かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

東京の図書館から~府中市立図書館~:ブクステフーデ カンタータ集2

東京の図書館から、前回と今回の2回シリーズで、府中市立図書館のライブラリである、ブクステフーデのカンタータ集を取り上げていますが、今回はその第2回目となります。

ブクステフーデのカンタータを全部・・・と言いたいところなのですが、第2集が抜けており、実はこれは第3集となります。ですが、この第3集、結構興味深い内容です。おそらく、バッハのカンタータを聴きなれている人だと、これはバッハだ!と叫びたくなると思います。

収録されているカンタータは以下の通り。ブクステフーデのカンタータはブクステフーデ自身は「カンタータ」と名付けていないことを付言しておきます。BuxWVとはブクステフーデの作品の整理番号です。

声楽コンチェルト BuxWV77 BuxWV46 BuxWV39 BuxWV79
コラール楽曲
アリア
混合       BuxWV51

なんと!コラール楽曲とアリアに属するものがなく、声楽コンチェルトもしくは混合(声楽コンチェルトとコラールなどいくつかの様式が混在しているもの)というカテゴリのものしか収録されていません。そして、ウィキペディアで「カンタータ」と記載があるものはBuxWV77、BuxWV46、BuxWV51、BuxWV39の4つであり、BuxWV79はコンチェルトとの記載です。これから見いだされるのは、カンタータという名称を使い始める時期の作品であろうと言うことです。ウィキペディアには成立年の記載がないので断定はできませんが、バッハに似た様式を持つことを考えれば、かなり晩年の作品と考えてもいいのでは?と思います。

ja.wikipedia.org

その意味では、バッハはすでにアルンシュタット赴任の時期あたりから、ブクステフーデのカンタータの強い影響の下自身もカンタータを作曲し、発展させていったことが明確です。バッハはブクステフーデの後任とまでは行きませんでしたが、それでもブクステフーデが勝つ栗した様式の継承者だとはっきり言えましょう。アルンシュタット、あるいはそのあとのミュールハウゼンの作品も私は聴いていますが、実にブクステフーデのカンタータに様式的に似通っています。それは、ブクステフーデがいかに当時偉大な作曲家であり、影響力が強かったかを意味します。勿論、バッハ自身の傾倒もありますが。

こうなると、恐らくこの曲集はトン・コープマンアムステルダム・バロック管弦楽団との全集でしょうから、全部聴いてみたいという欲求がふつふつと湧き上がってきます。ハイレゾでありやなしや・・・ちょっと調べてみたいと思います。というのも、指揮者コープマンのタクトは、演奏者にのびのびと謳わせていますし、その自然さゆえに曲が持つ魂が、聴き手に迫ってくるのです。朴訥な演奏ながら、ソリストの声楽も自在ですし自身の共感も伝わってきます。

ソリストたちも、実は今後取り上げますが、バッハのカンタータ全曲演奏に携わっている人も多いですし、さらに言えば、バスのペーター・コーイと言えば、バッハ・コレギウム・ジャパンの初期において、ソリストを務めた人でもあります。私もBCJのCD、あるいはコンサートにおいて、何度その美声に酔いしれたことか・・・今や、その位置に日本人の加耒徹氏が座るようになり、時代は移り変わりましたが・・・それでも、やはりペーター・コーイの太く且つ美しい声は、清廉な印象を受けます。

バッハ以前の作曲家なんて!と思うなかれ。ブクステフーデのその革新性は、バッハを聴きますと際立ちます。バッハが好きな人なら、確実にブクステフーデのカンタータの魅力に気が付くのではと思います。まずは図書館で借りてみて、気に入ったら購入するという使い方も、図書館の使い方として有効だと思います。税金だけで使えるのですから、使い倒さなければもったいないですよ!

 


聴いている音源
ディートリッヒ・ブクステフーデ作曲
何ものも私たちと神の愛を引離すことはできない BuxWV77
あなたたち愛するキリスト者よ、喜べ BuxWV51
私はこの世を去って BuxWV46
主よ、私はあなただけをもち得るなら BuxWV39
すべての人よ、いま神に感謝せよ BuxWV79
バルバラ・シュリック(ソプラノ)
モニカ・フリンマー(ソプラノ)
マイケル・チャンス(アルト)
クリストフ・プレガルディエン(テノール
ペーター・コーイ(バス)
ハノーヴァー少年合唱団
トン・コープマン指揮
アムステルダム・バロック管弦楽団

地震および津波、水害により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福と復興をお祈りいたします。同時に救助及び原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方、そして新型コロナウイルス蔓延の最前線にいらっしゃる医療関係者全ての方に、感謝申し上げます。