かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

東京の図書館から~小金井市立図書館~メンデルスゾーン 弦楽交響曲全集1

東京の図書館から、小金井市立図書館のライブラリをご紹介します。今回から3回シリーズで、メンデルスゾーンの弦楽交響曲をピリオド演奏で収録した全集を取り上げます。

以前「神奈川県立図書館所蔵CD」でメンデルスゾーンの弦楽交響曲は全集を取り上げていますが、その時はモダンオケでした。しかも室内オケ。今回はピリオド演奏のものとなります。

とはいえ、ピリオド演奏、つまり古楽と言えばバロック、あるいは古典派というものが多いのですが、意外ですがロマン派の作品も古楽で演奏されることが最近多くなってきました。ブラームスすら古楽でという演奏もあります。

古楽、いわゆるピリオドというのは、「その時代の」という意味なので、実はロマン派の時代の楽器で演奏するのも古楽、つまりピリオド演奏ということになります。楽器は今に至るまで進化を遂げてきていますので、ロマン派当時の楽器で演奏することは立派なピリオド演奏ということになります。

とはいえ、メンデルスゾーンが活躍した前期ロマン派という時代は、楽器の性能からして古典派とそれほど変わるものではありません。ですから古典派あたりの楽器であればほぼピリオドということになります。そもそも、完全にピリオドということはなかなかあることではありません。ある時期こうだったであろうという推測にすべての古楽演奏が基づいていますので、それは現代に生きる私たちの推測の演奏なんです。それをどう楽しむかが、古楽演奏を楽しむ一つの視点でしょう。

そんなこのアルバムで演奏するのは、コンチェルト・ケルンバロック~古典派の作品を今までとりあげてきた団体です。

ja.wikipedia.org

ですので、演奏を聴きますとバロックというか、モーツァルトの時代的な「ピリオド」サウンドがそこには存在します。この全集は必ずしも番号順ではなく、この第1集では第8番と第9番と第10番という、比較的後の作品が収録されていますが、モーツァルト的でありつつもロマン派の香りもするという、不思議なんですが爽快な響きがあり、それがとても気持ちいい!

メンデルスゾーンの弦楽交響曲は、作品番号がついていないものがほとんどで、習作と位置付けられる曲たちですが、モーツァルトをほうふつとさせるだけでもその才能の豊かさを感じることができます。その才能の豊かさへの共感がオーケストラから香り立つかのような演奏は本当に気持ちがよく、かつ力強さも存在し、共感の集合体としてのエネルギーを感じます。聴いていて本当に幸せな気分になります。

メンデルスゾーンの作品は、ともすれば先進性などの点で置いてけぼりを食うことが最近多いなと感じていますが、その才能は本当に豊かです。その豊かな才能は、実に私を幸せで満たしてくれます。演奏している団員達も同じように思っているかのように感じるのが、その膨大な演奏から感じるエネルギーの量です。熱量という感じを当てるほうが適切かもしれません。

おそらく楽器の設定がバロック~古典派だと思うのですが、それがメンデルスゾーンの時代とぴったり合うのも、演奏をより爽快にさせている一因かもしれません。ある意味コンチェルト・ケルンにとっても冒険だったのかもしれませんが、オケの団員の総意で演奏されるというスタイルを取っている以上、その演奏は団員たちが納得して全力で演奏しているものです。その熱意がビンビン伝わってくるのも、私が好意的にとらえている理由でもあります。とても共感します。

こういう演奏を聴きますと、これ以降の演奏も期待が膨らみます。

 


聴いている音源
フェリックス・メンデルスゾーン=バルトルディ作曲
シンフォニア第8番ニ長調(弦楽版)
シンフォニア第9番ハ短調
シンフォニア第10番ロ短調
コンチェルト・ケルン(ピリオド)

地震および津波、水害により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福と復興をお祈りいたします。同時に救助及び原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方、そして新型コロナウイルス蔓延の最前線にいらっしゃる医療関係者全ての方に、感謝申し上げます。