東京の図書館から、今回と次回の2回に渡りまして、ハイドンの8つのノクチュルヌを収録したアルバムをご紹介します。
ハイドンのノクチュルヌは、1790年に作曲されたディヴェルティメントの一種です。ナポリ王のために作曲されたと言われており、「ナポリ王のための8つのノットゥルノ」とも言われています。なお、ノクチュルヌがフランス語、ノットゥルノがイタリア語で、どちらも英語の「ノクターン」と同じ意味であり、日本語では夜想曲と言われます。そう、ショパンの作品の代名詞でもあります。
ショパンがピアノだったのに対し、ハイドンは管弦楽。モーツァルトもディヴェルティメントを書いていますし、ほぼ同時代を生きたハイドンも同じようにディヴェルティメントを書いています。そしてモーツァルトと言えば、「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」が有名ですが、まさにその夜のために作曲したと考えてもよさそうです。
ただ、このノットゥルノ、実は編成の中にはリラが採用されるのが本来です。このリラというのはリラ・オルガニザータと言い、ハーディ・ハーディの一種であり、ヴァイオリンの一種ですがオルガンのような楽器です。しかしこの楽器、かなり特異な楽器で、ロンドンでは存在しなかったようで、この8つのノクチュルヌがロンドンで再演されたときは、その代わりフルートやオーボエで代用されたと言います。
それゆえに、この演奏ではクラリネットが選択されています。そのクラリネットを演奏するのが、指揮者でもあるアラン・ハッカー。そしてそのタッカーが組織した団体がオーケストラを担当するミュージック・パーティ。タッカーはイギリスで活躍した音楽家で、クラリネットの名手であると同時に、様々な音楽団体を組織した人でもありました。なお、以下のウィキペディアは英語版なので、見られる場合は翻訳アプリなどを使ってください。google chromeだと、日本語翻訳機能がついており、windows11だと結構正確に訳してくれます。
それゆえか、軽めの演奏が作品が持つ楽しさや愉快さが前面に出ており、聴いていて嫌な思いがどこかに消えていくようです。とはいえ、曲が徹頭徹尾明るさだけではないのですが、それでもそんな濃淡すら楽しめるのは、作品が持つ本質がしっかり表現されているゆえでしょう。作品は4楽章であったとしても3楽章制のような雰囲気もあって古めかしいですが、それでもフランス風な印象もあることが、さらに作品の優雅さを醸し出しています。その雰囲気もまた存分に味わえる演奏です。
どうやら、このノクチュルヌ、録音が少ないようで、ネットで検索しますとほぼこの音源しかヒットしません。一方で、1790年と言えば、ハイドンがモーツァルトと出会い、音楽が変化していった時期に重なります。その本質もまた、自然な演奏から浮かび上がっているように思います。楽しさは悪だ!とか言う人たちもいますが、しかし喜怒哀楽が人間の感情である上は、その一つ一つこそ内面であり、精神性であることを考えますと、私はこういった作品を否定できないですしその演奏も否定しません。否定する人のほうがむしろ人間の内面性をないがしろにしているのではと思います。
聴いている音源
フランツ・ヨーゼフ・ハイドン作曲
8つのノクチュルヌ
第1番ハ長調Hob.Ⅱ-25
第2番ヘ長調Hob.Ⅱ-26
第3番ハ長調Hob.Ⅱ-27
第4番ハ長調Hob.Ⅱ-28
アラン・ハッカー指揮、クラリネット
ミュージック・パーティ
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