かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

コンサート雑感:東京楽友協会交響楽団第116回定期演奏会を聴いて

コンサート雑感、今回は令和6(2024)年3月9日に聴きに行きました、東京楽友協会交響楽団の第116回定期演奏会のレビューです。

東京楽友協会交響楽団さんは、東京のアマチュアオーケストラです。なんと、創立は1961年。それほど歴史のあるオーケストラとはわかりませんでした。何しろ、若い人しか見えなかったので・・・

www.tokyo-musikverein-symphoniker.org

このコンサートは、チラシはもらっていたのですが、行く決断をしたのは、その翌日に予定していた、ユーゲント・フィルハーモニカ―さんのコンサートがきっかけです。実は、ユーゲント・フィルハーモニカ―さんはYouTubeチャンネルを持っていらっしゃいまして、その動画内で、同じ指揮者がその前日にも振られると発言があったのです。もしやと思い、チラシを確認したら、そういえば・・・となったのでした。なお、当該動画はユーゲント・フィルハーモニカ―さんのYouTubeページにあります。YouTubeにて「ユーゲント・フィルハーモニカ―」で検索をお願い致します。

さて、東京楽友協会交響楽団の今回のコンサート、プログラムは以下の通りでした。

ヴェルディ 歌劇「ナブッコ」序曲
エルガー 「エニグマ」演奏曲
サン=サーンス 交響曲第3番「オルガン付き」

実は、ユーゲント・フィルハーモニカ―さんの動画で知ったのですが、指揮者の橘さんは、日本におけるエルガーの第一人者だそうです。東京楽友協会交響楽団さんも、それを知ってか、2プロでエルガーを入れてきたのかもしれません。とはいえ、橘さんは後期ロマン派の作品に対しては素晴らしいタクトをされるという印象を持っています。例えば、先日聴きに行きました、オーケストラ・ルゼルではブラームス交響曲第2番を振られていますが、これも素晴らしい演奏でしたし、解釈だったと思います。

ykanchan.hatenablog.com

なので、エルガーもそうですが、特に後期ロマン派の作品を振られるのを得意としている印象があります。実際今回も、メインはサン=サーンスの「オルガン付き」ですし。

当日、間に合うようには出たつもりでしたが・・・バタバタしてギリギリで出た上に、上野東京ラインが遅延・・・ホールに着いた時には、すでに「ナブッコ」序曲が始まっていました。ただ、ティンパニの音はかなり鋭く聞こえてきており、そのレベルは比較的高いと判断していました。

なので、しっかり聴けたのは2プロのエルガーから。エニグマ変奏曲と言われていますが、正式名称は「管弦楽による独創主題による変奏曲」です。

ja.wikipedia.org

エニグマとは、謎という意味ですが、何が謎なのかってところですが、どうやら、エルガーは主題になぞかけをしているようです。それが故に「エニグマ変奏曲」と言われているようですが、エルガー自身はこの曲が謎なのではなく、「謎と変奏」と言っていることは重要だと思います。つまり、主題になぞかけしているよ、その主題の変奏曲だと明確にしているように私は思います。

ところで、普通変奏曲と言えば、あまり切れ目がなく連続して演奏されることがしばしばですが、この「エニグマ」変奏曲においては、それぞれの変奏は独立しており、まるで楽章です。その意味では、古典的というか、バロック的ともいえる雰囲気を持っています。なのでともすればアンコールにも使われることすらあります。

そんな作品を、東京楽友協会交響楽団さんは、のびのびと、そして弦にやせた音なく演奏するんです!やはり、レベルは高かった・・・東京のアマチュアオーケストラは、もうセミプロと言ってもいいくらいのレベルに達していると思います。エルガーが友人たちを想像しながら変奏を作っていった過程を楽しむかのように、楽しそうに演奏しているのが印象的。

そして、メインの「オルガン付き」。冒頭の比較的高音のpは結構弦楽器でも難しいと思うのですが、これが難なく演奏して実に繊細。これだけでもう感動ものなんですが、それからの盛り上がりも素晴らしい!躍動と繊細さがしっかり同居し、生き生きとした演奏に。同じホールでプロの東京交響楽団も演奏していますが、それに匹敵すると言ったらウソだと言うかもしれませんが、いや、本当のことです。

そして、圧巻は最終部分でオルガンが入ってくるところ。圧倒的なオルガンの音がホールを包み込みますが、そのアインザッツが強烈!かつ、pでは繊細な部分もあります。オルガニストは梅干野安未(ほやのあみ)さん。オルガンを自在に扱っているように感じます。ホールはミューザ川崎ですが、パイプオルガンが設置してあるホールはどこもそうですが、指揮者とオルガニストとの距離は遠いのですよね。そこをしっかり連携できている点でも、素晴らしいと思います。おそらく、橘さんとの関係性がいいんでしょうね(というのは、実はユーゲント・フィルハーモニカ―さんの演奏会でも登場しているからです!)。かつ、ミューザは舞台上だと音が自分にかえってきません。そこをしっかり演奏しきれるのはさすがです。もう、こういったホールに日本人がしっかり慣れており、当たり前になってきている証拠だと思います。

オーケストラも、この曲を味わい尽くしている感じの演奏です。ノリノリで演奏していますし、楽しんでいるなと感じます。作品への共感にあふれています。アマチュアの演奏は、その共感している演奏が楽しめるのが魅力だと思います。勿論、プロでもそれは同じなのですが・・・アマチュアだと、自分たちが弾きたい!としてプログラムを組んでいるわけなので、その金銭的な部分ではない意志を楽しめるのが魅力なのです。ともすれば失敗することだってありますが、そこをどう立て直すのかも楽しみの一つですが、その失敗なく素晴らしい演奏で楽しませてくれるのは、もう魂の喜び、愉悦です。

また一つ、聴きに行きたいオーケストラが増えて、私は正直うれしい悲鳴を上げております。そろそろ、一覧表とか作らないと、コンサート行脚に支障をきたしそうです・・・

 


聴いて来たコンサート
東京楽友協会交響楽団第116回定期演奏会
ジュゼッペ・ヴェルディ作曲
歌劇「ナブッコ」序曲
エドワード・エルガー作曲
独奏主題による変奏曲 作品36

愛の挨拶作品12(アンコール)
シャルル・カミーユ・サン=サーンス作曲
交響曲第3番ハ短調作品78「オルガン付き」

梅干野安未(オルガン)
橘直樹指揮
東京楽友協会交響楽団

令和6(2024)年3月9日、神奈川、川崎、ミューザ川崎コンサートホール

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