かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:ハイドン ピアノ・ソナタ全集7

神奈川県立図書館所蔵CDのコーナー、ハイドンのピアノ・ソナタ全集を取り上げていますが、その第7集です。

基本、第54番~第32番と、成立順で並んでいるんですが、ここにも第4番という「バグ」が・・・・・

ただ何故か、ピティナでは成立年を1760年と断定しています。

enc.piano.or.jp

ウィキでは成立年不明としているのですが、どうもピティナは、先に第4番が成立し、その後第5番に流用されたのではないかと推測しているようです。ですがオルベルツは1780年代の作品のところにもってきているんですよね~。演奏時間の関係かもしれませんが・・・・・

こういうところ、じつは図書館だと解説まで借りると一点に数えるため、なかなか難しいところではありますが、できれば借りたほうがよかったかもと今では思っています。

にしてもです、ここでもオルベルツは自在な演奏を披露。確かに音の羅列からすればチェンバロ用だろうなと想像できる作品が並んでいるんですが、とはいえ、オルベルツはチェンバロ用には弾かず、あくまでもピアノ曲として扱うんです。こういったところ、地味ですが実に重要な点で、ピアノを弾いている人であれば卒倒するというか、うなる点ではないかと思います。

クラシック音楽の聴き方って様々だと思いますが、演奏者の立場で聴くというもの実はとても楽しい時間なのです。私自身はピアノを弾きませんから、たとえばクラシック音楽道場で出会ったピアノを弾く人たちがどんな風に言っていたっけなとか思い出しながら聴くんです。そうすると、ここ面白いんじゃない?とか気付けるんですね。これはもともと合唱屋である私としてはとてもありがたい発見なんです。

例えば、合唱曲ってたいていヴォーカルスコアだったりしますしね。そのピアノ譜は一体どうなっているのかとか、想像するのもまた楽しい時間なんです。そんな聴き方もアリだと思いますし、むしろそういった人たちが若い人で増えていかないと、クラシック音楽の「裾野」は広がっていかないと思っています。

少なくとも、このオルベルツのように、ハイドンという音楽史では少し古い人の作品を、楽しそうに弾けばそれは魅力になるわけです。なんでこの人はこんなに楽しそうに弾くんだろう?ということからクラシック音楽に興味を持ってくれる子供たちはきっといるはずです。何故ならそれは、野球やサッカーを始める子供たちに共通する動機だからです。

ですから、子供たちにかみ砕いて音楽を聴かせるよりは、とにかく大人が楽しく演奏する姿を見せることが最も重要なんじゃないかって思います。それが子供たちにとってはイチローや長友のように見えるわけです。そこから入っていくほうが近道じゃないかなって思います。

その意味では、楽しそうに共感して弾くオルベルツの演奏は、じつはとてもラディカルではないかと、私は思っています。

 


聴いている音源
フランツ・ヨーゼフ・ハイドン作曲
ピアノ・ソナタ第54番ト長調Hob.XVI-40 作品37-1
ピアノ・ソナタ第55番変ロ長調Hob.XVI-41 作品37-2
ピアノ・ソナタ第4番ト長調Hob.XVI-G1
ピアノ・ソナタ第56番ニ長調Hob.XVI-42 作品37-3
ピアノ・ソナタ第35番変イ長調Hob.XVI-43 作品41-4
ピアノ・ソナタ第32番ト短調Hob.XVI-44 作品54-1
ヴァルター・オルベルツ(ピアノ)

地震および津波、水害により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福と復興をお祈りいたします。同時に救助及び原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。