神奈川県立図書館所蔵CDのコーナー、10回シリーズで取り上げますバレンボイムが弾くベートーヴェンのピアノ・ソナタ全集、今回はその第2回目。第2集を取り上げます。
この全集は番号順に収録されています。ですのでこの第2集は前回の続きとなり第4番から第6番が収録されています。3つずつなのかはわかりませんが・・・・・
一見するとなんの変哲もない演奏なのですが、決して急ぎすぎずしっかり歌う点は本当に素晴らしい!そしてその演奏がバレンボイムの指揮とほとんど変わらないのも魅力的ですし、ポリシーも感じます。
そうなると、一音一音に意味があるようにすら思えてきます。実際バレンボイムは一音一音を決して粗末にせず弾いているんです。もうそれなりの年齢のはずなんですが、それでも力強さも失わず、自らの「歌」をベートーヴェンのピアノ・ソナタで実現させるのはもう才能としかいいようがないです。
ロケーションがベルリン国立歌劇場であるせいなのか、ピアノを存分に「鳴らして」います。壮大な空間をピアノで満たすような感じです。まるでピアノによるオペラ。
それはバレンボイムがシュターツカペレ・ベルリンの音楽監督であるから故かもしれません。いずれにしても、しっかりと歌い上げるバレンボイムのピアニズムは見事です。
こういう演奏を聴いてしまうと、バレンボイムの指揮そして解釈はなるほどなあと脱帽せざるを得ず、そしてその敗北感は実は気持ちよく、あっぱれ!とハリさんのようにフリップを出す以外ないのが爽快でもあります。こういう「敗北の爽快さ」を経験させてくれることこそ、プロの演奏ではないかと思います。
聴いている音源
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン作曲
ピアノ・ソナタ第4番変ホ長調作品7
ピアノ・ソナタ第5番ハ短調作品10-1
ピアノ・ソナタ第6番ヘ長調作品10-2
ダニエル・バレンボイム(ピアノ)
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