かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:ハイドン ピアノ・ソナタ全集1

神奈川県立図書館所蔵CDのコーナー、今回から9回シリーズで、ハイドンのピアノ・ソナタ全集を取り上げます。

実はこの全集、実に歴史的なもので、下記ウィキにあるヴァルター・オルベルツのピアノによるものなのです。

ja.wikipedia.org

このオルベルツのものは、ランドンが年代順に並べたものを、あえてホーボーケン番号に並び替えるということをやっています。つまり、ここでオルベルツ(あるいはこのアルバムの編集者)はランドンがつけた番号ではなくホーボーケン番号順で演奏してみたらどうだろう、という提案をしているのです。

それは多分、ではなぜホーボーケン番号はその番号でつけられたのか?というオルベルツの疑問というか、問いかけでもあると思うのです。しかも、録音当時はハイドンのピアノ・ソナタは全く顧みられることがなかったのですから・・・・・

そんな、問題提示にあふれているアルバムなのですが、演奏は至ってシンプル。ハイドンの時代の、美意識が如実に表れる結果となっています。そのうえで、微妙にアコーギクをつけてみたり。ハイドンのピアノ・ソナタってこんなに楽しいんだ!と目からうろこでもあります。

収録されている6曲は主に1750年代~60年代にかけて作曲されたものがほとんどです。ということは、基本チェンバロでの演奏を想定しており、フォルテピアノでも演奏可としている作品だということになります。確かに、八分音符を多用し、跳ねるような作品が多いので納得です。

そんな作品たちに微妙にアコーギクをつけて演奏するオルベルツは、当時東独の時代であったにも拘わらず、この作品を一人の演奏家としてピアノ作品と捉えているということになります。そしてその自信に満ちたタッチは、ハイドンの作品だって十分魅力的じゃないか!と私たちに問いかけるものにもなっています。

多分、この第1集は、そんな「ハイドン再興運動」の一つなのでないでしょうか。録音されたのは昭和40年代中盤の、1969年ごろ。世の中は古典派と言えばベートーヴェンモーツァルトという時代に、あえてハイドンに焦点を当てる。素晴らしいアルバムだと思います。しかもです、録音に色がついていないせいで、実にクリアに聴こえるのもいいですね。演奏者の生の情報が伝わってくるだけに、演奏者と対話できるのも素晴らしい。

どうも私たちは、アメリカという超大国によるプロパガンダに左右されすぎではないかって思います。もちろん反民主主義というわけでは私はありませんが、しかしアメリカという国が全部民主主義だとも限らないわけで・・・・・・だからこそ、アメリカ本国では市民運動も盛んであるわけです。私たちもそろそろ、自分の頭で考えるべき時代が来ているように思います。さすればこのアルバムの第1集が演奏は端正なのに、端正ゆえにどれだけアナーキーなのか、よくわかるのではないでしょうか。

 


聴いている音源
フランツ・ヨーゼフ・ハイドン作曲
ピアノ・ソナタ第10番ハ長調Hob.XVI-1
ピアノ・ソナタ第11番変ロ長調Hob.XVI-2
ピアノ・ソナタ第14番ハ長調Hob.XVI-3
ピアノ・ソナタ第9番ニ長調Hob.XVI-4
ピアノ・ソナタ第8番イ長調Hob.XVI-5
ピアノ・ソナタ第13番ト長調Hob.XVI-6
ヴァルター・オルベルツ(ピアノ)

地震および津波、水害により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福と復興をお祈りいたします。同時に救助及び原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。