かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:バレンボイムが弾くベートーヴェンのピアノ・ソナタ全集6

神奈川県立図書館所蔵CDのコーナー、シリーズで取り上げているダニエル・バレンボイムが弾くベートーヴェンのピアノ・ソナタ全集、今回はその第6集を取り上げます。

第6集には、第17番「テンペスト」から第20番までが収録されています。興味深いのは、第19番と第20番はそのまま番号順で弾いている、という点です。

番号順なら、それは当然ではないかと思われると思います。ええ、当然です。しかしながら、第19番と第20番は、ひとつのソナタソナチネとして分けた可能性があるのです。

ベートーヴェンのピアノ・ソナタにおいて、第1楽章がソナタ形式ではないのはたまにあるので、第19番の第1楽章がアンダンテであっても不思議はありません。が、第20番と第19番という順番で連続して弾いた場合、見事に古典的なピアノ・ソナタの構造になるのです。

これは現在、学者の間では有力な説となりつつあります。それを実行したのが日本人では山根弥栄子さんでしたが、なかなかその冒険をしようとする人はいません。まあ、現代ではリッピングしてファイルを並び替えてしまえばできる話ですし。

そのため、バレンボイムはとにかく番号順で弾いています。面白いのはそれで違和感がないことです。これがベートーヴェンのピアノ・ソナタの面白いところだと私は思います。もちろん、第20番、第19番という順番で演奏してもいいのですが・・・・・

実は、昨年ですが第19番と第20番に関しては、私が主宰する鑑賞会で第20番と第19番を連続した音楽ファイルにして一つの作品として聴く機会を作りました。参加者からは非常に興味深いという反響を得ています。あくまでも番号順なのでバレンボイムはそのように弾いたのでしょうが、弾きながら「第20番と第19番を連続して弾いたら面白いかもと感じてくれるといいなあ」と思いつつだったかもしれませんね。

あるいは、多少入れ替えてしまってもいいんですね。そのために、この第6集はテンペストが目立つのですがその次に第18番を持ってきているわけです。第18番は古典的な4楽章形式。それと同じように第19番と第20番を並べるなら、こうなります。

第1楽章:第20番第1楽章
第2楽章:第19番第1楽章
第3楽章:第20番第2楽章
第4楽章:第19番第2楽章

こんな想像を私たちがしてしまってもいいわけです。バレンボイムはあくまでも番号順で弾いていますが、脳内で私たちは別に組み替えて聴いてもかまわない・・・・・とても高等なお遊びではありますが、こういったこともまた演奏を聴く楽しみです。特にベートーヴェンのこの第19番と第20番においては、そんな妄想もまた楽しいのです。

むしろ、この第6集では「テンペスト」のほうが霞むくらい。もちろんバレンボイムは深い愛情をこめて弾いており、まさに「嵐」という名にふさわしい、激しさというか暗さもあるいい演奏です。その一方で、そのあとの3曲にも注目するように弾いているのも心憎い演奏です。

茶目っ気あるバレンボイムが、私たちにウィンクして微笑んでいる様子が目に見えるようです。

 


聴いている音源
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン作曲
ピアノ・ソナタ第17番ニ短調作品31-2「テンペスト
ピアノ・ソナタ第18番変ホ長調作品31-3
ピアノ・ソナタ第19番ト短調作品49-1
ピアノ・ソナタ第20番ト長調作品49-2
ダニエル・バレンボイム(ピアノ)

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