かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

コンサート雑感:Orchestra&Chor AGORA 第6回演奏会を聴いて

コンサート雑感、今回は平成26年7月26日に聴きに行きました、Orchestra&Chor AGORAの第6回演奏会を取り上げます。

そもそものきっかけは、某SNSでお誘いを受けたことに始まります。プログラムがオール・ブルックナーであるという、珍しいものであったためです。即返事をして、職場に頼んで休みにしてもらったのでした。

オーケストラと合唱がともに活動するというスタイルは、けっこう増えてきたように思います。かのダズビも、今年のプログラムは合唱付きでしたし、既存のオケも合唱団と組むようになってきたことは、いい傾向であるように思います。

さて、今回の曲目は以下の通りです。

�@序曲ト短調WAB96
�Aエクアーレ第1番 ハ短調WAB114
�Bアヴェ・マリア ヘ長調WAB6
�Cエクアーレ第2番ハ短調WAB149
�DLocus iste ハ長調WAB23
�EEcce sacerdos magnus ホ短調WAB13
�Fミサ曲第3番ヘ短調WAB28

実は、この内5曲はすでにこのブログで取り上げています。

今日の一枚:ブルックナー 交響曲第0番他
http://yaplog.jp/yk6974/archive/146

マイ・コレクション:ブルックナーのモテット
http://yaplog.jp/yk6974/archive/1048

今日の一枚:ブルックナー ミサ曲ヘ短調WAB28(原典版
http://yaplog.jp/yk6974/archive/53

�@、�B、�D、�E、そして�Fです。それがあったため、行きますと即答したのでした。オケと合唱のコンサートで、この演目が並ぶなんて、そうあることではありません。

さて、今回のコンサート、実はオケも合唱団もこじんまりとしたものでした。オケはまるで前古典派、下ってもモーツァルトくらいの時代の人数で、何とブルックナーを演奏してしまったのです!

これは驚きと共に、かなりの先進性だと思います。以前から私は、オケはダウンサイジングするだろうと思っているからです。バロック時代〜古典派くらいの編成で、後期ロマン派の作品を演奏するようになるだろう、と。それは、世界的にオケが財政の問題に直面していることから明らかな傾向だろうと思っています。

それを、何とやってしまったのです、日本の、しかもアマチュアオケと合唱団が・・・・・

これだから、アマオケを聴きに行くのは、たまりません。こういった冒険心が、素晴らしい結果を生み出すこともあるんですから。しかも、19世紀の作品を18世紀シフトで演奏するんです!

こんなわくわくする瞬間、最近なかったですね。

まず、1曲目の序曲ト短調。楽曲の説明は、上記でご紹介したこのエントリで説明しています。

今日の一枚:ブルックナー 交響曲第0番他
http://yaplog.jp/yk6974/archive/146

「この曲は1862年作曲ですが、すでに後期の交響曲の雰囲気を漂わせています。厳格なソナタ形式と、暗から明という展開。堂々たる音楽です。ブルックナー終止はまだ確立されていませんが、それでもとても感動的な音楽です。」

その音楽を、とてもキビキビとした筋肉質の演奏で聴かせてくださいまして、まさしく今回のコンサートの「序曲」の役割を果たすものでした。音はアマチュア故痩せている部分がありましたけれども、アンサンブルが素晴らしい!18世紀シフトで、複雑な後期ロマン派の音楽を、ものの見事に演奏できることを、証明してしまったのです。

その上で、ブルックナーの作品はつきものの、改訂版をも一部ですが演奏していただけました。私のような学究肌に、何と嬉しい・・・・・

その、一度は改訂して、取りやめた音楽は、何となく軽薄な感じがしました。恐らく、ブルックナーはそれを問題視して、さしかえたのだろうなあと思いながら聴いていました。

2曲目から6曲目までは、合唱団とトロンボーンのみのステージ。オケがはけるのは当然ですが、それに代わって合唱団が入ってくる前にトロンボーンが2階客席にスタンバイし、2曲目のエクアーレ第1番とともに入ってくるのには感心しました。プログラムの文章によれば、エクアーレは儀式で使われる作品だとありますが、まさしく「聖歌隊」の入場に適しているなあと思いました。まさしくその場に合った音楽でした。

どの作品も軽い発声で力強い、素晴らしい演奏だったのですが、特に印象に残ったのはEcce sacerdos magnus ホ短調WAB13です。私が持っている音源は全て、ゆったりと、まさしくブルックナー交響曲の様に登って行くのですが、テンポが速めで、とても緊張感ある演奏でした。本来、高度の緊張感と、それからいずる情熱が存在する作品のだなあと、眼を見開かされた気がします。

実は、ブルックナーという人は機能不全家族出身です。人生において、神経症も患った人です。そんな人が、何かをたたえる作品を、単純に作る訳はないなあと、逆に私の方が恥ずかしく思います。こういった「恥ずかしさ」は、自らを成長させてくれるものです。それだけでも、収穫がある演奏会なのですが・・・・・

さらに、ミサ曲ヘ短調では収穫アリだったのです。6曲目までの、室内楽とも言えるモテットであれば別に上手に歌えても不思議はないわけなんですが、オケが入っても堂々と自分たちのアンサンブルが崩れずに歌えているのが素晴らしかったのです。

例えば、高音部の発声。どこまでも軽いその発声は、時に力強く、時にしなやかで、オケと対等に渡り合い、それによって力強いアンサンブルが実現できていました。あそこはちょっと・・・・という部分がほとんど見受けられず、たとえそういう部分があったとしても、すぐ修正できる点は思わずうなりました。なんど、拍手の時にブラヴィ―をかけようかと思ったか・・・・・

オケも、少ない人数ですがしっかりと演奏しきっていたのは素晴らしかったです。指揮者は長田さんで、実はダズビの指揮者でもある訳なんですが、実を言えばダズビの団員が出演しており、私はその方からお誘いを受けたのでした。ダズビまでとは言えないものの、全員が必死になって演奏しきるその姿は、素晴らしいアンサンブルとして結実していたと思います。それが結果、「情熱と冷静の間」が取れている、抜群のバランスになっていたのは奇跡としか言いようがないと思います。

努力してもなかなか結果に結びつかないことも多い中で、実に結果に結びついていた演奏だったなあと思います。とても幸せな時間を過ごすことが出来ました。

合唱団員の中には実は、元同じ合唱団にいた方がいらっしゃり、何というめぐりあわせだろうと思います。その方から来年もありますと教えていただいたので、是非とも来年を楽しみにしたいと思います。こんな素晴らしい団体、応援しなくてなんでしょうか!

出来れば、私自身も合唱団員として加わりたいくらいの団体。すっかり虜になりました。




聴いてきたコンサート
Orchestra&Chor AGORA 第6回演奏会
アントン・ブルックナー作曲
序曲ト短調WAB96
エクアーレ第1番 ハ短調WAB114
アヴェ・マリア ヘ長調WAB6
エクアーレ第2番ハ短調WAB149
Locus iste ハ長調WAB23
Ecce sacerdos magnus ホ短調WAB13
ミサ曲第3番ヘ短調WAB28
本宮廉子(ソプラノ)
原田和加子(アルト)
佐藤敦史(テノール
春日保人(バス)
浅井美紀(オルガン)
長田雅人指揮
Orchestra&Chor AGORA

平成26年7月26日、東京中央区勝どき、第一生命ホール

地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。



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