かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:メンデルスゾーン 交響曲全集7

神奈川県立図書館所蔵CDのコーナー、シリーズでメンデルスゾーン交響曲全集を取り上げていますが、今回はその第6集を採り上げます。

第6集には弦楽のための交響曲第8番が収録されています。え、そんなに演奏時間が長い作品なのですか、って?

いえいえ、30分ほどの作品です。ではなぜ、第8番だけが収録されているのか。それは、この第8番は、メンデルスゾーンによって、管弦楽版へと編曲されているからです。

第8番 ニ長調
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BC%A6%E6%A5%BD%E3%81%AE%E3%81%9F%E3%82%81%E3%81%AE%E4%BA%A4%E9%9F%BF%E6%9B%B2_(%E3%83%A1%E3%83%B3%E3%83%87%E3%83%AB%E3%82%B9%E3%82%BE%E3%83%BC%E3%83%B3)#.E7.AC.AC8.E7.95.AA_.E3.83.8B.E9.95.B7.E8.AA.BF

いやあ、やっぱりメンデルスゾーンは天才ですぜ、ええ。どこかにモーツァルト風が漂いながらも、しっかりと前期ロマン派している作品を、実にまた素晴らしいオーケストレーションをしています。

弦楽版でもその完成度の高さがうかがえる作品ですが、管弦楽版ではもう、ブルックナー風にするのであれば、0番としてもいいくらいの作品で、これを作品番号が付いている交響曲と一緒にしてもいいくらいなのです。

その聴き比べができるのが素晴らしい!メンデルスゾーンの編曲能力、それはひいては作曲能力が、少年時代から既に完成の域に達していたことを示すのです。

断言します、メンデルスゾーンの天才ぶりが知りたければ、弦楽のための交響曲を聴くべきだと思います。さすれば、その後の作品を聴くときに、私たちにまた違ったメッセージが届くことでしょう。

共にアレグロの第1楽章と第4楽章、小さな緩徐楽章とメヌエット。形式的にはかなり古風でありながらも、古典派よりは前期ロマン派というか、モーツァルトベートーヴェンの間のような作品で、確かに習作的な作品ですが、それをわずか13歳で書いたと知れば、驚かれることでしょう。そりゃあ、モーツァルトの再来と言われるのも当然だと思います。

それを踏まえたうえで、「真夏の夜の夢」や、オラトリオ、そして交響曲や合唱曲を聴きますと、メンデルスゾーンが年齢を重ねるとともに、音楽に深みがまし、表現力が増しているのが分かります。天才でありながら精進を怠らない・・・・・でも、それが天才である所以だとも言えましょう。私にはメンデルスゾーンイチローと重なって見えます。

そりゃあ、リストに対して多少批判的になるのは、当然だろうなあと思います。勿論、リストが嫌いでそうであるわけではなかったはずですが、どこかひけらかしの部分があった当時のリストに対しては、天才でありながら努力家でもあったメンデルスゾーンからしてみれば、僕はもうそれは少年時代に過ぎた話だよ・・・・・という感じではなかったでしょうか(悪く言えば「リストはガキだなあ」って感じ)。

でも、それで奮起したリストは素晴らしい作曲家になりましたし、それが「巡礼の年」や「伝説」などへと結実するわけです。メンデルスゾーンという作曲家が当時の他の作曲家たちに与えた影響力を考えますと、この第8番という作品は決して低い評価をするべきではないと思います。プロオケでは取り上げにくいかもしれませんが、アマチュアオケが管弦楽版に挑戦するというのは、面白いと思います。勿論、この演奏のようにプロオケがやったら、豊潤で色のある演奏になるはずですが・・・・・

そのオケは、弦楽のための交響曲を担当するライプツィヒ・ゲヴァントハウズ管。指揮はクルト・マズア。演奏時間は同じなはずなのですが、第2楽章以外は若干異なるのが面白いです。でも大幅に異なっているわけではないので、管楽器が入ったことでより深みが増している分、マズアがオケに更なる表現力を要求しており、そのせいだと思います。もし、モーツァルトベートーヴェンの時代まで生きていたら・・・・・それを彷彿とさせる演奏が、ここに存在します。

まるでメンデルスゾーンモーツァルトになったことを喜んでいるような、生命力あふれる、溌剌とした演奏は、私たちにマズアとゲヴァントハウス管を通して、メンデルスゾーンと対話をさせてくれます。




聴いている音源
フェリックス・メンデルスゾーン=バルトルディ作曲
弦楽のための交響曲第8番ニ長調MWV.N 8(オリジナル弦楽版、管弦楽編曲版)
クルト・マズア指揮
ライプツィヒ・ケヴァントハウス管弦楽団

地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




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