かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

東京の図書館から~府中市立図書館~:浦川宜也とフランツ・ルップによるベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ全集1

東京の図書館から、今回から3回シリーズで、府中市立図書館のライブラリである、浦川宜也とフランツ・ルップによるベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ全集を取り上げます。

浦川宜也って誰?という声も聞こえてきそうです。確かに私の年代より下だとそう思って当然だろうと思います。実際私もこの人誰?ですから。しかし調べてみるとそうそうたるキャリアを持っているヴァイオリニストなんです。

ja.wikipedia.org

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takaya-urakawa.com

活躍したのが60年代から80年代なので、知らなくて当然だと思います。しかも活躍の舞台は主に欧州で、最初のキャリアがバンベルク響。となると、途端に注目度下がるんですよね、なぜかこの国って。

確かにウィーン・フィルベルリン・フィルに比べればバンベルク響が一流とはいい難いかもしれませんが、それでも欧州きってのオーケストラです。そこでコンサートマスターを務めるってことは、指揮者の次にオーケストラを統率する役割を持つということなのです。それだけの力があることを示しているわけです。

ですので、演奏としてはかなりのものを期待していまいます。実際、この演奏の録音は1979年。浦川氏39歳。脂が乗りきっている時期です。余計期待するのですが・・・・・

第1集には、第1番から第4番までが収録されていますが、何かが物足りないんです。演奏に難があるわけでもないですし、決して楽譜をただなぞっただけでもありません。ですがどこか物足りない・・・・・

ピアノは満足できます。しかしヴァイオリンにどこか思い切りの良さを感じることができないんです。アーティキュレーションも素晴らしいので決して楽譜をなぞってというわけではもう一度言いますが決してありません。それでも物足りないのはやはり演奏時の思い切りの良さが不足していることだと思います。

もっと言えば、細かい表現にとらわれてしまっていることでダイナミックさに神経が行き届いていないという印象を受けます。うーん、演奏が決して悪くないだけにとっても残念。

これならスークとパネンカのほうがよほどいいと感じます。この二人は多少アインザッツの弱さを感じますがしかしそれがしっかりと表現の一部として確立していることで、不満を感じさせない説得力を持っているんですが、この浦川とルップのコンビからはそういった説得力を感じることができないんです。

何が原因なのだろうかと思いますが、これは推測に過ぎませんが、コミュニケーション不足かなあ、と。二人でどんな音楽、演奏を紡いでいきたいのかという点が絞り込めていなかったのが理由かもと思うのです。二人の演奏のぶつかり合いという意味では面白いと思うのですが、しかしではスリリングなのかと言えばそれもないですし。

ベートーヴェンソナタが対等な関係性を持つことは相互で理解しているように聴こえるのですが、そのうえでどのように二人で紡いでいくのかがよく話し合われていないように感じます。ただ二人の演奏がぶつかっているだけという感じがぬぐえません。

ハイレゾ相当で聴きますととてもいい空気感が再現されていて音質もいいのに、残念だなあと思います。さて、第2集以降で巻き返しがあるのか、期待したいところです。

 


ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン作曲
ヴァイオリン・ソナタ第1番ニ長調作品12-1
ヴァイオリン・ソナタ第2番イ長調作品12-2
ヴァイオリン・ソナタ第3番変ホ長調作品12-3
ヴァイオリン・ソナタ第4番イ短調作品23
浦川宜也(ヴァイオリン)
フランツ・ルップ(ピアノ)

地震および津波、水害により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福と復興をお祈りいたします。同時に救助及び原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方、そして新型コロナウイルス蔓延の最前線にいらっしゃる医療関係者全ての方に、感謝申し上げます。