かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

コンサート雑感:カラー・フィルハーモニック・オーケストラ第23回演奏会を聴いて

コンサート雑感、今回は令和6(2024)年3月3日に聴きに行きました、カラー・フィルハーモニック・オーケストラさんの第23回演奏会のレビューです。

また、はしごしたんでしょ!という、ア・ナ・タ。鋭いですねえ。ええ、はしごしちゃいました・・・この日、先日3月10日のエントリに出したオーケストラ・エレティールさんの後、夜のコンサートだったのではしごにしてしまいました。ホールも東急東横線都立大学駅近く(と言っても10分ほど歩きますが)のめぐろパーシモンホールだったことも、はしごにした理由でした。調布から都立大学までであれば、京王と東急で行けますし乗り換えも渋谷を除いてはそれほど大変ではありません(しかし、当日は実は世田谷線利用だったのですが、それについては触れません。因みにそのルートは鉄道動画にて。探してみて下さいネ!)。

カラー・フィルハーモニック・オーケストラさんも以前エントリを立てているアマチュアオーケストラですが、実力があるので今回も行こうと思いました。ただ、直前まで結構悩んだのが、括弧で触れましたが、駅からちょっと歩くんですよね・・・かつてそこには駅名にもなっている東京都立大学があった場所なので、敷地は広大ですが駅からちょっと離れているのです。まあ、健康な人ならなんてことない場所なのですが、リウマチの私にとっては、難儀します。ですが、リハビリのつもりで、しかもカラー・フィルハーモニック・オーケストラさんなので、行こうと決めました。かれこれ5年はめぐろパーシモンホールに来ていませんでしたが、記憶だけでたどり着きました・・・

www.persimmon.or.jp

カラー・フィルハーモニック・オーケストラさんは2014年創設のアマチュアオーケストラ。カラーというのは襟のことではなく色のほう。様々な「カラー(色)」を持つ人たちが集まって音楽を紡ぐという精神をもって活動されている団体です。それはまさに、音楽の基本にたちかえることをも意味すると思います。

colorphil.jimdofree.com

以前ブルックナーを聴きましたが、今回はチャイコフスキーの「悲愴」がメイン。そこに、メンデルスゾーンバルトークが加わっています。アマチュアバルトークというのはある意味冒険である意味逃げなのですが・・・

メンデルスゾーン ルイ・ブラス序曲
バルトーク ヴィオラ協奏曲
チャイコフスキー 交響曲第6番「悲愴」

まずは1曲目の「ルイ・ブラス」序曲。ブラスという言葉が入っているのでブラスバンドの曲?と勘違いそうです。実際見事な金管で始まりますので。しかし、この曲はメンデルスゾーンが戯曲に付けた序曲なのです。

ja.wikipedia.org

道理で随分と快活な曲なはずです。カラー・フィルハーモニック・オーケストラさんはこの曲を本当に生き生きと楽しく演奏されますし、また思い切った演奏もします。後期ロマン派を中心に演奏される団体らしさが前面に出ていました。めぐろパーシモンホールの残響の良さを見事に楽器として使い、豊潤な演奏が聴けたのは本当にアマチュアらしからぬことです。

続くバルトークヴィオラ協奏曲。バルトークによって完成はされずティボールによって補筆・完成された曲ですが、バルトークらしい和声・リズムは備わっています。そのせいのか、この曲に関しては演奏において、弦楽器にやせた音が出ていました。なかなか体が使いにくそうです・・・そのあたり、ソリスト佐々木亮氏はそもそもNHK交響楽団の首席ヴィオラ奏者なので、難なく弾いています。オーケストラもそれでも必死に食らいつき、リズムそしてアンサンブルは崩壊しないのですから、やはりその実力の高さを感じます。バルトークのような作曲家の作品は難しいのでアマチュアのレベルの低さをごまかせるのですが、むしろカラー・フィルハーモニック・オーケストラさんの実力の高さを物語る演奏になっていました。

ja.wikipedia.org

そして、メインの「悲愴」。低弦で始まるその弦、そしてダイナミックな演奏。生き生きとした弦楽器は、息を吹き返しやせた音が全くない!すべてのパートが躍動し、体いっぱいを使って、まるで慟哭、悲哀、喜びが入り混じる、作品の魂を掬い取るような演奏。これだけでもプロオケを聴きに行く必要がないと思うくらいの演奏です。しかも、ヴィオラにはソリストN響佐々木氏が入って浮かないのです!それだけで実力の高さが分かろうもの。第3楽章の明るいスケルツォも躍動感満点!それがむしろ、第4楽章の哀しみに打ち震えるような叫びとの対比となり、見事!チャイコフスキーがその人生の最後期に自らの人生を振り返るかのような作品に対する、共感が見られるのです。

なのに、平均年齢はそれほど高くないですし若い人も多く、実際めぐろパーシモンホールにも多くの若い人が足を運んでおりました。やはり、若い人であればあるほど、「共感」というのが一つのキーワードではないかと思います。その共感を、年齢が高い人たちがどれだけしているか・・・そこが、クラシックコンサートにおいて、若い人が足を運ぶかどうかの分かれ目な気がします。

実際、めぐろパーシモンホールは駅からの距離で言えばちょっとだけ離れていますし、駅から目黒通りを渡りますので実距離よりも遠く感じるホールです(しかも、上り坂)。それでも足を運ぶ人が多いと言うことは、それだけカラー・フィルハーモニック・オーケストラさんの実力を知っている人が多いことと、若い人に支持されている証拠だと思います。

こういうオーケストラがあることがあまり知られていないなあと、某SNSのグループの投稿を見ると思います。プロオケだけがコンサートではないんですが・・・日本のアマチュアオーケストラの実力が上がっているというアップデートがなされていないんだなと感じます。その意味ではさらに、私のブログの役割は大きくなっていることを感じています。母校の高校校歌の歌詞にある通り「文化の守り」であるという意識を、これからも持ち続けたいと思いますし、今回のカラー・フィルハーモニック・オーケストラさんの演奏で再認識させられました。次回もまたできるだけ足が運べればと思います。

 


聴いて来たコンサート
カラー・フィルハーモニック・オーケストラ第23回演奏会
フェリックス・メンデルスゾーン=バルトルディ作曲
ルイ・ブラス」序曲作品95
バルトーク・ベラ作曲
ヴィオラ協奏曲Sz120
ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー作曲
交響曲第6番ロ短調作品74
佐々木亮ヴィオラ
金山隆夫指揮
カラー・フィルハーモニック・オーケストラ

令和6(2024)年3月3日、東京、目黒、めぐろパーシモンホール大ホール

地震および津波、水害により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福と復興をお祈りいたします。同時に救助及び原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方、そして新型コロナウイルス蔓延の最前線にいらっしゃる医療関係者全ての方に、感謝申し上げます。