かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

東京の図書館から~府中市立図書館~:バッハ チェンバロ協奏曲全集3

東京の図書館から、今回は府中市立図書館のライブラリである、バッハのチェンバロ協奏曲集の第3集を取り上げます。

え、最近府中市立図書館のライブラリを取り上げた中でバッハのチェンバロ協奏曲はないし、ましては1も2もないはずですがという、ア・ナ・タ。そのとーりです!ありません!

なのになぜ、第3集としているのか。実は同じ「東京の図書館から」の小金井市立図書館のほうで、1も2も取り上げているから、です。

そもそもこのCD、バッハが作曲した13曲のチェンバロ協奏曲を3枚組で販売していたもので、そのうち小金井にはなぜか2枚目までしかなかったんです。ところがです、なんとその3枚目は、府中にありました・・・・・

なぜこうなったのかはわかりません。が、相互利用というシステムがある東京都下らしいなあと思います。小金井になければ、府中に行けばいい。これは便利と言えば便利、不便と言えば不便です。神奈川県立図書館ならワンストップで済むようにライブラリするはずですから。県下の市立図書館との相互利用はないので、自分が住んでいる市立もしくは町立図書館でまずは探し、なければ県立図書館、であるためです(ちなみに、横浜市内であれば各地区の図書館が「横浜市立図書館」という枠内で相互利用できます)。

一方で、都下で相互利用できる、小金井、西東京、府中、そして三鷹の4市の図書館で、比較的CDの在庫を多く持てるだけのキャパシティを持つのは府中だけです。ついで三鷹でしょうか。西東京と小金井はそもそもそれぞれ本館が私の実家がある横浜市立山内図書館並み。それでは、相互利用というシステムがないと、そもそも図書であってもそろえるのは難しいところです。西東京など、小金井よりもライブラリ少ないですし・・・・・ですので、ここでは取り上げていません。三鷹も同様の理由で、小金井と府中でほぼ神奈川県立図書館並みにそろっているため行く動機がないのが理由です。

そんな中でようやく見つけたこの3枚目。2枚目の最後のほうで複数台の協奏曲が収録されていたその続きとなっており、むしろ複数台のものしか収録されていません。考えてみますと、複数台のチェンバロ協奏曲、あるいはもっと広くとってクラヴィーア協奏曲と言えばいいでしょうか、それはバロックから古典派前期で終わってしまっている、と考えてよさそうです。それ以降はほとんどクラヴィーア単独とオーケストラ、です。メンデルゾーンが習作として残したくらい。ベートーヴェンははなからピアノ単独でしか書いていませんし。

それはなぜなんだろうと考えたとき、まさに楽器の貧弱さに起因するのではないだろうかと思います。確かに連弾など、コミュニケーションとしての役割りもあったでしょうが、複数台となるとむしろコミュニケーションというよりは、音声的なものに起因するだろうと思います。数が多ければそれだけオーケストラの音とのバランスはよくなります。

それでも、この録音を聴いていますと、チェンバロの音だけがまるでエアポケットにはまったかのように小さくなります。ただ埋没はしていないんですね。この辺りが、バッハが狙った効果なんだろうと思いますし、おそらくモーツァルトの時代まで複数台の作品が残ったのも、それが理由でしょう。そして、楽器の性能が上がるにつれ、単独となっていく・・・・・その先鞭をつけたのが、まだフォルテピアノチェンバロよりはましという程度の性能でも更なる性能アップを見込んだベートーヴェンであった、ということになります。

演奏はトレヴァー・ピノック指揮イングリッシュ・コンサートですから、ピノック自身も弾くわけですが、当然それ以外の奏者も入っています。これがおそらくバッハの時代のスタイルだったことでしょう。ちょっと辛口になりますが、イングリッシュ・コンサートモーツァルトのあたりまでしか評価を私はしていません。特に器楽曲です。それ以外はあまり評価していません。特に宗教曲だと、軽薄に重々しくすればいいという感じが鼻につき、好きになれません。しかしこういった器楽曲であればその演奏はぴか一だと言っていいでしょう。この辺りのコントラストが激しいのがこの団体の演奏の特徴です。オラトリオだといい演奏もあるだけに非常に残念な団体だと言えるでしょう。

その意味では、ピノックがすでに退団しているのは、いいことであるように思います。まあ、鍵盤楽器弾きは体力勝負でもありますしね。ただ、指揮者一本という道もあったはずですが、ピノックは退団という選択をしたようで、それは適切だったのではないかという気がしています。

ja.wikipedia.org

元音源はアルヒーフで、24bitによる録音を数多く手がけていたレーベル。もちろん、CDはそもそもが16bitなので体感することは難しいのですが、ソニーのMusic Center for PCでDSEE HXを動作させて聴きますと、アルヒーフがそもそも録音した状態に限りなく近づくわけで、これはこれで面白い体験でした。確かに、残響など、その場の空気感が満載で、艶のある音に生まれ変わるのに驚きます。そのうえで、適切なテンポ感による生命力あふれる演奏はワクワクさせてくれますし、リヒターとは違う地平を見せてくれるので楽しくもあります。もっと端的に言えば魂の愉悦を与えてくれるので、心の底から喜びが湧き上がってくるのも好印象です。

それだけに、モーツァルトの戴冠ミサは、テンポ感がよろしくないだけ、とても残念に思います。その点でも、この団体はピノックがいる間は、バロックまでだったなと思います。問題は現在。新しい体制になってからさてどうなっているのか。そのあたりはそもそもアルヒーフは24bitでの録音ですから、ハイレゾ配信に期待したいところです。

 


聴いている音源
ヨハン・セバスティアン・バッハ作曲
2台のチェンバロのための協奏曲第2番ハ長調BWV1061
2台のチェンバロのための協奏曲第3番ハ短調BWV1062
3台のチェンバロのための協奏曲第1番ニ短調BWV1063
3台のチェンバロのための協奏曲第2番ハ長調BWV1064
4台のチェンバロのための協奏曲イ短調BWV1065
ケネス・ギルバート(ハープシコード
ラルス・ウルリク・モールテンセン(ハープシコード
ニコラウス・クレーマー(ハープシコード
トレヴァー・ピノック指揮、ハープシコード
イングリッシュ・コンサート

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