奏によるマーラー交響曲全集をとりあげます。

マーラー交響曲全てを集めるというのは、以前神奈川県立図書館にて行いましたが、その時は演奏者などはあえてバラバラにしました。今回は同じ指揮者とオケでまとめた、ということになります。

しかも、マーラーではそれほどいいとは言われない、マゼールウィーン・フィルを振ったものとくれば、逆に興味が湧く、というもの。このコンビでそれほど悪かろうはずがないので。マゼールってそれほど悪い指揮者でしょうかねえ・・・・・

むしろ、私はマゼールが振ったもので、間違いだったためしがないのです。ですので、棚にずらりと並んだマーラー交響曲全集を見たとき、これは借りよう!と意外と早く決断したのを覚えています。

マーラーもいくつかの作品では校訂などが入っていることがありますが、その代表選手ともいうべきなのが第1番でしょう。この全集、番号順で収録されていますので、第1集は第1番、ということになります。そしてこの第1番は、以前も取り上げていますが「花の章」というものがかつては有ったものを、削除して通常の4楽章の交響曲に仕上げた、というものです。

この演奏では、あまりそんな経緯は考慮していないように思われますが、むしろザッツ後期ロマン派という解釈で貫かれているように思います。第4楽章でテンポなどちょっとアレ?と思う部分もあるのですが、さすがこのコンビ、説得力ある演奏を聴かせてくれます。まるでイッセルシュテット指揮ウィーン・フィルベートーヴェンのように・・・・・

まあ、それがウィーン・フィルだともいえるのですよね~。マゼールウィーン・フィルの団員からは親しまれているというか、好きにやらせてくれるという意味で好感を持たれていたようで、いずれにしても信頼関係ばっちし。

聴いている限りにおいては、マゼールウィーン・フィルを好きにやらせているというよりは、お互いの解釈がほぼ合っているため、指示出しとかがそれほど必要なかったというほうが正しい描写なのだろうと思います。それをたまたまウィーン・フィルの団員たちが「好きにやらせてくれる」と言って、拡散したのだろうと思います。演奏をやったことがあれば、そこまで好きにやるかなあと思うのが普通なのですよねえ。解釈のすり合わせはどこかでやらなくてはならないはずですしね。

それなら、指揮者なんて要らないですからね。もちろん、よく言われるのが、ウィーン・フィルでは最も偉いのがコンサートマスターであり、その次が音楽監督である、というもの。オケはタクトよりはコンマスボウイングを見て合わせる、というものですが、確かにアンサンブルやアインザッツを合わすときに緊急の時はそのようにするとは思うのですが、そう番度じゃないだろーとは思うのです。

そういうううわさだったりとはか、昔はわたしも信じている部分がありましたが、自分で舞台に立ち、実際にタクトとどう合わせるのかをさんざん経験してくると、ちょっと変だぞ、と思うものなのです。そのうえで社会人として仕事でいろんな経験もしてくると、いつもそんなことはあり得ないだろうなあとわかるものです。

ウィーン・フィルの自律性を表現するための、端的な著述に過ぎないと私は思っており、実際にはもっと自在に指揮者と合わせていくだろうと思います。むしろこの指揮者のタクトはおかしいからコンマスに合わす、この指揮者なら見やすいので指揮者に合わせ、緊急時のみコンマスボウイング、としているはずなんです。

その意思疎通がはっきりと示されているのが、第4楽章最後の部分でいきなりアップテンポになる部分。非常に感動的な部分ですが、それはマゼールとオケとの信頼関係だろうなあと思います。その時はさすがにコンマスボウイングとしているかもしれませんね。

特にマーラーのような、目くるめく場面が変わっていくみたいな作品を演奏するときは、タクトの打点で合わすのかそれともボウイングで合わすのかをあらかじめ決めておくことは非常に重要なのです。ゲネプロでのテンポと本番のテンポが変わるということも、まれにありますので・・・・・それが人間というものですけれど。

マーラー交響曲は、好き嫌いが結構激しく分かれる代物ですが、演奏経験を持つひとだと、結構ニヤリ、とする部分があり、このマゼールウィーン・フィルの演奏でも、いくつもそんな部分があるのが、聴いていて楽しいところです。

 


聴いている音源
グスタフ・マーラー作曲
交響曲第1番ニ長調「巨人」
ロリン・マゼール指揮
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

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