かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

コンサート雑感:MASUO 15th Concertを聴いて

コンサート雑感、今回は令和6(20224)年2月12日に聴きに行きました、MASUOの15th Concertのレビューです。

MASUOってなんの略ですか?とお尋ねの方も多いのではないでしょうか。どう考えても略称だと思いますよねえ。しかし、なんとこの団体の正式名称がMASUOなんです。なんでも、シューベルトの「鱒」を演奏するために集まったというのでMASUOなんだそうです。でも、シューベルトの「ます」って、ピアノ五重奏曲のはずでは・・・

でも、公式ホームページには確かにそう記載がありますし、当日のプログラムにも同じ記載がありました。

sites.google.com

要するに、「ます」を演奏するオーケストラだから、MASUO。なんというか・・・母体は東京電機大の学生たちなんだそうですが、今や立派な社会人オーケストラなんだそうです。ただ、今回のメインは室内楽ではありません。マーラー中期の、転換期の作品とも言われる、交響曲第5番。というか、過去の演奏会を見てみると室内楽って見当たりません。これはあくまでも私の推測に過ぎませんが、室内楽を演奏できる力があるだけの人間が集まっているのではと思っています。それはこのオーケストラを聴いたときの衝撃です。

感のいいコアな読者の方ならお分かりだと思いますが、実は私は当日東京芸術劇場コンサートホールにオーケストラ・ダスビダーニャ第30回定期演奏会を聴きに行っています。その足でMASUOさんの第15回を聴きに行っています。美しいダスビの金管を聴いてこのMASUOさんを聴いてびっくりしました。金管が美しく、しかも弦楽器にやせた音がない・・・

ダスビの演奏も本当に素晴らしいのですが、それを凌駕するオーケストラがここにいたのか!と驚きを隠せません。プログラムは以下の通り。

ブルッフ スコットランド幻想曲
マーラー 交響曲第5番

なんと、ダスビよりも曲目が少ない・・・しかも、ブルッフの「スコットランド幻想曲」は40分ほどかかる曲で、4楽章構成にはなっていますが事実上のヴァイオリン協奏曲と呼んでいい作品です。ソリストはプロですからうまいに決まってますが、長い曲だとアマチュアだとどこかでやせた音が出るものなのですが・・・

第4楽章まで来ても、そんな音を聴くことが出来ないんです。金管はどちらかと言えばダスビかなという気はしますが、アマチュアのレベルならトップと言っても差し支えないだけのものを持っています。朗々とならす金管に、やせた音ではないしっかりとした弦楽器が、生き生きと演奏し、風景だけでなくそこに住む人の営みまでが表現されているかのよう。私はプロオケをききにきているのでは?と錯覚してしまいます。

後半のマーラー交響曲第5番。第1楽章や第5楽章では金管、特にトランペットが印象的ですが、そのトランペットがちょっと不安定。というか、いきなり管楽器が音を出すって本当に難しいのです。もう少し指揮者が息を吸わせてあげられるとよかったかなという気はします。そこはやはりアマチュアですね。でも、しっかりと息が吸える部分ではしっかりとした音が出ており、美しくも吠える金管や、歌う木管楽器と弦楽器は、もうアマチュアのレベルではありません。だてにコンクールで最終まで残ったオーケストラではないなあと思います。オーケストラ・ダスビダーニャでおなか一杯だったはずなのに、デサートまでペロリと平らげた印象です。

ただ、このMASUOさん、過去の演奏会のインターバルを見てみると、定期的ではないのが目につきます。第11回までは1年に1回だったようですが、それ以降はなかなか定期的に演奏会が開けないようです。できれば今回からは定期的に開けるといいのかなと思います。

そして、ホールも固定ではなく開いているところでという感じもします。まあ、なかなか固定のホールでというのはアマチュアでは難しい話ではありますが。今回は府中の森芸術劇場どりーむホール。府中市交響楽団さんのホームグラウンドですね。このどりーむホールは多目的ホールのようで案外残響時間が長いホールでもあります。その特性をよくつかんだ演奏もまた素晴らしかったですね。私自身は聴いていてオーケストラと相性がいいように感じましたので、府中の森芸術劇場フランチャイズにしてもいいのでは?と思いました。府中の森芸術劇場には他にウィーン・ホールもあり、そちらのほうがさらにクラシック音楽に適したホールになっていますので、どりーむホールが使えなければウィーン・ホールという選択肢もあります。実際、二つのホールを同時に使っているなんてケースは良くありますから(私が最初に府中の森芸術劇場へ足を運んだ東京理科大学混声合唱団の演奏会の時がウィーン・ホールでしたが、その隣のどりーむホールでは府中市民第九が行われていました)。

正直、このオーケストラには期待しかありません。次回もできるだけ足を運ぶ選択をしたいと思ったオーケストラでした。

 


聴いてきたコンサート
MASUO 15th Concert
マックス・ブルッフ作曲
スコットランド幻想曲
グスタフ・マーラー作曲
交響曲第5番
川村拓也(ヴァイオリン)
林慧指揮
MASUO

令和6(2024)年2月12日、東京、府中、府中の森芸術劇場どりーむホール

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