かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:鳥が道に降りてきた~オリジナル・ヴィオラ曲集~

神奈川県立図書館所蔵CDのコーナー、今回はヴィオラのための作品を収録したアルバムをご紹介します。

ヴィオラって地味な楽器だと思います。ヴァイオリンとチェロの間にいて、ヴァイオリン属だということは知っていても、それを単独あるいはソナタで聴きたいとはあまり思わない楽器ではないでしょうか。

そんなヴィオラの第一人者に、日本人の今井信子がいます。おお、今井信子かー、と思って手に取って、借りたのを覚えています。

標題の「鳥が道に降りてきた」は武満徹の作品ですが、それを切っ掛けに聞かそうという製作者の意図を感じます。いいや、だまされてみよう、って感じでしょうか。

で、だまされたのかと言えば・・・・・・全く逆。むしろ、どの曲にもうならされ、膝を叩くしかありませんでした。ハンガリーの作曲家エネスコもヴィオラのための作品を作曲していたというのも驚きで、かつ繊細な作品にうっとり。

それ以外も、表題の武満、そしてその次に収録されているロータの甘美な作品もいい!ロータと言えば映画音楽しか我が国では知られていない作曲家ですが、そもそもはクラシック音楽の作曲家。こういうことを映画評論家は映画だけなので伝えてくれないし、クラシックの評論家は映画音楽というだけで低く見る傾向もあるため、今まで知ることがなかったんだろうなあと思います。だって、伊福部だってゴジラだけ、ですもんねえ(そもそもなぜそれを保守は問題にしねえんだよ!ってことですが)。

ミヨーの「4つの顔」は4都市の女性の顏を音楽で表現したもの。これもコミカルかつ洒脱でいいですし、どれをとってもヴィオラという楽器の魅力たっぷり!今井信子の「歌うヴィオラ」も素晴らしいなあと思います。やはり、歌っているのはいいですね、演奏で。

ピアノも一緒にはねているのも素晴らしく快活。聴いていて自然と体が動いてしまいますし、それだけ生命力もあるということを意味していると思います。演奏者が作品一つ一つをいとおしく感じているのが聴いていてわかるんです。こういうのは喜びを感じますし、楽しいなあ。

ヴィオラって、こんなに楽しかったんだなと、目からうろこのアルバムです。

 


聴いている音源
演奏会用小品(1906、ジョルジュ・エネスコ)
ロンド(1893、ジャン・シベリウス
反映(1930、ベンジャミン・ブリテン
エレジー(1930、ベンジャミン・ブリテン
鳥が道に降りてきた(1995、武満徹
間奏曲(ニーノ・ロータ
ダリウス・ミヨー作曲
4つの顔 作品238(1943)
マリーナ姫 作品83(1960、ヴィンセント・バーケシケッティ)
夢(1880、ヘンリク・ヴィエニャフスキ
小川を斜めに横切って生えている柳の木がある(フランク・ブリッジ、ブリテン編曲)
忘れられたロマンス(1880、フランツ・リスト
今井信子ヴィオラ
ローランド・ペンネッティ(ピアノ)

地震および津波、水害により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福と復興をお祈りいたします。同時に救助及び原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方、そして新型コロナウイルス蔓延の最前線にいらっしゃる医療関係者全ての方に、感謝申し上げます。