かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

東京の図書館から~府中市立図書館~:東京クァルテットによるベートーヴェン弦楽四重奏曲集4

東京の図書館から、6回シリーズで取り上げております、東京クァルテットの演奏によるベートーヴェン弦楽四重奏曲集、今回から後期の3集に入ります。後期集の第1集として、第12番と第14番が収録されています。

一見するとアルバン・ベルク四重奏団とは違ってちょっと古臭いと感じるかもしれませんが、すぐ強いアインザッツが入ります。この演奏スタイルが東京クァルテットのスタイルだと言っていいでしょう。たんなる真似ではないところが好感度大ですね~。ある意味、アルバン・ベルク四重奏団をリスペクトしながらも、批判精神を持っていると考えていいでしょう。この演奏、アルバン・ベルク四重奏団の演奏が好きな私でも好みですね~。

単に感情の吐露だけではなく、どこか深遠な思索に入っているような。

それって、単にスコアリーディングをするだけではなく、その結果を自分に惹きつけてどこまで共感できるのかを考え抜いたうえで演奏としてアウトプットしているのが聴きとれるのです。サービス業において、この作業は実は常に瞬間瞬間で行うことなんですが、それを時間をかけてじっくり練習してから表現できる演奏家というのは、ある意味厳しい世界だけれども素晴らしい世界で、羨ましく思います。こういった世界はぜひとも残したいですね。

つい、私たちはその世界を斜めに見てしまい、足を引っ張りがちです。でも、この作業ができるまで、苦労も多かったはずですし、その苦悩の結果、私たちを癒し、勇気づけてもくれる。そのことには感謝をするほうが人生は彩に満ちていると思います。勿論、つい厳しい言葉をかけたくなる気持ちはわかります。私もつい最近まではサラリーマンです。病気でなければ働いているはずですし、いまでも健康なら働きたいです。けれども、その「働けない」ということで授かったものも数多くあると、最近は実感しています。仕事で忙しければ見えてこなかったことが見えて来る。その見えてきたものを、いかに世の中に還元していけるのか。そこに私の立場における役割があると信じています。

仕事をしていれば、楽しいことばかりではありません。むしろ苦しかったり、くやしい思いをしたり、つらいことのほうがはるかに多いです。けれども、何かを達成した時の喜びは、誰にでも、どんな仕事をしている人でもあるはずです。それはどんな仕事や立場であっても平等に与えられているものです。単に疎ましく思うだけではなく、一人の人間として、相手に想いを馳せることは大切ではないでしょうか。

ベートーヴェン弦楽四重奏曲が、ベートーヴェン自身の魂の表明を仲間に打ち明けたものであるならば、私たちもまた、苦しい時こそ、相手に想いを馳せることが大切ではないでしょうか。勿論、悪いことを悪いと言うなということではありません。仲間を守るためには時としてそれは必要なことです。ただ、相手に思いを馳せることは忘れたくないと、私は思います。同じ大学を出て、同じように海外留学をした仲間だからこそのアンサンブルが、東京クァルテットの演奏からは聞こえてきます。

 


聴いている音源
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン作曲
弦楽四重奏曲第12番変ホ長調作品127
弦楽四重奏曲第14番嬰ハ短調作品131
東京クァルテット
 ピーター・ウンジャン(第1ヴァイオリン)
 池田菊衛(第2ヴァイオリン)
 磯村和英(ヴィオラ
 原田禎夫(チェロ)

地震および津波、水害により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福と復興をお祈りいたします。同時に救助及び原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方、そして新型コロナウイルス蔓延の最前線にいらっしゃる医療関係者全ての方に、感謝申し上げます。