かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

コンサート雑感:小金井市民オーケストラ第41回ファミリーコンサートを聴いて

コンサート雑感、今回は令和6(2024)年6月1日に聴きに行きました、小金井市民オーケストラ第41回ファミリーコンサートのレビューです。

小金井市民オーケストラに関しては、このブログでも一度取り上げております。

ykanchan.hatenablog.com

この時は定期演奏会だったのですが、今回はファミリーコンサート。実はこの時期、小金井市では芸術文化フェスティバルが行わており、実は前回行った第35回も同じ時期でやはり芸術文化フェスティバルの一環でした。年末に第41回の定期演奏会もあるとのことなので、この芸術文化フェスティバルの時期のコンサートはファミリーコンサートという形にしたという可能性が高いと思います。

実際、今回のコンサートもほぼ満員だったのですが、楽章ごとに拍手が起こったりしており、あまりクラシック音楽になじみがない人も来ているように思われました。

今回のプログラムは、以下の通り。

モーツァルト 歌劇「ドン・ジョヴァンニ」序曲
シューマン ピアノ協奏曲
メンデルスゾーン 交響曲第4番「イタリア」

有名どころが並びましたが、全部で1時間30分程度というコンパクトさ。まさにファミリーコンサートに相応しいラインナップだと思います。会場も家族連れが多く、早くからほぼ満員になったため親子だとなかなか席がないという状況もありました。

まず、1プロのドン・ジョヴァンニ。そもそも悲劇ですが、そのドラマティックな部分がまさに激しい・・・しかも、前回同様に、素晴らしいアンサンブル。ただ、会場の小金井宮地楽器ホール(小金井市民交流センター)はこのドン・ジョヴァンニだと響きが足りないなと思いました。

それが、シューマンだと一転、素晴らしい響きに!シューマンが書いた唯一のピアノ協奏曲で、コンサートピースとしてもメジャーな曲です。結構ゆったりとかつリズムを揺らして演奏されることが多いのですが、ピアニストの安田氏は結構速いテンポで駆け抜けます。オケは必死についていきますが、もう少しどっしりとしたテンポでも良かったのではないかなあと思います。この辺りはもうピアニストの美意識なので何とも言えませんが・・・

ピアニストのアンコールで演奏された「トロイメライ」はゆったりとしていてどこか瞑想的。何度か泣きそうになりました・・・それゆえに、ピアノ協奏曲での速いテンポはちょっともったいなかったかなと。

そして、後半のメンデルスゾーン。ここまで陰影のある作品が多かったのですが、このメンデルスゾーンは第1楽章が思いっきり明るい曲であり、はっちゃけている面すらあります。「イタリア」という曲は、4楽章あって古典的な構造をしていますが、どこかレスピーギのローマ三部作のような、ローマの祭りや風景が描写されている印象も受ける交響曲です。目まぐるしく変わる風景や情景が、ダイナミックな音楽で彩られていますがその表現が抜群!今回、エキストラは弦楽器が中心で管楽器はほとんどいらっしゃらないのですが、トロンボーンが今回参加していません。この「イタリア」もトロンボーンが参加していないのですが、今回のプログラム、どうやらトロンボーンがない作品を集めてきたようです。トロンボーンという楽器は実はかなり宗教的な楽器であり、モテットでは唯一使われる楽器でもあります。ファミリーコンサートなのでトロンボーンがない、世俗的な作品を集めたという可能性は否定できないと思います。

それでも、特にトランペットは素晴らしかったのですが、ホルンが少し調子悪そうでした。掛け合いなどもありそこが決まると本当に牧歌的で美しいのですが、そこがしっかりと表現されていなかったのは残念・・・まあ、ホルンって難しい楽器でよくひっくり返りますからね。カラヤンが振ったベートーヴェンの第九第3楽章でも、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団のホルンがひっくり返っているなんてこともあるくらいですし、20年位前だとアマチュアオーケストラの演奏では第九でホルンがひっくり返るなんてよくある話でした。なのでホルンを演奏する難しさは知っていますけれども、他のパートが素晴らしいだけに、ちょっと残念に思いました。それでも、最後はしっかり合わせていたのはやはり精進の結果が出たかなと思います。

アンコールはソリストだけでオーケストラはなしでしたが、子連れもいる中でコンパクトで楽しい演奏会だったと思います。12月の定期演奏会ではシューベルトモーツァルト交響曲を演奏するそうで、期待したいところですが、日程的に行けるかは現在神のみぞ知るって段階です・・・運がよければ、12月の定期演奏会も行けたらいいなあと思っています。

 


聴いて来たコンサート
小金井市民オーケストラ第41回ファミリーコンサート
ヴォルフガング・アマデウスモーツァルト作曲
歌劇「ドン・ジョヴァンニ」序曲
ロベルト・シューマン作曲
ピアノ協奏曲イ短調作品54
フェリックス・メンデルスゾーン=バルトルディ作曲
交響曲第4番イ長調作品90「イタリア」
安田正昭(ピアノ)
佐藤宏充指揮
小金井市民オーケストラ

令和6(2024)年6月1日、東京小金井、小金井宮地楽器ホール(小金井市民交流センター大ホール)

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