神奈川県立図書館所蔵CDのコーナー、今回はブルックナーの交響曲第2番のアルバムをご紹介します。スタニスラフ・スクロヴァチェフスキ指揮ザールブリュッケン放送交響楽団の演奏です。
これ、実は今ではハイレゾでも出ているアルバムで、何度ポチりたくなったか・・・・・今回、CDを借りてきてリッピングしてあるものを、ソニーのMusic Center for PCでDSEE HXを動作させて聴いています。
ブルックナーの交響曲第2番は、ブルックナーの交響曲の方針が決定されるきっかけのような作品で、ブルックナー開始など、のちの作品でスタンダードになるような様式が詰まっている作品です。
そんな作品を、スクロヴァチェフスキは手兵だったザールブリュッケン放送交響楽団で存分に「鳴らして」います。ブルックナーと言えば、モテットなど宗教音楽から出発して交響曲へと移植した作風ですが、それゆえに金管が美しく、かつ豊潤なサウンドが魅力的です。この演奏でもその点が特に注視されています。
ブルックナーの交響曲は、ともすればことさらに壮大さを追い求め、古典派が好きな人たちからすればおなかいっぱいとなってしまい、敬遠されることもあるのですが、スクロヴァチェフスキのタクトはむしろ筋肉質的。テンポをそれほどゆったりとは取らず、しかし強迫的に急ぐこともありません。とにかくオケがしっかり鳴るようにテンポを取っています。
その結果、作品が持つ豊潤さと耽美性がしっかりと強調され、それが嫌味でないんです。筋肉質だからこそ、比較的長いブルックナーの交響曲にしっかりと細部まで耳を傾けることができます。もちろん、私自身はそれほどブルックナーの交響曲が嫌いなわけではないんですが、しかしほかの作曲家に比べれば、ブルックナーそしてマーラーと言った作曲家の交響曲を選択する機会は少ないです。まとまった時間がとりづらいということもあります(取れるときはこのブログの原稿を書いているときですし)。
そうなると、もっと短い古典派~前期ロマン派、せいぜい後期ロマン派はブラームスもしくはラフマニノフか国民楽派たち、となってしまうんです。或いはもう20世紀音楽へと飛びマルチヌーとか。優れてかつクラシックファンに人気がある両巨頭、ブルックナーとマーラーは後回しになります。それはひとえに時間のなさによるものです。
とはいえ、PCにこだわらなければ、スマホで存分に聴けるわけなのですが、結構私は全集で聴くことが多いので、さらにブルックナーなどの作品は遠のきます・・・・・とはいえ、ブルックナーなら楽章が連結していることが少ないので、スマホで聴くにはうってつけともいえます。WAVやCDからflacファイルを作ることが簡単だから、です。楽章が連結していると面倒くさいんです・・・・・特に、図書館で借りてリッピングして、WAVにしてあると・・・・・それ、ひとつのファイルごと、つまりは楽章ごとにいちいちアップサンプリングしないといけないので・・・・・
それが面倒くさければ、もうアップサンプリングをあきらめて聴くよりほかはありません。ブルックナーの場合、実は私は圧倒的にWAVファイルが多いので(つまり、図書館から借りてきてリッピングしてあるファイルが多いので)、いちいち連結するのも面倒なので、アップサンプリングすることになります。けれども幸いなことに、ブルックナーは私の記憶が確かなら、連結している楽章がある交響曲がないはずです。これほどスマホで聴きやすい作品を書いた作曲家を知りません(あとはドヴォルザークとシューベルトもそうです)。その点では、マーラーよりは圧倒的に聴きやすいと言えるでしょう。
なぜなら、ブルックナーの交響曲なら、flacにして、ソニーのXperiaなら、DSEE HXもしくはultimateを動作させればいいだけ、ですから。ロケーションであるザールブリュッケンのケーニヒス・ハレはとても残響が長いホールですが、ブルックナーの作品を聴くには適しているホールだともいえます。そんなホールの特性も生かして、存分に鳴らしつつ締めるところは締める。それが作品の鼓動を作り、生命を感じさせ、人間のぬくもりを感じさせるんです。この演奏は圧巻ですね。一気にブルックナーの交響曲が好きになります。こういった演奏が聴けるのが、プロオケの魅力だと思います。
聴いている音源
アントン・ブルックナー作曲
交響曲第2番ハ短調(1877年第2稿)
スタニスラフ・スクロヴァチェフスキ指揮
ザールブリュッケン放送交響楽団
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