かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:バレンボイムが弾くベートーヴェンのピアノ・ソナタ全集1

神奈川県立図書館所蔵CDのコーナー、今回から10回に渡りまして、ダニエル・バレンボイムが弾きました、ベートーヴェンのピアノ・ソナタ全集を取り上げます。

ベートーヴェンのピアノ・ソナタはもういくつかを持っていますが、さらにこのバレンボイムのものが加わった、ということになります。

現在ではバレンボイムと言えば、指揮者として有名ですが、そもそもはピアニストです。ピアニストの割にはフレージングを大切にする稀有な指揮者だと私は思っており、評価もしています。

そんなバレンボイムは、ベートーヴェンのピアノ・ソナタ全集をいくつかすでに録音しており、これもその中の一つですが、特徴的なのは、この録音はすでにバレンボイムが指揮者として名声を得た時期に収録したという点です。この第1集に関しては、2005年の7月、ベルリンの国立歌劇場での収録なのです。この時期のバレンボイムは、ベルリン国立歌劇場管弦楽団、いわゆるシュターツカペレ・ベルリン音楽監督を務めており、ベートーヴェン交響曲全集もすでにシュターツカペレ・ベルリンと収録を終えているというキャリアがある中での演奏なのです。しかもライブ。

そんなシュターツカペレ・ベルリンとの関係からのオペラ劇場でのコンサートであろうと想像できるこのアルバム。バレンボイムの生き生きとしたピアニズムを体験できる録音だと思います。この第1集では第1番から第3番という、本当に初期の作品が収録されていますが、どれも生き生きとしていて、しかもしっかり歌ってもいるのが好印象です。

ここに、バレンボイムの凄さを感じざるを得ません。以前も言及したことがあるかと思いますが、ピアノという楽器は叩けば音が出るだけに、フレージングを気にせずたったかたったか行ってしまうピアニストも多数います。しかしバレンボイムはこの演奏ではそんなことがなく、全体像をしっかりとらえたうえで、歌うところはしっかり歌っています。結果、演奏は生命力あふれるものとなっており、若きベートーヴェンの血潮すら感じる、素晴らしい演奏になっているのが好印象です。

ピアノという楽器の素晴らしさと欠点をしっかりと把握している点も好印象です。なるほど、オケを振るのも同じになるのかと納得です。その点では聴いていてまさに楽しさに満ちている演奏で、興味深いものです。こういう演奏を聴いた後で、バレンボイムが指揮した演奏を聴くと、腑に落ちるものがたくさんあります。もっと味わいたいアーティストの一人です。

 


聴いている音源
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン作曲
ピアノ・ソナタ第1番ヘ短調作品2-1
ピアノ・ソナタ第2番イ長調作品2-2
ピアノ・ソナタ第3番ハ長調作品2-3
ダニエル・バレンボイム(ピアノ)

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