かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

東京の図書館から~小金井市立図書館~:ブリテンの「無伴奏チェロ組曲」とブリテンの「ピアノ演奏」

東京の図書館から、今回は小金井市立図書館のライブラリから、ブリテン作曲の「無伴奏チェロ組曲」とブリテン自身の演奏を収録したアルバムをご紹介します。

ベンジャミン・ブリテンと言えば、日本では「青少年のための管弦楽入門」など、ちょっと保守的な作曲家として知られています。そのせいで低い評価をする人もいたり。しかし彼は当代の様々な演奏家たちと交流し、新しいものも取り入れ、多様な作品を紡ぎ、果ては自身の演奏を録音していることはあまり知られていないと思います。かくいう私自身が、このCDを図書館で手に取ったときに驚きを隠せなかったのですから。「え?ブリテンって演奏者だったの?」と。

そうなんです。実はブリテンはピアノ奏者としても有名で、ほぼその共演がロストロポーヴィチだったのですから、それもまた驚き。

ja.wikipedia.org

このCDは録音年代等記載がなかったのですが、原稿を書くにあたり検索してみると、60年代にロストロポーヴィチのチェロ演奏や共演したものがアルバムになったようです。

tower.jp

そもそも、ブリテンロストロポーヴィチを知るきっかけが、1960年のショスタコーヴィチのチェロ協奏曲西側初演時だったというのです。その演奏を聴いてブリテンは感銘を受け、親交がはじまり、ともに録音となったというわけなのだそうです。

www.hmv.co.jp

そしてこのアルバムには、ブリテン無伴奏チェロ組曲第1番と第2番が収録されていますが、その演奏がロストロポーヴィチ。さて、どれほど古典的なのかと言えば・・・・・全然古典的ではありません!むしろ不協和音が鳴り響く作品です。特に第1番は前衛的な作品です。ですがロストロポーヴィチはそれをじっくり味わって演奏しているんです。それもそのはず、無伴奏チェロ組曲は4番まで作曲されましたがそもそもロストロポーヴィチとの出会いがきっかけであり、ロストロポーヴィチのために作曲された作品だからです。

そのうえ、ブリテンがピアノ伴奏をしているブリッジのチェロ・ソナタですが、そのブリッジは実はブリテンの師です。どこまでもこのアルバムはブリテン一色なんです。その内容にロストロポーヴィチが共感しているのが、演奏からビンビン伝わってきます。

ブリテンの師ブリッジのチェロ・ソナタはさすがに多少保守的な作品です。

ja.wikipedia.org

ですがロストロポーヴィチがこれもじっくりと味わって演奏しているそのサポートを、これまたブリテンの美しいピアノがしているのです。名作曲家は名演奏家でもあるとは言いますが、まさにブリテンも同じくであったと言えるでしょう。ロストロポーヴィチが親交のあるブリテンに対して最大の共感をしているのが、演奏から手に取るようにわかります。録音としては1968年ですから古いと言えますがあまり色付けもされておらず、二人の息が合った様子が絶妙にわかる素晴らしい録音だと思います。もし私がこの場にいたとしたら、ゾクゾクワクワクしたことでしょう。そんな気分にさせるのは再生装置もあるでしょう。WAVファイルをTune Browserで192kHz/32bitにリサンプリングして、ソニーのSRS-HG10で聴いているわけですから。この音質をコンポで再現するとなれば、いったいいくら金がかかることか・・・・・PCとコンポ両方にお金かけているだけの余裕は、もう今の私にはありません。どちらかを選ばざるを得ません。その点でも、PCにかけるという5年前の選択は間違っていなかったと今になって思います。おかげで、この二人の、いわば伝説的ともいえる演奏が、迫力を持って聴けるわけなんですから。

 


聴いている音源
ベンジャミン・ブリテン作曲
無伴奏チェロ組曲第1番
無伴奏チェロ組曲第2番
フランク・ブリッジ作曲
チェロ・ソナタ
ムスティスラフ・ロストロポーヴィチ(チェロ)
ベンジャミン・ブリテン(ピアノ、ブリッジ)

地震および津波、水害により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福と復興をお祈りいたします。同時に救助及び原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方、そして新型コロナウイルス蔓延の最前線にいらっしゃる医療関係者全ての方に、感謝申し上げます。