かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

コンサート雑感:カラー・フィルハーモニック・オーケストラ第21回演奏会を聴いて

コンサート雑感、今回は令和5(2023)年7月17日に聴きに行きました、カラー・フィルハーモニック・オーケストラの第21回演奏会を聴いてのレビューです。

カラー・フィルハーモニック・オーケストラさんは、以前2回聴いたことがある団体です。一度目はコロナまっさかりの無観客ライブ配信、そして2度目は今年2023年の3月の第20回です。

ykanchan.hatenablog.com

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ホールは毎度、杉並公会堂ですが、杉並区に関係するというオーケストラではなく、東京のアマチュアオーケストラらしい、弾きたい人が集まった団体です。上記第20回の演奏会を取り上げたエントリで述べましたように、いかにも東京らしいアマチュアオーケストラだと思います。

colorphil.jimdofree.com

さて、今回の第21回はマーラー交響曲第5番。しかもそれだけ、です。え?本当にそれだけなんですか?と思われるかもしれませんがその通りです。でも私はそれでいいと思います。特にマーラー交響曲第5番は演奏するのは難しい作品です。それをある程度のレベルで披露するためには、他にも曲を入れてしまったら4か月程度の練習期間では到底足りないでしょう。1曲だけでも足りるかどうか。

そのうえ、コロナで集まることはネガティヴという期間が続きましたし、コロナが5類に下げられた今でも、依然ホールでは発熱等があればご遠慮くださいという掲示がどこでもある状況では、最悪の場合を想定せざるを得ません。手弁当でやっているアマチュアオーケストラでできる最大の対策は、公演時間をなるべく短くすることしかありません。となると、公演時間を短くするためには演奏する曲数を減らすしかない、ということになります。低コストで対策できるわけなので。

そうはいっても、マーラー交響曲第5番は決して短い曲ではありません。むしろ演奏時間の長い(だいたい70分程度)曲だと言えるでしょう。だからこそその1曲だけという判断になるかと思います。

マーラー交響曲第5番の特徴は、第1楽章冒頭の金管によるファンファーレです。華やか、壮麗という言葉とは遠く、むしろ何か不吉な予感さえさせます。ですがこの印象的なファンファーレこそ特徴で華であるわけで、だからこそ難しいと言えます。金管楽器は基本的に合唱と一緒なので、まず息を吸うところからはじまります。ふつうは他の楽器の演奏を聴きながら拍数を数えて音を出すタイミングをタクトを見ながら、ということになりますが、マーラーの第5番の場合はいきなりです。なので相当難しいんですよね。カラー・フィルハーモニックさんもここでは相当苦労されたようです。プロオケのようにピシッと!というわけにはいきませんでした。ですが、演奏自体には生命力があり、そんな細部の不具合が全体的に悪い印象を感じさせないんです。アインザッツの強さ、表現力の豊かさ、音の豊潤さ、どれをとってもアマチュアの中でもレベルが高いと言えるでしょう。むしろよくぞ4か月でここまで仕上げたものだと思います。

楽章を追うごとに音は安定し、アマチュアらしいやせた弦の音が聞こえてきたりはしますが全く気になりません。アマチュアですもん、そんなの当然です。それよりも目立ったのは、アタッカで演奏する感じが強かったことです。これは意外なのですが実はそもそもマーラー交響曲第5番は3つの部分から成り立っているのですが、それを演奏に反映させるディスクはあまりないと思います。しかしこの演奏会では指揮者が明確にその構造にのっとって指揮されていました。指揮された金山さんのタクトを私は過去2度聴衆として経験しておりますが、いずれも解釈に優れた指揮者だと思っています。

ja.wikipedia.org

第1楽章と第2楽章、そして第3楽章から第5楽章を大きな部分とし、そのうえで若干第3楽章と第4楽章では間を取るという演奏スタイル。聴いていてお!と思い帰ったら調べてみようと、この原稿を書く際に検索してみたのですが、上記ウィキペディアで触れている通り3部に分かれている、というわけなんです。アマチュアながらマーラーが意図することを自分たちができうる限り再現するという姿勢は素晴らしいと思います。その思いが演奏に現れているように思います。特に終楽章へと進むにつれて体が動き、熱狂的な演奏になっていったのは聴いていて感動しました。マーラーの音楽を聴いて、涙が出そうになったのは初めてです。これぞアマチュアの力と言ってもいいのではないでしょうか。

ホールが杉並公会堂である、ということも有利に働いているのかもしれません。日本フィルのフランチャイズでもあるホールですがとはいえそれほど大きいホールではありません。収容人数からすれば1,000人程度のホールなので、むしろ小さいと言えます。アマチュアオーケストラが演奏するにはちょうどいい大きさだと言えるでしょう。第4楽章アダージェットの美しい音色、そして終楽章の熱狂。その演奏による音の広がりと包まれる感覚。まさにマーラーのこの交響曲の魅力が詰まった演奏会だったと言えます。

マチュアオーケストラだと、どうしても資金面と予定の関係でいろんなホールを使いがちなんですが、まるで杉並区の市民オーケストラかと見まごうように、常に杉並公会堂を使い続けるということはいいことだと思います。そうすればアマチュアと言っても自分たちの「音」が確立し、コアなファンを獲得することができます。終焉後も、団員たちを出待ちする聴衆が多かったのが印象的です。カラー・フィルハーモニックさんはまだまだ伸びしろがありますし、さらに多くのファンを獲得していくのでは?と思います。特にカラー・フィルハーモニックさんはほとんどエキストラがいないので(今回もハープのお一人だけ)。次回も楽しみです!

 


聴いてきた演奏会
カラー・フィルハーモニック・オーケストラ第21回演奏会
グスタフ・マーラー作曲
交響曲第5番
金山睦夫指揮
カラー・フィルハーモニック・オーケストラ

令和5(2023)年7月17日、東京杉並、杉並公会堂大ホール

地震および津波、水害により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福と復興をお祈りいたします。同時に救助及び原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方、そして新型コロナウイルス蔓延の最前線にいらっしゃる医療関係者全ての方に、感謝申し上げます。