かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:コレッリ 合奏協奏曲集ピリオド2

神奈川県立図書館所蔵CD、コレッリの合奏協奏曲のピリオド楽器による演奏の第2回目になります。第7番から第12番までが収録されています。

第8番にクリスマス協奏曲があるにもかかわらず、さほど重々しくはありません。その一方で、壮麗さを持ち合わせている点も、特徴として挙げるべきでしょう。

こういった点が、所謂「時代楽器」による演奏の素晴らしい点であると言えるでしょう。モダンはモダンでまたいい点がありますが、ピリオドにはピリオドの、またいい点と味というものがあると思いますが、まさしく、ラ・プティット・バンドのこの演奏は味があるものと言えるでしょう。

ピッチの周波数が美的意識と合わないと敬遠する方もいるかと思いますが、それはそれでいいと思います。ただ、近年バロックはすっかりピリオドであり、モダンによる演奏が減った理由に、やはりバロックという時代背景の研究が進んだことが挙げられるでしょう。

強い精神性だけが演奏に求められた時代と異なり、現代はなぜバロックに舞曲が多いのかという、世俗曲からのアプローチも盛んであり、リヒターの、主に受難曲をもとにした重々しい演奏とは異なる、新たなバロック時代像というものが確立した時代であるという視点からは、むしろ軽めの演奏の中で、いかに軽重を表現するかというのが、バロック音楽における表現のコアになっているからです。

もちろん、何度も言いますがリヒターの演奏がだめと言っているわけではないんです。あれはあれで一つの視点ですし、大切な演奏記録だと思います。しかし、人間の感情というものは、重々しいだけではないわけで、バロックという時代が果たして暗いだけだったのかという点にこそ、焦点が当てられ始めた結果だと言えるでしょう。

バロック時代というのは、地球上でいえばマウンダー極少期であるわけですが、確かに暗い時代でありました。しかしだからこそ、明るく過ごそうという気風もあったわけで、それは現代でもよくある風景です。バロック時代の人々も同じであったからこそ、そこにフォーカスして演奏するというのは、決して間違ったアプローチではないわけです。

むしろ、いかに理性的に楽しむか、ということが試されていた時代だとも言えるでしょう。それは明らかに、次の古典派の時代や、或はその次の、前期ロマン派の時代、例えばシューマンの作品などに受けつがれていくわけなのです。

ラ・プティット・バンドの演奏は、私達にそういった「伝統」を顧みさせてくれるだけの、説得力があります。そもそも、シギスヴァルト・クイケンが単なる演奏家ではなく、研究者でもある訳です。研究結果を演奏という形でフィードバックできる、素晴らしい才能を持っている、という事が言えるでしょう。

その意味では、ピリオド楽器による演奏は、場合に寄っては少しだけ頭を使わないと楽しめない側面もありますが、実際にはとにかく耳を傾ければ楽しめるものなのです。合奏協奏曲は別として、バロック期の器楽曲はBGMの意味合いが古典派以上に強いため、先入観なく楽しめるのが特徴であるからです。

いや、合奏協奏曲だって立派な世俗曲ですから、単純に楽しめる作品ですが、ただ、教会ソナタが入っているという点からすれば、コレッリの作品は必ずしも単純ではないんですが、それでも、ピリオド楽器による演奏は、理屈抜きで楽しめるという点にこそ、素晴らしさがあると思います。

クイケンはそこまで考え抜いて演奏しているわけなので、とにかく、理屈抜きでまずは楽しむことが大事だと思います。理屈は後から理解すれば充分だと思いますし、バロック音楽の、特に器楽曲(つまりは世俗曲)に関してはそのスタンスで十分、作曲家の「想い」を受け取れるかと思います。




聴いている音源
アルカンジェロ・コレッリ作曲
合奏協奏曲ニ長調作品6の7
合奏協奏曲ト短調作品6の8「クリスマス協奏曲」
合奏協奏曲ヘ長調作品6の9
合奏協奏曲ハ長調作品6の10
合奏協奏曲変ロ長調作品6の11
合奏協奏曲ヘ長調作品6の12
コンチェルティー
シギスヴァルト・クイケン、ルシー・ファン・デール(ヴァイオリン)
ヴィーラント・クイケン(チェロ)
ボブ・ファン・アスペレン(チェンバロ
コンラート・ユングヘーネル(テオルボ)
シギスヴァルト・クイケン指揮
ラ・プティット・バンド


地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




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