かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

東京の図書館から~府中市立図書館~:ムターとオーキスによるベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ全集1

東京の図書館から、今回から4回に渡り、府中市立図書館のライブラリである、アンネ=ゾフィー・ムターランバート・オーキスによるベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ全集を取り上げます。

え?続けてですか?とお嘆きのア・ナ・タ、ええ、その通りです。だって、聴き比べって楽しいじゃないですか!しかも、図書館で借りてきてリッピングしておくのであればデータだけ。どうしても気に入らなければ削除すればいいだけです(とはいえ、今までそんな例は一つしかないんですけどね)。

しかもです、この全集、ヴァイオリンがアンネ=ゾフィー・ムターです。ピアノのランバート・オーキスはあまり知らない名前ではありますが、調べてみると今回のムターとだけではなく、多くの名ソリストたちと共演をしてきた実力派であることがわかります。

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今回取り上げる第1集では、アーティキュレーションに関してムター顔負けの表現をオーキスもしており、ベートーヴェンの才能は初期から爆発していたことがよくわかる演奏になっています。特にこの第1集に収録されている第1番~第3番を、実に歌って演奏しており、ハキハキという感じではないのですがしかししっかり人間味を感じるのです。

いやあ、さすが当代きってのヴァイオリニストと助奏ピアニストの共演だと思います。樫本大進やスークらともまた違うアプローチをムターはしており、ゆったりじっくり歌い上げる演奏スタイル。それが味わい深く、しかも嫌味もない。多幸感だけが残るのです。これぞプロ。

しかも、ベートーヴェンが目指した、楽器の平等性を、見事に実現させている点も素晴らしい!あたりまえのように思うかもしれませんが意外とこれはソリストの関係性もあるので時としてそれなに?って演奏もないわけではない中で、しっかりとベートーヴェンが目指した芸術というものを理解し、共有していることが演奏からわかることもまたまさにプロの仕事。そう、ベートーヴェン室内楽とは楽器が対等な立場であることだよね!とひさを打つ演奏です。

こう幾つか聴いてくると、プロがベートーヴェンを演奏するときに心がけていること、踏まえていることというのが、楽器間の対等と平等であることがわかります。そしておそらく、その延長線上にベートーヴェンの芸術はあるはずです。私たち日本人は真にベートーヴェンの芸術が意味するものを理解しているか?と突きつける演奏であるように、私には思えるのです・・・・・

 


聴いている音源
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン作曲
ヴァイオリン・ソナタ第1番ニ長調作品12-1
ヴァイオリン・ソナタ第2番イ長調作品12-2
ヴァイオリン・ソナタ第3番変ホ長調作品12-3
アンネ=ゾフィー・ムター(ヴァイオリン)
ランバート・オーキス(ピアノ)

地震および津波、水害により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福と復興をお祈りいたします。同時に救助及び原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方、そして新型コロナウイルス蔓延の最前線にいらっしゃる医療関係者全ての方に、感謝申し上げます。