東京の図書館から、今回は府中市立図書館のライブラリである、ジェイムズ・レヴァイン指揮ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団によるサン=サーンスの「オルガン付き」のアルバムをご紹介します。
フランスの作曲家の中で、私が聴く機会が最も多い作曲家と言えば、サン=サーンスです。特に、彼が作曲した交響曲第3番「オルガン付き」はかなり頻度が高い作品です。なので、いくつかの音源を借りてきてリッピングしたり、買ったりしていますが、このレヴァインのものもそういった一つになります。
しかも、この録音のオルガニストは、サイモン・プレストン。実は、私はサイモン・プレストンを指揮者としてご紹介済みなのです。
オルガニストであり指揮者でもあった、サイモン・プレストン。ハイドンのミサ曲でも感じた、センスの良さと生き生きとした演奏を生み出すタクト。そのプレストンが、オルガニストとして参加したこのアルバムは、指揮者がレヴァイン。この人も、生命力ある演奏が持ち味です。
この二人がタッグを組んで、さらにオーケストラはベルリン・フィルハーモニー管弦楽団。フランス風味が全くないこの組み合わせで、フランスの作曲家であるサン=サーンスの作品が演奏されたら、いったいどんな化学変化が起きるのか。それが聴きたくて借りた一枚です。
硬質でアインザッツが強めなベルリン・フィルハーモニー管弦楽団。その性質をうまくレヴァインが生命力へと昇華させており、特に第2楽章後半では、生き生きとした躍動感満載です。「オルガン付き」では初めての経験かもしれません。
その第2楽章後半で言えば、オルガンがさっそうと入ってくるファンファーレ。なんと強い音なのに圧倒的ではなく移しいことか!ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の金管も、単に強いだけではなく豊潤さにあふれており、美しい。そう、もう徹底的に美しく力強く、躍動感にあふれているんです。そして、喜びに満ち溢れたフィナーレ・・・
しかし、曲の冒頭では、繊細さに満ちています。さすがベルリン・フィルハーモニー管弦楽団と、膝を打たずにはいられません。
カップリングは、デュカスの「魔法使いの弟子」なのですが、これもまた生命力がある演奏なんです。不思議な空間というよりは、魔法が十分につかえずに混乱している様子がまさにファンタジーとして描かれていますが、まるで聖霊がそこにいるかのよう。その聖霊の生命感が生き生きと表現されているのです。
こういったところを味わうのが、海外オケというか、プロオケの楽しみ方かなという気がしています。ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の個性が、どう表現として生かされているのか・・・プロオケの楽しみ方の典型例だと思います。
聴いている音源
カミーユ・サン=サーンス作曲
交響曲第3番ハ短調作品79「オルガン付」
ポール・デュカス作曲
交響詩「魔法使いの弟子」
サイモン・プレストン(オルガン)
ジェイムズ・レヴァイン指揮
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
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