かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

コンサート雑感:テネラメンテ・フィルハーモニー管弦楽団第5回定期演奏会振替公演を聴いて

コンサート雑感、今回は令和3(2021)年6月13日に聴きに行きました、テネラメンテ・フィルハーモニー管弦楽団の第5回定期演奏会振替演奏会をきいてのレビューです。

そもそも、テネラメンテ・フィルはその名を知っており、ずっと聴きに行きたいとは思いつつ、その機会がようやく訪れようとした昨年6月、あえなく流れたのでした・・・・・しかも、友人二人を誘ってあって、です。理由はもちろん、新型コロナウイルスの感染拡大。

なぜ行く機会を昨年作ろうとしたのかと言えば、実はメインがサン=サーンス交響曲第3番「オルガン付き」だったからで、しかもそのオルガニストが、「今月のお買いもの」で取り上げた東響のオンライン演奏会がCDになったアルバムとおなじ大木麻里女史だったから、なのです。

実は、知り合いにキリスト教徒がいて、しかもプロテスタント。そのため、大木女史を良く知っている人でもあったためです。そこで二人で行くことにして、さらに元合唱団の友人も誘って行こう!と昨年4月くらいに決めてあったのです。実は私は、いろんな演奏会でテネラメンテ・フィルの第5回定期演奏会のチラシをもらっており、それがちょうど3枚あったから、なのです。そのチラシが実はチケットになっていました・・・・・

しかし、演奏会は流れ、そのうち事情があり知り合いとは疎遠になってしまい(これも新型コロナが影響しているのですが、罹患ではありません)、合唱団時代の友人とも、相手が神奈川県内在住で私が今都下在住のため、なかなか県をまたいだ移動に制限があったこともあり、むずかしかったため、今年の3月に延期になっていたのですがそれにも行けないという状態になっていましたがさらに延期。そしてようやく、県内の医療機関が一息ついたためか一年かかって実現にこぎつけたのを知り、チケットを取ったのでした。実際に行われるのかこのご時世ではわからないため、今回は私一人としました。チケットもボヘミアン・フィルや虹オケさんと一緒のteketを採用しているため、住所等の個人情報も必要になるためでもありました。他人の住所を知っているからと言って勝手に使うわけにはいきませんので。

さて、テネラメンテ・フィルはプログラムが普通のアマチュア・オケと同じように、1プロ2プロとあって、休憩後メインという構成ですが、それも今回かなり凝縮して、1プロがベルリオーズの「ローマの謝肉祭」序曲、2プロがプーランクのバレエ曲「牝鹿」、そしてメインがサン=サーンス交響曲第3番「オルガン付き」という、オール・フランス・プログラム。前日聴きに行ったボヘミアン・フィルがチェコ共和国後援だったのと一緒で、テネラメンテ・フィルもまたフランス大使館後援となっていました。

そんなテネラメンテ・フィルの演奏ですが、ベルリオーズの「ローマの謝肉祭」はおそらく私も初めて聴く作品だと思うのですが、謝肉祭のはっちゃけた感じが存分に表現されていて、いきなりノラせてくれます。あのう、アマチュア・オケですよね・・・・・初めて聴けばプロオケ?と間違う人も多いのではないでしょうか。

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2曲目の「牝鹿」。プーランクを代表するバレエで、牝鹿とは実は若い女性を指すスラングです。ですので鹿は全く関係なく、若い女性たちのこれもはちゃめちゃな感じが表現されている作品です。それをマヂで生き生きと演奏するこのオケって何?って思いました。ほんとに曲が意味することを見事に探り当て、表現するこの力は素晴らしいの一言に尽きます。

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そして、最後の「オルガン付き」。実は東響のアルバムを購入したのには、このテネラメンテ・フィルの予習を兼ねていました。なぜなら、オルガニストだけでなく実はロケーションも一緒だからです。ミューザ川崎シンフォニーホール。席は舞台に対して真正面で、3階席。残響としてはちょうどいい感じです。そのうえで、大木女史の演奏を聴くことももう一つの目的でした。というのも、昨年のダスビの定演にも大木女史は参加しており、それは私が間に合わず聴けなかったためでした(それもあり、今年ダスビが流れたのもとても悲しい出来事でした)。

オケの最初の弱音。さすがにアマオケらしいやせた音が散見されましたが、全く気にならない程度。むしろなかなか練習も密になることもあって満足にできない中、よくぞ仕上げてきたと思います。アマチュアオケなら合格点だと思います。そして盛り上がってくればもうノリノリで、金管は吠えるわ、ティンパニは「ぶったたいて」くれるわで、とても私好みで素晴らしい!このオケで第九の第1楽章や第4楽章練習番号Mの前を聞いたら、間違いなく私は男泣きに泣くと思います。1年かかってこぎつけた自分たちの演奏会という意思がこもった、強い演奏だったと思います。それが自分たちの「歌」となっているのが感動的!

そして、特筆すべきは、東響の演奏では多少ネガティヴに書いた大木女史なのですが、このテネラメンテ・フィルとのセッションでは、力強く感動的な「歌」を披露してくれたのです!そう、これを待ち望んでいた!もしかすると、大木女史の演奏は録音に入りきらないのかもしれません。帰り際、東響の演奏をDSEE HXをかけて(本来はハイレゾなのでその必要はないんですが、96kHz/24bitであるため)聴いてみたところ、見事な演奏に気が付きました。いやあ・・・・・やはり、ハイレゾだと192kHz/24bit以上じゃないとダメですね。演奏者の微妙なニュアンスだとかを聞き逃す結果となりかねないと思います。

このオケもまた聴きに行きたいと思わせるオケでした。もうたくさんあって困るのですが・・・・・まあ、それは幸せってことですから。本当に素晴らしい演奏に感謝します!

 


聴いて来たコンサート
テネラメンテ・フィルハーモニー管弦楽団第5回定期演奏会振替公演
エクトル・ベルリオーズ作曲
「ローマの謝肉祭」序曲作品9
フランシス・プーランク作曲
バレエ組曲「牝鹿」
カミーユ・サン=サーンス作曲
交響曲第3番ハ短調作品78「オルガン付き」
大木麻里(オルガン)
髙橋祐衣(ピアノ1)
麻田真実(ピアノ2)
須藤裕也指揮
テネラメンテ・フィルハーモニー管弦楽団

令和3(2021)年6月13日、神奈川川崎幸、ミューザ川崎シンフォニーホール

地震および津波、水害により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福と復興をお祈りいたします。同時に救助及び原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方、そして新型コロナウイルス蔓延の最前線にいらっしゃる医療関係者全ての方に、感謝申し上げます。