かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:プーランクとミヨーのピアノ作品

神奈川県立図書館所蔵CDのコーナー、今回はプーランクとミヨーのピアノ作品をご紹介します。

プーランクは何度かこのブログでも取り上げている作曲家ですが、ミヨーは初めてかも知れません。いずれにしても二人とも6人組ですから、フランス20世紀音楽を代表する作曲だと言えます。

フランシス・プーランク
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%B7%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%83%97%E3%83%BC%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%AF

ダリウス・ミヨー
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%80%E3%83%AA%E3%82%A6%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%83%9F%E3%83%A8%E3%83%BC

ただ、若干ミヨーのほうがわが国はめーぶヴァリューは低いように思います。プーランクに勝るとも劣らない作品を作曲しているんですけどねえ。

この音源でも、ミヨーがカップリングのついでのように扱われているのが気になります。それでも、私はフランス6人組カップリングとなっていたから借りたのだと記憶しています。

その上で、ピアノ作品を軸としています。それは20世紀という時代は、ピアノという楽器が発展する条件を備えた時代を引き継いだ時代だったからで、ピアノという楽器をその能力をフルに引き出している作品が多く書かれた時代だと言えるからこそ、借りたのでした。

プーランクを主としたほうが売れるから、プーランクの作品が軸となったのでしょうが、ウィキで調べてみれば、むしろミヨーのほうがピアノ協奏曲を多く書いています。まあ、ソリストがラベック姉妹だから、ミヨーの作品は一つだけになってしまったのでしょうが、本来はもっと聴きたいところです。それはまた借りて来るしかありますまい。

まず1曲目は2台のピアノのための協奏曲。プーランクは独奏ピアノとオーケストラのためのものも書いていますが、2台ピアノのための協奏曲は2台のピアノが際立つように作曲している点でバロック的です。ピアノの部分はオケが休みだったりして、古風な点が散見されますが、和声はさすが20世紀です。

次のソナタも2台ピアノのためのもの。ラベック姉妹だからこそ持ってきたプログラムなのでしょうが、これまた強烈な個性を持つ作品です。特に和声とリズム。冒頭から野性的なリズムを刻む作品は、一方で上品さも持ち合わせており、そのコントラストがまるで生命のように描かれています。

3つの小品は時としてドビュッシーかと錯覚する作品です。6人組ですから必ずしも印象派ではなくむしろ新古典主義音楽ですが、それでもドビュッシーの香りがするのは、ドビュッシーという作曲家が持つ多様性が、後世の作曲家にどれだけ影響を与えているかの証左と言えましょう。

最後がミヨーの「スカラムーシュ」。3つの部分から成る作品は展開が見事で、そのコントラストが素晴らしい作品です。単にリズムとかではなく、様々なものが折り重なった状態が3つ異なっており、その差を楽しめる作品です。どれも新古典主義音楽の代表的作品だと言っていいでしょう。

演奏は、ラベック姉妹が中心となっていますが、小沢征爾指揮ボストン交響楽団のサポートも見逃せません。新古典主義音楽らしく、ピアノとオケが対等でかつ会話し、協調のなかで作品が織りなされているそのさまがくっきりと表現され、オケもピアノもともにその個性が発揮され、浮かび上がるのは幸せなひと時です。

ラベック姉妹はわが国ではCMにばかり注目されましたが、実に着実で誠実な仕事をしているなあと思います。決して自分たちの能力をひけらかすのではなく、その高い技術を表現に自然に使っている様が素晴らしく、感動します。タッチのしなやかさと内に秘めた力強さ。それが生み出す豊潤な音楽の世界!

こういった時代の作品こそ、もっと聴くべき作品であるように思います。




聴いている音源
フランシス・プーランク作曲
2台のピアノのための協奏曲ニ短調
4手のためのピアノ・ソナタ
2台のピアノによるカプリッチョ(「仮面舞踏会」による)
シテール島への船出〜2台のピアノによるヴァルス=ミュゼット
2台のピアノによるエレジー
ダリウス・ミヨー作曲
スカラムーシュ
カティア&マリエル・ラベック(ピアノ)
小澤征爾指揮
ボストン交響楽団

地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




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