かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

東京の図書館から~府中市立図書館~:ムターとオーキスによるベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ全集3

東京の図書館から、4回シリーズで府中市立図書館のライブラリである、アンネ=ゾフィー・ムターランバート・オーキスによるベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ全集を取り上げていますが、第3回の今回は第3集に収録されている第6番~第8番の演奏を取り上げます。

第6番~第8番は作品30ですから、ひとまとまりなんですね。これは先日取り上げたスークとパネンカのものとは違っています。実はこの全集、ライヴ録音なんです。つまり、4つに分かれているその通りにリサイタルが行われたであろうという構成になっているんです。

そのせいか、演奏も集中力の高さが随所にみられるのも、この全集の演奏を聴く魅力かと思います。細かいアーティキュレーションが生み出す生命讃歌。そして人間ベートーヴェンへの共感。その表現がプロらしい高いレベルで実現されていること。どれをとってもさすが一流と言わざるを得ません。

特にこの作品30はベートーヴェンの精神性が!とか言う人にとっては聴くのがしんどい作品であると言えるでしょう。それは明るさも随所に見受けられ、むしろ楽し気な作品が並んでいるからです。ですがムターとオーキスは「それがベートーヴェンの精神性」と言ってはばからない演奏をしているのも、私としては好印象なのです。

私たち人間には喜怒哀楽が感情として備わっており、その4つの感情から文化が生み出され、だからこそ動物とはいえ他の種とは一線を画しているはずです。その文化の中でも芸術というものほど、その4つの感情を背景とするものはないでしょうし、特に音楽は強い影響下にあると言えるでしょう。モーツァルト的だと言われる中でも実際に聴いてみればすでにベートーヴェンの世界が広がっていることは一目瞭然。

だからこそ、プロは様々なアーティキュレーションをつけるわけです。そのアーティキュレーション、つまり表現の差を味わうのもまた、クラシック音楽の楽しみです。軽音楽でバンドが様々なアーティストの作品を演奏するのと一緒です。こういう演奏こそ、「音楽を真に楽しんでいるとはどういうことか」を考えさせてくれる名演だと言えるでしょう。

 


聴いている音源
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン作曲
ヴァイオリン・ソナタ第6番イ長調作品30-1
ヴァイオリン・ソナタ第7番ハ短調作品30-2
ヴァイオリン・ソナタ第8番ト長調作品30-3
12のコントルダンスWoO14(ウィリー・ヘス編曲版)から
 第4番コントルダンス変ロ長調WoO14-4
    第7番コントルダンス変ホ長調WoO14-7
アンネ=ゾフィー・ムター(ヴァイオリン)
ランバート・オーキス(ピアノ)

地震および津波、水害により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福と復興をお祈りいたします。同時に救助及び原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方、そして新型コロナウイルス蔓延の最前線にいらっしゃる医療関係者全ての方に、感謝申し上げます。