神奈川県立図書館所蔵CDのコーナー、今回はジークフリート・ワーグナーの協奏曲を主に収録したアルバムをご紹介します。
何度か取り上げているジークフリート・ワーグナー。父リヒャルトの影響というか、むりやりさせられたというか、とにかく、家業のように父リヒャルト・ワーグナーから受け継いだその音楽が、この協奏曲でも存分に出ています。
とはいえ、ジークフリートは幾分薄めた感じもありますがー
1曲目のヴァイオリン協奏曲は、出だしは父の影響から脱したかな?と思う旋律もあるのですが、だんだん家業色は強くなってきて、ついにはやはり父の影響と思われる和声も。けれども不思議なことに、だからと言って嫌味ではないんです。
2曲目の「小鬼」第3幕への前奏曲は、むしろ父の影響どこ?と言った感じです。むしろ本当にこういう曲のほうが素晴らしいんですけど。
こういう「父の影響」とそうではないものとがないまぜになっており、その意味では実に面白い作品がずらり。しかもです、結構歌うと、これがまたいい味出すんですよ、ええ。
父リヒャルトの作品も結構歌わせますが、硬質な感じも否めないんですが、息子ジークフリートはそれがあまーい!おそらく砂糖1トン分くらいあまいのではないでしょうか。甘美で耽美な世界がそこには広がります。
そんなあたりが、息子の反抗だったのかもしれませんね。そう思うとどれもいとおしく聴こえます。
それは演奏者もそうであるみたいです。なのでとにかく表現は甘美ですし、歌う歌う!父よりは手広く作品を紡いだジークフリートへの共感が、このアルバムほど出ているものはなかったように思います。まあ、皆さん病んでいるもんねえ・・・・・辛いからね。
しかし、そんな辛さをみじんも見せないジークフリートの作品に、どこか癒されるのが不思議。それは当時のドイツ社会だったのだろうなあと、想いを馳せています。
聴いている音源
ジークフリート・ワーグナー作曲
ヴァイオリン協奏曲
小鬼 作品3より第3幕への前奏曲
フルートと小管弦楽のための協奏曲
神聖な菩提樹 作品5より 第2幕への前奏曲
固まりべとべとしたパンケーキの物語
ウルフ・ヘルシャー(ヴァイオリン)
アンドレア・リーバークネヒト(フルート)
ディートリッヒ・ヘンシェル(バリトン)
ワーナー・アンドレアス・アルバート指揮
ラインラント・プファルツ国立フィルハーモニー管弦楽団
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