東京の図書館から、今回は小金井市立図書館のライブラリである、ボロディンの交響曲全集を収録したアルバムをご紹介します。
以前、「今月のお買いもの」コーナーでナクソスのを取り上げていますが、それとはもちろん別。指揮はゲルギエフ、ロッテルダム・フィルハーモニー管弦楽団の演奏です。
ボロディンは完成したものとしては第1番と第2番を残しましたので、その二つしか収録されていません。つまり、ナクソス盤には収録されていた第3番は未収録、ということになります。これはこれで編集方針としてはいいのではと思います。
演奏はどちらがいいかと言えばかなり微妙で、優劣はつけられませんが、みずみずしさという点ではこの演奏は聴きどころではないかと思います。おそらく第3番を演奏していれば、レーゲンボーデン・フィルさんと同じような生命力ある演奏になったような気がします。
その点は、ゲルギエフが振る演奏の特色だと思います。ボロディンの交響曲は管弦楽作品が知られている割には我が国ではそれほど知られているものではありませんが、作品が持つ土臭さが、存分に表現されており、聴いていてボロディンの作品の魅力に開眼させられる感じがします。
それをさらに、DSEE HXを作動させて聴けば、ホールの残響を使ったのびやかな演奏にも注目です。ボロディンの交響曲はアマオケで先行して演奏がなされていましたが、最近ではプロオケでもコンサートピースにするケースも出てきていて、さらに演奏機会は増えそうです。そんな中、このアルバムは確実にナクソス盤と双璧を成し、ひとつの基準演奏となるのではないかと思います。
ロッテルダム・フィルの豊潤かつみずみずしいサウンドもまた魅力的。オランダのオケというとどうしてもコンセルトヘボウくらいしか思い浮かべない私たちに、さらにいいオケがあるよと教えてもくれます。こういう見事な演奏に出会うと、さすがプロだよねえと脱帽せざるを得ません。そしてそういう「脱帽する演奏」こそ、プロオケで聴きたいものの一つ。またいつかで会えたらなあと思います。
聴いている音源
アレキサンダー・ボロディン作曲
交響曲第1番変ホ長調
交響曲第2番ロ短調
ヴァレリー・ゲルギエフ指揮
ロッテルダム・フィルハーモニー管弦楽団
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