東京の図書館から、今回は小金井市立図書館のライブラリである、ブラームスのヴィオラ・ソナタを収録したアルバムをご紹介します。
え?ブラームスってヴィオラ・ソナタ書いていましたっけ?という方は相当お詳しい方だと思います。ええ、実はブラームスはヴィオラ・ソナタを書いているわけではありません。クラリネット・ソナタをヴィオラに編曲したもの、なんです。しかも、ご本人が。
なので、ヴィオラ・ソナタを書いたわけではないんですが、ヴィオラ・ソナタも存在している、ということになります。実際、第1番第1楽章を聞いた途端「どこかで聞いたことあるぞ!」とピン!ときました。そこで即検索。その結果、実はクラリネット・ソナタをブラームス本人が編曲したものということが分かったのです。こういう時に、PCで聴いているというのは有利ですね(おそらく片山氏ではそんなことを思いつかないでしょう)。
作品120はそもそも「2つのクラリネット・ソナタ」となっているため、第1番には枝番1が、第2番には枝番2が振られています。なのでヴィオラ・ソナタであっても第1番は作品120-1、第2番は作品120-2、です。ブラームス自身はこの編曲に関して「不器用だ」とかかなり出来が悪いと言っていますが、演奏を聴いている限りではそんな印象は持ちません。むしろ、ヴィオラ奏者にとっては珍しいソナタである故か、演奏しているスークとパネンカは生き生きと弾いています。っていうか、そもそもスークはヴァイオリニストなわけですが、それでもヴィオラを快活に弾いており、そこに喜びまで感じてしまうのは不思議です。ヴィオラ奏者でもあったためなのかもしれません。
おそらく、ベートーヴェンを意識してブラームスはそんな謙遜をしたのだと思います。スークはそこを理解しているからこそ、編曲に対し敬意を表し、生き生きと弾いていると考えれば腑に落ちます。ベートーヴェンがヴィオラとヴァイオリンを弾き分けることができたことは意外と知られておらず、その結晶が交響曲第9番第4楽章なんです。ブラームスもベートーヴェンの第九に強い影響を受けた一人ですから、気にして当然なのですよね。とはいえ、ブラームスはブラームスであり、ベートーヴェンはベートーヴェンであるわけなので、私からすれば特段気にする必要はないはずだけどなあって思います。それを言うなら、現代日本経済のほうがよほど他者を気にしないといけないわけなんですが・・・・・
そう考えると、チェコという国の芸術家であるスークは、自身の人生とチェコという国家の歴史の中で、内面を深めてきたのだなあと、感慨する次第です。
聴いている音源
ヨハネス・ブラームス作曲
ヴィオラ・ソナタ第1番ヘ短調作品120-1
ヴィオラ・ソナタ第2番変ホ長調作品120-2
ヨゼフ・スーク(ヴィオラ)
ヤン・パネンカ(ピアノ)
地震および津波、水害により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福と復興をお祈りいたします。同時に救助及び原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方、そして新型コロナウイルス蔓延の最前線にいらっしゃる医療関係者全ての方に、感謝申し上げます。