かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

東京の図書館から~小金井市立図書館~:バレンボイムとデュ・プレによるベートヴェンのチェロ・ソナタ全集1

東京の図書館から、今回と次回の2回に渡りまして、小金井市立図書館のライブラリである、ダニエル・バレンボイムジャクリーヌ・デュ・プレによるベートーヴェンのチェロ・ソナタ全集のアルバムを取り上げます。

ベートーヴェンのチェロ・ソナタをこのブログで取り上げるのはおそらく最初だと思いますが、その最初を、バレンボイムとデュ・プレというコンビで聴くのはなんと幸運なことなのかと思います。二人とも素晴らしいソリストでありますが、この録音は1970年。つまり、夫婦であった時代ということになるのです。

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実は、いつかはこの二人の演奏によるアルバムを買うか借りたいと思っていたところ、案外近くで借りることが出来たのでした。まあ、名盤とも言われるアルバムですからあっても不思議はないとは言えますが、とはいえ、クラシック音楽のCDというのは、それほど長い時代販売しているわけではなく、普通に廃盤になるので・・・本当にラッキーでした。

さて、まず第1集は第1番~第3番までが収録されています。第1番と第2番は中間楽章が省略されていて2楽章制ですが、第3番は3楽章です。

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第3番は「チェロ・ソナタ新約聖書」とも言われますが、ベートーヴェンは決してチェロを得意としていたわけではありません。ただ、名ピアニストには名演奏家が集うもので、当時名手と言われたフランスのデュポール兄弟が第1番~第2番の初演で組んでおり、恐らく作曲に当たっても助言をした可能性が高いです。第1番と第2番は1796年に作曲・初演され、第3番は1808年とやや時間をおいて成立しています。第1番と第2番はピアノに対しチェロが伴奏と言う感じになっていますが、第3番からは対等になっています。これはベートーヴェンがいかにチェロを苦手としていたかを物語るのではないでしょうか。

しかし、この演奏を聴いていますと、チェロが貧弱とか対等とかを感じさせません。息の合った二人だからこそ創り出す世界が、ベートーヴェンのチェロ・ソナタを雄弁に語っているように思います。確かに、第1番と第2番においては、ピアノのほうが複雑な旋律ですが、かといってチェロが簡単かと言えばそんなことはないわけで、そのあたりの本質を存分に歌いあげていると言っていいでしょう。

大抵、ピアノと独奏楽器が対等ではないとか評論される場合、それはあくまでもベートーヴェンの基準において、です。実際はかなり複雑と言うか、それほどぞんざいに扱われていません。ピアノの名手だったベートーヴェンのピアノに対し、どれだけの旋律を持っているかで対等であるかそうでないかの判断が下されるわけなので・・・

なので、バレンボイムとデュ・プレの二人にかかれば、その本質がしっかりと浮かび上がり、なぜ二つとも作品番号が振られているのかが明確になるというわけです。名演を聞くというのは、その演奏家の芸術を味わうことですが一方で作品の本質や魂により深く触れることができるということも意味します。その意味で、この二人の演奏でベートーヴェンのチェロ・ソナタに触れられて、私は幸せであると言えるでしょう。こういう機会が提供されることが、図書館の役割であり、法律で規定されていることなのです。

 


聴いている音源
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン作曲
チェロ・ソナタ第2番ト短調作品5-2
チェロ・ソナタ第1番ヘ長調作品5-1
チェロ・ソナタ第3番イ長調作品69
ジャクリーヌ・デュ・プレ(チェロ)
ダニエル・バレンボイム(ピアノ)

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