東京の図書館から、今回は小金井市立図書館のライブラリである、シューマンのピアノ作品集を取り上げます。
シューマンのピアノ曲は私自身全集も持っていますし、結構聴きなれた部分もありますが、それでもこのアルバムを借りてきたのは、ピアニストがミケランジェリだったから、です、
ミケランジェリは、私自身あまりじっくりと聴いたことがないんです。ずっとオーケストラ曲が好きだったことから、ピアノ曲って遠ざけていたのが理由です。いろんなピアノ曲を聴いてきて、幾人かの巨匠の演奏を聴いてきましたが、しかしミケランジェリはじっくりと聴いたことが少ないなあと思い、シューマンだし聴いてみようと借りたのがこのアルバムです。
収録曲は、「謝肉祭」と、「子供のためのアルバム」から3曲。「謝肉祭」を「子供のためのアルバム」がはさんでいる編集です。興味深い編集だなあと思います。「謝肉祭」は当時の新しい様式をまるで楽しむかのような作品です。カーニバルを音楽で表現したのではなく、音楽そのものがカーニバルになっているのです。ウィキとともに、以前の私のエントリも挙げておきます。
一方、「子供のためのアルバム」は、シューマンの娘マリーの7歳の誕生日プレゼントとして作曲された作品。なので比較的平易な作品が並びます。
ロマン派のピアノ作品ときいて、何を想像しますか?リストの超絶技巧?ショパンの情熱的なもの?どっちもあるわけですが、しかしシューマンの作品は楽しい作品もあり、ミケランジェリのロマン派のピアノ作品への想いがどこか聞こえてきます。その楽し気な作品を、教会(スイス、トゥールン、ヨハネ教会)で演奏して収録しています。ミケランジェリは自分を「アッシジの聖フランチェスコの末裔」と称していたようです。ピアニストという自らの仕事を、まるで音楽の使徒であるかのように考えていたように感じるのは、私だけなのでしょうか?
なのに、聴いていると軽やかで、楽し気な演奏なんです。勿論、アインザッツが強烈な部分においては強烈ですが、感傷的なのにどこか肩の力が抜けた演奏なんです。故にしなやかで上品で、饒舌で楽しい。ミケランジェリがピアノが好きな人が嵌るのも無理ないと思います。魅力ある演奏は、私の魂を惹きつけて止みません。
こんなに楽しい作品にも、シューマンが込めた「想い」があって、人間の息吹がある。だからこそ愛おしんだと、ミケランジェリがささやいているように、私には聴こえるのです。巨匠だからと言って聴く者に合うかは分からないわけですが、ミケランジェリが評価されるにははっきりと理由がある、と感じる演奏です。
聴いている音源
ロベルト・シューマン作曲
「子供のためのアルバム」作品68より
第38曲:冬の季節Ⅰ
第37曲:水夫の歌
謝肉祭 作品9
「子供のためのアルバム」作品68より
第39曲:冬の季節Ⅱ
アルトゥーロ・ベネデッティ・ミケランジェリ(ピアノ)
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