かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

東京の図書館から~府中市立図書館~:スークとパネンカによるベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ全集3

東京の図書館から、4回シリーズで取り上げております、府中市立図書館のライブラリである、ヨゼフ・スークとヤン・パネンカによるベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ全集、第3回の今回は3枚目に収録されている第7番と第8番を取り上げます。

第7番と第8番の2曲は作品30の中の2曲。第6番と合わせて3曲セットになっています。そして実は、第7番だけが4楽章制であるのに対し他の2曲は3楽章制。それを意識してなのか、第7番は多少どっしりとした演奏になっています。これは今までテンポとしては速めだったのが違っています。

だからと言って生命力が感じられないわけではないんですが、聴き手に集中力を要求するものになっていることは確かです。それでいて聴いていて拒否もせずむしろ受け入れている自分がいます。これぞプロだなあって思います。

こういう演奏を切って捨てる人もいるのですがそれは私は好きではありません。どんな演奏であったとしても説得力を持つのがプロの演奏だと私は思っているので、むしろテンポが速い演奏であったとしても説得力がない演奏はそれなりの評価しかしません。

決してスークとパネンカのコンビがテンポが遅いわけではないですし、アインザッツが弱いわけでもありません。アーティキュレーションは絶妙ですし、私としては文句のつけようがありません。第7番のテンポに対し多少の驚きはありましたが、しかし拒絶反応はありません。思わずうなってしまう演奏です。

そして思わずうなってしまう演奏をさらりとしてしまうことこそ、プロの証だと思います。それはアマチュアでもありますが、室内楽ではやはりプロとアマチュアの差は結構あります。勿論あまりない人もいるのですが・・・・・

かといって、では第7番と第8番で差別をしているのかと言えばそんなこともありません。確かに作品が持つ内面性で差がついてはいますが、差別はせず平等に扱い、それぞれで精神性が浮かび上がっているのも素晴らしい点です。

これは深い譜読み無くして実現はしないことです。そしてそこに楽しみを見出していることもまた好印象。だからこそ第8番の演奏からは愉悦が感じられますし、第7番に対しては堂々たる作品が持つ精神性への共感も見出せます。そしてそんな演奏を楽しんでいる私自身がいる・・・・・むしろ私という人間に楽しさを思い出させてくれることで、まさに素晴らしい演奏だと言えるのです。

病気で落ち込んでいる人間を励ますことができる演奏・・・・・実はそうたくさんあるわけではありません。実現できているこの演奏はまさに奇跡と言えるものなのです。

 


聴いている音源
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン作曲
ヴァイオリン・ソナタ第7番ハ短調作品30-2
ヴァイオリン・ソナタ第8番ト長調作品30-3
ヨゼフ・スーク(ヴァイオリン)
ヤン・パネンカ(ピアノ)

地震および津波、水害により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福と復興をお祈りいたします。同時に救助及び原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方、そして新型コロナウイルス蔓延の最前線にいらっしゃる医療関係者全ての方に、感謝申し上げます。