かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

コンサート雑感:オーケストラ・ダスビダーニャ第27回定期演奏会を聴いて

コンサート雑感、今回は令和2(2020)年2月9日に聴きに行きました、オーケストラ・ダスビダーニャの第27回定期演奏会を取り上げます。

1週間ほど前の2月1日に聴きに行ったオーケストラWさんの衝撃的な「5番」。そのあとに聴くダスビのショスタコは、どんな印象になるだろうとは思っていましたが、やはり素晴らしかったとまずは言いたいと思います。

とはいえ、完成度からすれば多分、Wオケさんのほうが断然よかったですし、また情熱的だったと思います。ダスビはその点、やっぱりアマオケだよねという音が散見はされました。それでも、説得力を持っているのは、毎度のことさすがだと思います。

今回もオール・ショスタコーヴィチ・プログラムでしたが、前半特に聴きたかったんです、映画音楽だったので・・・・・けれども、この週も強行軍。結局、疲れが当日でまして、前半には間に合わず・・・・・orz

まあ、後半だけでも聴ければいいよね、来年CD買えばいいんだからと自分に言い聞かせ、後半には間に合ったのはいいのですが、ホールの方に申し上げたいのは、客が全員ホールにすぐに行きたいわけではない、ということを理解してくださいということです。

私の場合、すでに前半の「黄金山脈」が終わろうとしているタイミング。なら、席はチケット持っているんですからいくらでも「待ってくれている」わけで、それよりも、混雑するCD売り場のほうに興味があるわけなんですよ。長めの休憩がもらえたとして、スピーカーから聴こえる演奏を聴きながら、昨年のCDなどを物色するほうが、時間的には有意義なんです。そういった配慮をしてくださるとうれしかったかな、と思います(終了してからや休憩中は、本当に混雑するので。ダスビのCDはコンサート会場でしか買えないからです)。

さて、その後半ですが、今回はショスタコ最後の交響曲、第15番。決して派手な作品ではないんですが、それを魂を込めて演奏するダスビは、本当に素晴らしいオケだと思います。こういう「ショスタコ愛」はWオケさんにはないかもなあと思います。けれども両者に共通するのは、「共感」の二文字だったと思います。その意味で、オーケストラ・ダスビダーニャが27年間果たしてきた役割は大きく、その精神がいかんなく反映された演奏だったと思います。その精神が確実にほかのオケに波及し、まるでプロオケかと思わんばかりのWオケさんの演奏へとつながったと、私は信じていますから。

第14番以外は全曲演奏しているダスビですが、是非とも14番も演奏してコンプリートしてほしいなあって思います。もちろん、ダスビの「全曲演奏することを目的としない」というのは本当によくわかりますし、共感もするのですが、一度コンプリートをしてみて、そのあと再び演奏したいものをする、というものいいのではないかなあって思うんです。

まあ、第14番ってかなりドグマな作品ですし、なかなか団員たちでとっつきにくいのはわかりますけれど、ダスビは本当に海外に紹介しても恥ずかしくないオケなので、一度挑戦しよう!というアマオケらしいチャレンジ精神は期待したいなと思っています。ダスビの演奏でショスタコーヴィチ交響曲が全曲聴けるのは私のような「ファン」にとっては喜びなんです。ぜひ一度第14番の演奏を検討してほしいなあって思います。

それは今回の第15番を聴いて本当に強く思いました。ショスタコーヴィチが人生の終わりにたどり着いた「境地」を見事に表現して見せた、強弱の絶妙な表現!最後静かに終わるのも、どこかいつくしむように演奏するそのスタイルも、力任せなら行ける第5番とは違い、繊細さが求められる第15番を見事に演奏しきったダスビなら、第14番が聴いてみたい!と私は思うんです・・・・・

もちろん、来年の第10番も本当に楽しみです。ですが、いつかはクラウン・・・・・・じゃなくて、第14番と思っているのであれば、もうその時は来ていますよと申し上げたく存じます。その意味では、1日に聴いたWオケさんはダスビを超えた演奏だったとはいえ、まだまだオーケストラ・ダスビダーニャから得られるものはたくさんあるのではないかって思います。このオケが27年間積み上げてきた「ショスタコ愛」は、そうそうまねできるものではないですから。

その意味では、白川団長様には、本当にお疲れさまでしたと言いたいです。私は第19回からの新参者ですが、ダスビの魂の演奏に魅了され、仕事で行けなかった以外は足を運び続けているファンの一人です。団長様が今まで引っ張ってこられたその苦労は想像に難くありません。27年という時間を経過するのだって、アマチュアには大変なのですから。たとえ年1回だったとしても、毎年演奏会を行うその大変さは、私自身アマチュア合唱団の運営に携わった経験から骨身にしみています。本当にお疲れさまでした!

一方で、白川氏の引退は、新しいダスビの誕生を意味します。宮前フィルが団長の交代でさらなる飛躍を遂げたように、おそらくダスビの新しい飛躍が今後待っているんだろうと思うと、たとえ来年が私の希望とは違い第10番だとしても、わくわくしかありません。今でも一定レベル以上の素晴らしい演奏をするオケが、今後どこまで伸び、表現の幅を広げるんだろうと思うと、もう来年が待ち遠しくて仕方ありません。今回の第15番の演奏は、その点でも非常にわくわくさせるものでした。来年もまた、皆さんの演奏が聴けるのを、楽しみに待ちたいと思います。

 


聴いてきた演奏会
オーケストラ・ダスビダーニャ第27回定期演奏会
ドミトリー・ドミトリエヴィチ・ショスタコーヴィチ作曲
映画「馬あぶ」の音楽による組曲 作品97aより抜粋
映画「黄金山脈」の音楽による組曲 作品30a
交響曲第15番作品141
大木麻里(オルガン)
石山哲也(ハワイアンギター)
長田雅人指揮
オーケストラ・ダスビダーニャ

令和2(2020)年2月9日、東京豊島、東京芸術劇場コンサートホール

地震および津波、水害により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福と復興をお祈りいたします。同時に救助及び原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。